女性との交際をインスタグラムで公表した俳優のレベル・ウィルソン。しかし実は、カミングアウトのきっかけは、地元オーストラリアの新聞The Sydney Morning Heraldにアウティング記事を書かれるからだった。記事をダメにされたとする記者のコメントが炎上するなか、レベル本人も騒動にコメントした。(フロントロウ編集部)

シドニー・モーニング・ヘラルドが交際記事を掲載予定だった

 6月10日(日本時間)にLGBTQ+コミュニティの一員であることカミングアウトし、ラモーナ・アグルマという女性との交際を公表して、映画『ピッチ・パーフェクト』の共演者からも祝福のコメントを受けていた、コメディ俳優のレベル・ウィルソン。6月のプライド月間は毎年カミングアウトする著名人が多いため、それに合わせたのだと思われていたが、実は地元オーストラリアの新聞シドニー・モーニング・ヘラルドにアウティング記事を掲載されることを受けての行動だったことが分かった。

 レベルのカミングアウト後、シドニー・モーニング・ヘラルドがエンタメコラムライターのAndrew Hornery氏によるオピニオン記事を掲載。Hornery氏の証言により、新聞側が2人の交際について6月9日にレベル側にコメントを求め、返答に2日の猶予を与えたところ、翌日にレベルがインスタグラムで自分の口からカミングアウトをした、という経緯が分かった。

 Hornery氏はレベルの行動が記者側を「騙した」ことに値すると考えているそうで、「私たちの控えめで、心からの、正直な問い合わせを無視した彼女の選択は、私たちの見解では、つまらないものだった」と批判。「もちろん、誰が誰と付き合おうがその人の勝手だが、ウィルソンはハンサムなボーイフレンドがいた時は、嬉々としてそんな下世話な興味を煽っていた」と続けた。

ヘラルド紙とHornery氏の姿勢に批判の声

 プライベートをマーティング術のひとつとして使うことがあるセレブリティとメディアは、昔から敵であり味方でもあるという不思議な関係にある。しかし今回の件は、メディアがセレブの恋愛を報じる以上のこと。

画像: レベル・ウィルソンとラモーナ・アグルマは約半年前に共通の知人の紹介で知り合い、ひそかに関係を発展させていたという。

レベル・ウィルソンとラモーナ・アグルマは約半年前に共通の知人の紹介で知り合い、ひそかに関係を発展させていたという。

 Hornery氏は今は「性的指向は隠すべきものではなくなった時代」とも言っており、彼の数々の言葉からは、LGBTQ+が未だに経験する偏見や差別といった現実の正しい理解が足りておらず、欧米を中心にすぐさまこの件は炎上。オーストラリアでは6月12日にツイッター上で最も長く話題になったトピックのひとつとなった。

 その後、シドニー・モーニング・ヘラルドのエディターからも正式に声明が発表されたのだが、「ヘラルド紙がウィルソンを『アウティング』したというのは間違いです」として、「私たちは単に質問をし、標準的な慣習として回答期限を設けました。私は、掲載するかどうか、何を掲載するかについて何も決めておらず、ヘラルドがどうするかは、ウィルソンの回答によって決定されるはずでした」と釈明。

 そして、「数カ月前から彼女のソーシャルメディアのアカウントに登場していた新しいパートナーを公にする決断をしたのはウィルソン自身です」と、あえて“前から見せていた”と言うような言葉を付け加え、さらなる炎上を招いている。

レベル・ウィルソンが騒動にコメント

 レベルに対するアウティングが炎上するなか、レベル本人がツイッターでコメント。

 レベルは、ジャーナリストのKate Doakによる「どうやらレベル・ウィルソンは自分でカミングアウトすることを選んだわけではないらしい…。 シドニー・モーニング・ヘラルドと(姉妹紙の)ジ・エイジが、彼女を「アウティング」することを2日前に予告していたことを認めました。さらに悪いことに、この件には、シドニー・モーニング・ヘラルドに属する、ゲイであることを公表している男性たちが関与していたのです」というツイートに返信する形でこうコメントした。

「コメントありがとうございます!とても辛い状況でしたが、優雅に対応しようと思っています」。

 その後はSNSは更新されていないが、ファンたちは彼女の古い投稿のコメント欄にメッセージを書き込むなどして、応援メッセージを送っている。(フロントロウ編集部)

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