オードリー・ヘプバーンの才能と魅力が圧倒的過ぎたため、『ローマの休日』では制作中に、彼女のために様々な変更があった。(フロントロウ編集部)

オードリー・ヘップバーンの他にも有力候補がいた

 1953年に公開された映画『ローマの休日』は、大女優オードリー・ヘプバーンの名前を全世界に広げた作品として今なお愛される名作。ディズニープリンセスではないが、“プリンセス映画”として憧れた人は多い。

 そんな本作にオードリーが起用された理由にも、彼女の天性の魅力を感じさせる逸話がある。オードリーが演じたアン王女には、当初はエリザベス・テイラーが想定されていた。エリザベスもまた往年の大女優だが、当時は、子役として幼い頃からキャリアを築いていた彼女のほうがオードリーよりも有名だったと言える。オードリーも舞台『ジジ』で高い評価を得てはいたのだが。

 しかし、エリザベスではなくオードリーを起用することに決めたのが、監督のウィリアム・ワイラー。生涯で3度のアカデミー監督賞受賞を誇る彼は、スクリーンテストでオードリーの魅力のいち早く気がつき、彼女をアン王女にした。

グレゴリー・ペック、オードリーの魅力に圧倒

 そして彼女の才能を理解していたのは、もう1人。それは、王女と恋に落ちるアメリカ人新聞記者のジョー・ブラッドレーを演じたグレゴリー・ペック。

 米Vogueによると、当初のグレゴリーの契約では、広告においてすでに人気俳優だった彼の名前をタイトルの上部に載せ、オードリー・ヘプバーンの名前はその下に小さめの文字で書かれる予定だったという。

 しかし撮影が開始されたすぐ後に、彼はエージェントに「この映画の本当のスターはオードリー・ヘプバーンだ」と話し、自分と同じだけのクレジットを彼女に与えるように指示したという。グレゴリーを含む制作陣は、撮影中からオードリーがアカデミー賞を受賞するのではないかと話していたという。王女という役柄や、その後オードリーはファッションアイコンとなっていったことなどから、彼女の外見やスタイルに注目してしまうことは多いが、制作陣の反応を見れば彼女が持っていた俳優としての演技力も非常に圧倒的なものだったことが感じられる。

画像: グレゴリー・ペック、オードリーの魅力に圧倒

 そして実際に、彼女は本作でアカデミー賞主演女優賞の受賞を果たした。

 ちなみに、すでに人気俳優だったがオードリーの才能に敬意を示したグレゴリーは人格者として有名だった。敬虔なカトリック教徒だった彼だが、女性の中絶の権利やLGBTQ+の権利を支持し、人種差別に対して声をあげていたことでも知られている。

(フロントロウ編集部)

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