新作映画『ドント・ウォーリー・ダーリン(原題:Don't Worry Darling』で、監督のオリヴィア・ワイルドと主演のフローレンス・ピューの不仲説にはじまり、舞台裏での”騒動”が次々と噴出。経緯をまとめた。(フロントロウ編集部)

映画『ドント・ウォーリー・ダーリン』とは

 映画『ドント・ウォーリー・ダーリン(原題:Don’t Worry Darling)』は9月に全米、11月11日に日本公開される心理スリラー映画。ユートピアのような街ヴィクトリーを舞台に、主人公であるアリスが、夫ジャックや街に住む男性たちの“仕事”について疑問を持ち始めた時に事態は急転していく…。経営者でありライフコーチでもあるフランクが率いて「世界を変える」ことが目的の“ヴィクトリー・プロジェクト”とは何なのかに迫る、というストーリー。

 本作は、監督デビュー映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』が大絶賛され、Rotten Tomatoesでも“この10年で最も優れたコメディ”に選ばれた、オリヴィア・ワイルド監督による2作目。『ブックスマート』での成功があるだけに配給権は争奪戦となった超話題作。

キャストが決定、「私のアイドル」と大興奮

 2020年4月、主人公アリス役にフローレンス・ピュー、アリスの夫ジャック役にシャイア・ラブーフ、ライフコーチであるフランクにクリス・パインがキャスティングされたことがアナウンスされる。

 フローレンスは当時、自身のアカウントをタグ付けして『ドント・ウォーリー・ダーリン』のキャストを発表したオリヴィアの投稿を引用する形で、「オリヴィア・ワイルドが写真に私をタグ付けしてくれた、“ため息その1”。オリヴィア・ワイルドが私を映画にキャスティングしてくれた、“ため息その2”。私のアイドルであるオリヴィア・ワイルドが、私がこの最高に素晴らしいキャストに加わることを許してくれた」と、オリヴィアを「アイドル」と呼びながら、興奮気味に出演を喜んだ。

シャイア・ラブーフが降板してハリー・スタイルズが主演に決定

 2020年9月、フローレンス・ピューが演じるアリスの夫ジャック役に起用されていたシャイア・ラブーフが降板し、代わりにハリー・スタイルズの起用が決定。

 第一報を伝えたDeadlineは「スケジュールの都合でプロジェクトから外れた」としていたが、その数か月後、Varietyが「撮影はまだ始まっていなかったが、このプロジェクトに近い関係者によると、ラブーフは素行が悪く、そのスタイルは最終的に彼を解雇したワイルド監督を含む、キャストやスタッフと衝突した」と、自主的な降板ではなくクビだったと報じた。

ハリー・スタイルズとオリヴィア・ワイルドの交際が発覚

 『ドント・ウォーリー・ダーリン』の撮影が始まって2カ月が過ぎた頃、ワイルド監督とハリーの交際が発覚。知人の結婚式での手つなぎ写真がパパラッチされ、この時点で交際数週間だったと関係者は話した。その後、ワイルド監督がハリーを俳優として絶賛したり、ハリーが監督の仕事ぶりについて話したりすることはあっても、交際について2人が話すことはなかったが、2022年に入ってからは堂々と手をつないで外出するなど、少しずつ交際をオープンなものにしている。

画像: ハリー・スタイルズとオリヴィア・ワイルドの交際が発覚

オリヴィア・ワイルド、映画PR中に親権裁判の書類を渡される

 2022年4月、ラスベガスで催されていたCinemaConで『ドント・ウォーリー・ダーリン』についてステージ上でトークを行なっていたワイルド監督に、元パートナーである俳優のジェイソン・サダイキスとの親権裁判の書類を手渡しされる事件が発生。

画像: オリヴィア・ワイルド、映画PR中に親権裁判の書類を渡される

 当初はファンが書いた脚本か何かかと思っていたというワイルド監督。それをスピーチ中であるにもかかwらず無視しないところに彼女の人柄の良さを感じるが、監督はその時、「これ、私に?今?」と言って驚いた様子で封筒を受け取り、「すごくミステリアスですね。今開けちゃいますよ。脚本とかですか?」と言って中の資料に軽く目を通すと、「ああ、オッケー。わかりました」と言って、すぐに何も言わずに自分のトークに戻った。

 当時は冷静にその場に対応したが、実際は「本当に腹が立ちました」と、8月にVarietyのインタビューで明かした。ジェイソンは当時声明で「事前に知らなかった」として「そのような不適切な方法で書類が渡されることを決して容認しない」としたが、会場に入るためには数日前からコロナの陰性検査を受けて特定のパスを入手する必要があったため事前に決められていたはずだとワイルド監督はVarietyに指摘し、「(自分の仕事を)妨害しようとするのは、本当に悪質な行為です。でも、私にはやるべきことがあり、私の気は簡単には逸らせません。ただ悲しいことに、私にとってあれは意外なことではありませんでした。私があの関係を絶ったのには理由があるんですよ」と元パートナーを批判した。

 ワイルド監督とジェイソンは2011年から交際をはじめ子どもを2人もうけたが、2020年に破局して、ワイルド監督は2021年から、『ドント・ウォーリー・ダーリン』に出演したハリーと交際をスタート。ワイルド監督とジェイソンは親権をどちらが持つか、子どもがどちらと暮らすかなどで争っている。

予告編が解禁されると、監督と俳優に温度差

 オリヴィアは以前より、本作の舞台である1950年代に制作された映画では忠実に描かれてこなかったセックスシーンを描くことは、特にこだわった部分であることを明言しており、とりわけ、女性の快感を忠実に描くことを心がけたとして、本作を観た人たちには「女性の渇望や、こうした類の女性の快感を目にすることが滅多にないということを認識してもらえたら」と昨年12月に米Vogueのインタビューで語っている。

画像: 予告編が解禁されると、監督と俳優に温度差

 一方で、“アイコニックすぎる”という理由で映画『エルヴィス』の主演に選ばれなかったという逸話を持つほどのスターであるハリーが主演しているだけに、予告編が公開されて以降、本作をめぐってはセックスシーンが話題になることも多かったが、フローレンスとしては、セックスシーンばかりが注目を集めてきたことに不満も感じているという。

 「自分たちのセックスシーンの部分や、世界で最も有名な男性が誰かに乗っかる部分だけにフォーカスされてしまいますが、私たちはそのためにやっているわけではありません。私はそういうことのためにこの業界にいるのではありません」とフローレンスは今月公開された米Harper's BAZAARとのインタビューで語っている。「もちろん、世界一有名なポップスターを起用すればそういう話題になってしまうわけですけど、私はこれについて議論するつもりはありません。なぜなら、(この映画は)そうしたことよりも偉大で、良質なことについてのものなので。そして、この作品を作った人たちもそうしたことよりも偉大で良質です」。

 女性の快感を描いたセックスシーンについて誇らしげに語るオリヴィアと、ハリーと共演したことで否が応でもそのセックスシーンに注目が集まりがちなことに、複雑な思いを抱いていることを打ち明けたフローレンス。どちらの発言もおかしくはないのだが、フローレンスの発言は監督であるオリヴィアの意見を否定かのようにとらえられ、両者の間には不仲説が浮上することとなり、とりわけ、フローレンスがオリヴィアのことを快く思っていない可能性を示す“証拠”とされるものがいくつも指摘されている。

不仲説を加速させたSNSでの動き

 まず指摘されているのが、2021年3月の時点で本作のファーストルックが公開されていたにもかかわらず、フローレンスが今月に入るまでまったくと言っていいほど本作の宣伝を自身のSNSなどでしていなかったという点。

 フローレンスは8月12日にラブシーンを含まない本作の短いトレーラー映像を自身のインスタグラムに投稿し、「『誰しもにこの機会が訪れるわけじゃない』。間もなくだよ! 9月23日に劇場で限定公開」と綴るに留まった。

 およそ1年半にわたってSNSなどで全く本作の宣伝をしていなかったフローレンスだが、2021年2月に撮影を終えた時点では、セットの写真などを投稿して、撮了をファンに報告していた。しかしながら、この時投稿された一連の写真に監督であるオリヴィアは写っていなかった。ちなみに、キャプションであらゆるクルーに感謝を伝えていたこの投稿で、“オリヴィアに対して感謝しなかった”とする噂もあったがそれは誤りで、オリヴィアの名前こそ登場していないものの、「ディレクター(英語で“監督”の意味)」には感謝を伝えている。

 一方でオリヴィアは先月、フローレンスのアカウントをタグ付けした上で、「この女性の仕事ぶりを観るのは本当にゾクゾクする! みんなにもっと見てもらうのが待ちきれない」と彼女に賛辞を寄せていたが、フローレンスはこの投稿に反応を示さなかった。

 また、フローレンスは自身が表紙を飾った米Harper's BAZAARの表紙が公開された際、それを祝福したジェンマ・チャンや、ハリーの衣装を手がけるデザイナーであるハリス・リードの投稿をインスタグラムストーリーズでシェアしたものの、同じく祝福したオリヴィアの投稿はシェアしなかったともされている。

不仲の原因はハリー・スタイルズ? ギャラ格差?

 2020年11月に当時の婚約者で、自身の2人の子どもの父親である俳優ジェイソン・サダイキスとの婚約を解消したオリヴィア。彼女は『ドント・ウォーリー・ダーリン』のセットで意気投合したことがきっかけでハリーと交際に発展したが、情報筋が先月に米Page Sixに明かしたところによれば、フローレンスは、まだジェイソンと婚約中だったオリヴィアが、撮影現場でハリーと仲睦まじくしているのを快く思っていなかったとしている。

画像: 不仲の原因はハリー・スタイルズ? ギャラ格差?

 「事実として、現場でオリヴィアとハリーが常に一緒にいるところを見ることを、フローレンスとしては快く思っていませんでした。オリヴィアが最初にハリーといい感じになった時は、彼女はまだジェイソンと婚約中でしたから」と情報筋は先月米Page Sixに明かしている。

 「ジェイソンと子どもたちは、撮影の初期の頃に何度かオリヴィアのもとを訪れていましたから、(ハリーと仲良くしているのを見るのは)全員がちょっと不快に思っていたのではないでしょうか」。

 また、ハリーは確かにポップスターだが、『ドント・ウォーリー・ダーリン』の主演はあくまでフローレンス。しかしながら、米Showbizgaloreの報道によれば同作のギャラはフローレンスが70万ドル(約9,500万円)と見積もられている一方で、ハリーが250万ドル(約3億4,000万円)とハリーのほうが高いと見られており、米BuzzFeedはこのギャラ格差もフローレンスが不満を募らせている可能性のある一因ではないかと指摘している。

オリヴィア・ワイルドがギャラ格差を否定

 これに対して、オリヴィアは2022年8月末の米Varietyのインタビューで、「でっち上げられたクリックベイトの不条理さや、それに続いた、我々の主演と助演俳優たちの間の存在しない賃金格差に対する反応には、本当に動揺してしまいました。この業界に20年以上にわたって身を置いてきた1人の女性として、私は自分や他の人たちのためにそうした問題に立ち向かってきましたし、監督の立場ではなおさらです。それらの主張には正当性が一切ありません」として、一部で報じられたような主演と助演間の賃金格差はないときっぱり。

 そして、「私は彼女に圧倒されてきました。映画そのものも大好きですが、彼女のことも私は大好きです。私としては、『彼女は特別な人。一緒に仕事をする若手女優の中でも最高にワクワクするような人であることは明らか』という感じでしたから」と、フローレンスへの賛辞を寄せた。

シャイア・ラブーフが動画をリーク、主演同士で不仲があった?

 オリヴィアが米Varietyにて「安全で信頼できる環境」を作るために当初の主演だったシャイア・ラブーフをクビにしたと発言した直後、シャイアがクビではなく自分から降板したと主張したうえで、オリヴィアから送られてきたメールや映像をVariety側にリーク。

 その動画内でオリヴィアはシャイアに残留するよう求めており、加えて、「これはフローさん(※フローレンスのこと)にとって、ちょっとした気づきになるかもしれませんね。もし彼女が本気で取り組んだら、もし彼女がこの時点で本気で心を入れ替えたら、そしてあなたたちが和解できたら...私はあなたの視点も彼女の視点も尊重するわけですが...でももしあなたたちがそうできたら、どう思う?希望はあると思う?」とも語っているため、シャイアとフローレンスの間で不和があった可能性が初めて露呈した。

ベネチア映画祭で5分のスタンディングオベーション、しかしその裏で…

 不仲や降板騒動でザワつくなか、ベネチア国際映画祭で『ドント・ウォーリー・ダーリン』でワールドプレミアを迎える。結果、映画は5分のスタンディングオベーションを受ける大絶賛となった。しかしここでも何かと舞台裏での出来事が話題を集める。

画像1: ベネチア映画祭で5分のスタンディングオベーション、しかしその裏で…

 まず、レッドカーペットのフォトコールでのフローレンス、ハリー、オリヴィアの立ち位置。フォトコールでは、主演の2人のツーショットや、主演と監督のスリーショットが提供されることが多く、さらにグループショットでは中央に主演2人が並ぶことが多いが、今回はフローレンス、ハリー、オリヴィアの間には毎回誰かが立つという構図に。フローレンスはレッドカーペット上でクリスやジェンマらほかのキャストと盛大にじゃれる姿が目撃されたものの、ハリーやオリヴィアと交流する姿はゼロ。

画像2: ベネチア映画祭で5分のスタンディングオベーション、しかしその裏で…
画像3: ベネチア映画祭で5分のスタンディングオベーション、しかしその裏で…

 さらにフローレンスはプレスイベントに参加せず、プレスイベントである記者がシャイアの降板騒動に触れたときには司会によってその質問は却下された。

画像4: ベネチア映画祭で5分のスタンディングオベーション、しかしその裏で…

ハリーVSクリス・パインで“唾吐き疑惑”が話題に

 ベネチア国際映画祭で5分のスタンディングオベーションを受けた日に、会場で席に着こうとしたハリーがかがんだときに隣の席に座っていたクリスに唾を吐いたという疑惑がSNSで拡散。掲載された動画では、ハリーが唾をはいているように見える行動をしたあとに、クリスが突然拍手をやめて首を振るような動作(※欧米では呆れた・失望した時にするしぐさ)をしたため、ウワサは加熱。

 それを受けて、クリスが「これは馬鹿げた話です。完全に作り上げられたもので、人を欺いて愚かな憶測を誘うようなオンライン上の幻想の結果です。念のために言いますが、ハリー・スタイルズはクリス・パインに唾を吐いたりはしていません。この2人の間には尊敬の念しかなく、そうでないという指摘は、単に存在しないドラマを作り出そうとする露骨な試みです」と声明で否定した。

フローレンス・ピューが『テッド・ラッソ』からカットされた?【最新情報】

 ハリー・スタイルズの“唾吐き動画”がSNSで拡散されるなか、今度は、フローレンス・ピューがオリヴィア・ワイルド監督の元パートナーであるジェイソン・サダイキス制作のドラマ『テッド・ラッソ』に出演するはずが出演シーンがカットされたというウワサがSNSで加熱。

 9月7日に、あるツイッターユーザーが「みんな、この騒動は何層にもう深いよ」というコメントを添えて公開した写真には、フローレンスが『テッド・ラッソ』のセットとみられる場所で撮影をする姿が映っている。しかしこの写真は2021年にすでにネット上に出回ったもので、最近撮られたものではない。『テッド・ラッソ』シーズン1の第2話は、フローレンスの当時の彼氏であるザック・ブラフが監督したため、その関係でカメオ出演するはずがシーンがカットされた可能性が高い。セレブのカメオ出演がカットされることは珍しいことではない。

 オリヴィア・ワイルド監督は撮影現場で俳優たちの安全を優先する監督というイメージが強く、長編映画監督デビュー作『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』はこれまでにないレプリゼンテーションのある青春映画として高く評価され、新作『ドント・ウォーリー・ダーリン』もそういった面で期待値の高い作品。現時点でシャイア・ラブーフの行動に対するオリヴィア・ワイルド監督側からの反応はない。(フロントロウ編集部)

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