両親が信じたカルト宗教団体で生まれ育ったホアキン・フェニックスは、団体のことをカルトだと批判している。(フロントロウ編集部)

カルト宗教団体で生まれ育ったホアキン・フェニックス

 映画『ジョーカー』や『ウォーク・ザ・ライン』などで知られるオスカー俳優のホアキン・フェニックスは、両親がカルト宗教団体「Children of God(神の子供たち/現ファミリー・インターナショナル)」に入団していたため、幼少期はその環境で育った。

 彼は1974年生まれで、一家は1977年に団体から抜け出したため、ホアキンが団体にいたのは数年だが、彼の母が「痛みや孤独を乗り越えるには数年がかかった」と話しており、ホアキンがいまだに何度も団体を批判していることから、抜け出した後も影響は続いたと見られる。

 こういった団体に所属する家族は、両親だけが信者として残り子どもだけが抜け出す場合もあるが、フェニックス一家は家族全員で抜け出した。ホアキンは団体や両親について、2014年に米Playboyのインタビューでこう語っている。

 「人々がChildren of Godについて話題にする時、そこにはいつも漠然と罪を問うようなものがある。罪悪感のようなものでしょうか。両親に関して言えば、非常に無垢だったのだと思います。2人は本当に信じていた。しかし多くの人はそうは見ないでしょう。それは変で不公平なことだと思ってきました。両親は、自分たちの理想をシェアできるコミュニティを見つけたと思っていたのだと思います。カルト団体というのは、自分たちのことをそう(カルト団体だ)とは言わないですからね。通常は誰かが“私たちは同じ考えの同志です。これはコミュニティです”と言ってくる感じでしょう。しかし両親はそれ以上のことがあると気がついた時、出て行った」

画像: 1985年に撮影された家族写真。右から3番目がホアキン。左から2番目は兄で俳優のリヴァー・フェニックス。

1985年に撮影された家族写真。右から3番目がホアキン。左から2番目は兄で俳優のリヴァー・フェニックス。

カルトでは性的搾取や虐待、暴力が行なわれていたと見られる

 彼が2019年に米Vanity Fairで明かしたところによると、両親の目が覚めたのは、団体が“flirty fishing(直訳:誘惑釣り)”と呼ぶ、セックスを利用して信者を増やすことを始めたことがきっかけだという。「両親は手紙か、それを提案する何らかのものを受け取り、『くそったれ。ここから出て行く』という感じでした」と振り返る。

 Flirty fishingについては、団体の創設者であるデビッド・バーグの娘が、「宗教的な買売春でした。あの男を父として見るのを止め、人々の生活を破壊している世界的ムーブメントのリーダーとして見なければいけなかった」と、米The Mediumに掲載されたステファニー・バックの取材で答えた。

 性行為に関する深刻な問題があった団体では、子どもに対する性的虐待を許可するどころか、推奨していたという疑惑すらある。幼少期を団体で過ごしたマイケル・ヤングは、英The Guardianの取材で、「育つのに安全な場所ではなかった。とくに、もしあなたが女の子なら」と明かしている。

 ホアキンの兄であり、映画『スタンド・バイ・ミー』や『マイ・プライベート・アイダホ』で知られる故リヴァー・フェニックスは、生前、米Detailで4歳のころに強制的に性行為を経験させられたと話したが、ホアキンは2019年に「(子どもの安全に関して)両親はいいかげんではなかった」としたうえで、リヴァーの発言は宗教について聞かれ続けることにうんざりした兄のジョークだったとしている。

 その出来事の真偽は不明だが、リヴァーも団体のことを嫌悪していたのは事実で、米Esquireのインタビューで、「奴らは汚い。人の生活を破壊してる」と話していた。

画像: 2019年にホアキンの主演映画『ジョーカー』のプレミアで集まったファミリー。

2019年にホアキンの主演映画『ジョーカー』のプレミアで集まったファミリー。

(フロントロウ編集部)

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