アメリカ版『セーラームーン』の映像が発見される
1990年代に、武内直子による漫画『美少女戦士セーラームーン』を“アメリカナイズ”した作品が制作されようとしていたのをご存じ?
アメリカのアニメーションスタジオであるToon Makersと、『パワーレンジャー』のプロデューサーたちは、1993年に制作を開始。しかしパイロット版でお蔵入りとなり、1995年にToon Makerが『セーラームーン』の権利を入札できず、日本版のアニメが英語吹き替えで放送されるに至った。
幻のパイロット版はアニメーションと実写を組み合わせた作品で、ファンのなかには映像を見つけようとする人もいたが、これまで公開されることはなかった。しかし、YouTuberでジャーナリストのRay Monaがついに、パイロット版の映像を見つけ出した。
映像は、なんとアメリカ議会図書館にあった! 彼女は、アメリカのバンダイの社長であるフランク・ウォードに許可を得たことで、図書館に映像を公開するためのリクエストを出すことが可能となり、今回ついに彼女の活動を追ったYouTube動画の中で公開されたのだ。
アメリカ版の『セーラームーン』は、セーラームーンとタキシード仮面(英語ではプリンス・ダリアンとも呼ばれる)が月で愛を誓いあうところから始まる。そして2人のことを、セーラーマーズ、セーラーヴィーナス、セーラーマーキュリー、セーラージュピターが見守る。アメリカ版なので当然とはいえ、メイクや雰囲気がアメリカ風なのはやっぱり面白い。とくにタキシード仮面は、日本版ではスラっとしたタイプだが、アメリカ版では体格が良く、ディズニープリンスように描かれているのは、各国の違いを感じる。
また、見逃せないのが音楽。90年代のアメリカが感じられる音楽のなかで、みんな超ノリノリだ…!
『セーラームーン』がアメリカナイズされているということだけでなく、90年代の雰囲気が感じられることも面白くて楽しいパイロット版映像。YouTube動画のコメント欄には、多くのファンから、正式に制作されてほしかったと願う声が寄せられていた。また、アニメだけで見たいといった意見があがる一方で、アニメの部分は改良されるべきといった意見もあった。いずれにせよ、パイロット版の短い映像だけで、多くの人が夢中になったよう。
(フロントロウ編集部)