アメリカの連邦最高裁判所が中絶の権利を認めたロー対ウェイド判決を覆す決定を下したことを受けて、テイラー・スウィフトがツイッターで遺憾の意を表明した。(フロントロウ編集部)

テイラー・スウィフトが中絶の権利を認めない最高裁判所を批判

 アメリカの連邦最高裁判所が現地時間6月24日、1973年に人工妊娠中絶の権利を認めたロー対ウェイド判決を覆す決定を下した。これにより、アメリカで約50年守られてきた女性たちのリプロダクティブ・ヘルスの権利が奪われることになり、中絶に関する法律が州に委ねられる今後は、20以上の州で中絶が禁止される見通しとなっている。

画像: テイラー・スウィフトが中絶の権利を認めない最高裁判所を批判

 今回の衝撃的な決定を受けてショービズ界の多くのセレブたちも連邦最高裁判所の決定に抗議する声をあげており、シンガーソングライターのテイラー・スウィフトもツイッターで遺憾の意を表明。テイラーはミシェル・オバマ元大統領夫人が投稿したツイートをリツイートする形で、次のようにツイートした。

 「これが今、私たちの置かれている現状だということがものすごく恐ろしいです。人々が何十年もかけて女性たちが自分たちの身体に関する権利のために闘ってきたのに、今日の決定でそれが奪われてきてしまったのです」

ミシェル・オバマ元大統領夫人が若者たちに行動を起こすよう呼びかけ

 テイラーがシェアした投稿のなかで、オバマ元大統領夫人は「私は、自分自身の身体について十分な情報を得た上で決断を下すという、基本的な権利を失ってしまったこの国の人々のために心を痛めています。ロー判決がこの国の法律となる前の、女性たちが命を危険に晒しながら違法な中絶に臨んでいた時代の痛みを伴う教訓を、私たちが学ぶ必要があるかもしれないということに心を痛めています。女性たちが自分たちの生殖をコントロールすることを政府が拒否し、女性たちに望まない妊娠を続行することを強制し、赤ちゃんが生まれた時に赤ちゃんたちを見捨てさせた時代のことです」と、連邦裁判所がロー判決を覆す決断を下したことを批判している。

画像: ミシェル・オバマ元大統領夫人が若者たちに行動を起こすよう呼びかけ

 オバマ元大統領夫人は今回の決定について、「打ちのめされるような結果をもたらすことになる」と警鐘を鳴らした上で、「特にこの試練に耐えることを余儀なくされる若者たちにとって、目を覚ますきっかけにならなければいけません」とも述べて、若者たちに行動を起こすよう、次のように促している。「皆さんがこのような未来を自分たちの世代のために選択していないことは知っていますが、もし皆さんがここで諦めてしまえば、皆さんはあなたたち自身や、あなたたちが信じるいかなる価値観も反映していない国を継承することになるのです」

 オバマ元大統領夫人は声明を次のように締め括っている。「今日、私たちの心は壊れてしまったかもしれませんが、明日になったら立ち上がり、自分たちにより相応しいアメリカを創造するために取り組む勇気を探さなければいけません。私たちにはまだ、押し進めるべきことや、結束して訴えるべきこと、声をあげるべきことが多く残されています。全員で一緒になればそれを実現できることを私は知っています」

 リプロダクティブ・ライツ(生殖の権利)は基本的人権であり、今アメリカで起きていることは、基本的人権の侵害に他ならない。一方で、日本にとっても決して対岸の火事だとは言えず、ここ日本においては、低用量ピル・IUD(子宮内避妊具)・緊急避妊薬の入手が容易でないこと、世界70ヵ国以上で認可・使用されている中絶薬が認可されていないうえ自己堕胎罪があること、人工妊娠中絶の手術を受けるときに配偶者の同意が原則求められること、といったリプロダクティブ・ライツ侵害が起きており、国連からも、性教育の強化、刑法の堕胎罪や配偶者の同意条件の撤廃をするべきだという勧告を受けている。

 現在のアメリカの最高裁は6対3で保守派に偏っており、その判事を選んだのは選挙によって選ばれたリーダーたち。アメリカで今起きていることは、投票という行為が巡り巡ってどれだけ国民の生活だけでなく権利にまで影響を与えるかをあらわしている。オバマ元大統領夫人が指摘するように、残念ながら、投票によって声をあげなければ自分の意思は国政や法律に反映されないというのが現実。今アメリカで起きていることをきっかけにして、自国のリプロダクティブ・ライツの制度に改めて目を向け、適切な変化を起こしてくれるリーダーを自分たちで選ばなければいけないということを、今一度認識する必要がある。(フロントロウ編集部)

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