Pinterestの「ボディニュートラルレポート」
近年海外では、ありのままの自分の体を愛する「ボディ・ポジティブ」や自分の体に対して抱くネガティブな感情もポジティブな感情もそのまま受け入れる「ボディ・ニュートラル」といったムーブメントが加速。「細い体型が理想的」という画一的な価値観から脱却し、多様な美しさを認めることが大切という考えが徐々に浸透している。
そんな「ボディ・ポジティブ」や「ボディ・ニュートラル」のムーブメントの妨げとなっているのが、今や幼い子どもも触れるSNSやインターネットの広告。とくに海外では、SNSや広告が植えつけた“偏った美しさ”のイメージによる自尊心の低下が問題視されている。
そんな問題に立ち向かうためにいち早く行動に移したのが、ビジュアル探索ツールのPinterest(ピンタレスト)。
体型や体の大きさに関係なく、誰もが自分の居場所だと思える環境をつくることを掲げるPinterestは、健康的な生活と身体に対する健全なイメージが尊重される文化を育む取り組みを推進。その一環として2021年7月より広告ポリシーを改訂し、すべての広告で減量を謳う文言と画像の掲載を禁止した。
Pinterestは2021年7月の改訂以前から、ボディシェイミング(身体的特徴での中傷)やダイエット商品および「痩せるべき」と主張するようなコンテンツの広告を禁止してきたものの、そのポリシーをさらに拡大してダイエット広告を全面的に禁止するのは主要プラットフォームの中でも類を見ない取り組みであったため、世界的に大きな話題に。
そして広告ポリシー改訂から1年が経ち、Pinterestが「ボディニュートラルレポート」と題したレポートを発表。
「ダイエット」を含む検索が20%も減少
「ボディニュートラルレポート」で公開されたのは、ダイエット広告の禁止から1年を経て、ポリシーの導入が実際にPinterestにどのような影響を与え、こうしたトピックをどのように変化させてきたかについて調査した結果。
なかでも驚きだったのが、Pinterest内において「ダイエット」というキーワードを含む検索が世界的に20%減少したこと。Pinterestが関連キーワードの検索量を分析したところ、2022年5月では、2021年7月に比較して「ダイエット」というキーワードを含む検索は世界的に20%減っていたことが判明したという。
この結果で分かることのひとつが、ダイエット広告を目にした結果、痩せなければという強迫観念に駆られている可能性が高いこと。ダイエット広告を禁止したPinterestの調査結果で、ある意味ダイエット広告が多くの人に影響を与えていることが分かる。
そしてその代わりに「簡単でヘルシーな食事」の検索数は65倍、「健康的な食事を摂るモチベーション」は13倍に増加。ユーザーがPinterestで、ヘルシーな食事などの健康的な習慣にまつわるアイデアを見つけていることが分かったという。
自分らしい人生を過ごすためのアイデアを得たい人がアクセスできる場所づくりを目指し、ダイエット広告はこの目標を妨げるものだと考えるPinterest。ダイエット広告の禁止のほかにも、心のウェルビーイングに関連するキーワードを検索した際、ストレス、不安、悲しみなどを感じた時に役に立つリソースやアクティビティに関するコンテンツを表示させる「おもいやり検索」の導入などにも取り組んでいる。(フロントロウ編集部)