5月には例年の平均より16度も高い記録的な暑さとなったスペインで、住民に熱波の危険を知らせる世界初の気象警報システムが導入された。

熱波に「名前」と「ランク」をつけて注意喚起

 6月に入ってから季節外れの熱波が到来して連日40度超えを記録し、南部では巣の中の気温上昇に耐えきれず予定よりも早く巣から出てしまった子ツバメが数百匹単位で死亡するという出来事が報じられているスペイン。記録的な暑さのせいで山火事も発生しており、多くの人間や動物が住まいを追われている。また、記録的な暑さのなか電力問題にも悩まされており、INE(スペイン国家統計局)の発表では2021年だけで電気代が前年比44%と急騰しているそうで、記録的な干ばつもあり電力不足の心配がされている。

 そんなスペインの中でも最も暑い都市のひとつであるセビリアが、熱波が健康に与える危険性を住民に周知するために、ハリケーンや熱帯低気圧と同じように熱波にも名前をつけて3つのレベルに分類すると発表した。欧米では、一般の人々にも簡単に理解できるようにハリケーンや熱帯低気圧に名前をつけているが、熱波にこの対応がされるのは世界初。それだけ、熱波が住民の生活の中で大きな脅威になっているということのよう。

 今回の施策はCO2の排出削減や脱炭素化といった気候変動対策のひとつで、セビリア市は、「気象予報と健康への影響を関連づけた世界初の気象警報システム『proMETEO Seville』を発表しました。セビリア市では昨年にこの計画を発表し、今夏、システムの試験運用を行なうという公約を実現し、熱波を命名・分類する世界初の都市となりました」と声明で語っている。

 熱波のレベルには最も低いカテゴリー1から最も高いカテゴリー3までがあり、前30日間の気温、湿度、状況をもとに危険性が予測されてカテゴリーが発表されるという。そして、熱波の名前はスペインのアルファベットの後ろから前に向かってつけられる予定で、最初の5つは「Zoe」「Yago」「Xenia」「Wenceslao」「Vega」に決定している。(フロントロウ編集部)

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