『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』でシルヴァン・エルフのアロンディルを演じたイスマエル・クルス・コルドバが、2年前からSNSで人種差別を受けてきたと明かした。(フロントロウ編集部)

白人以外へのキャストにヘイトスピーチ、ふたたび

 Amazonプライム・ビデオでドラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』が9月2日より配信開始となり、初日の視聴者数が世界で2,500万人を超える記録をたたき出した。これはプライム・ビデオ史上最大のもの。

 J・R・R・トールキンによる同名小説を基にした作品としては、2001年から2003年にかけて公開された映画『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビット』が有名だが、これらは作品の時代区分として第三紀に起こったもの。ドラマは第二紀の時代設定となっている。

 そのため、ドラマには新しいキャラクターや、『ロード・オブ・ザ・リング』に登場した長生きなキャラクターの若かりし頃など、新旧のキャラクターが登場する。そして本作では、白人以外の俳優も多く起用された。個性豊かなキャラクターたちが世界を飛び回る姿は、ファンタジー作品にとって良いエッセンスでしかないはずだが、人種差別な反発が発生している。

 しかし、これは今起こったばかりのことではないという。シルヴァン・エルフの戦士であるアロンディルを演じた、プエルトリコ人のイスマエル・クルス・コルドバは、この2年間、SNSのダイレクトメッセージで「生粋の悪質なヘイトスピーチ」を受け取ってきたと明かす。2年前というのは、彼が『力の指輪』にキャスティングされた頃。

画像: 白人以外へのキャストにヘイトスピーチ、ふたたび

 これまでも、『スター・ウォーズ』シリーズや『リトル・マーメイド』など、原作を持つ作品やフランチャイズ作品で、白人以外の俳優が起用されたことで、その俳優に向けてヘイトスピーチをするインターネットユーザーは残念ながら多くいた。そんなこともあり、今回は自分に向けて誹謗中傷がくるだろうと分かっていた様子のイスマエルは、米Esquireのインタビューでこんな思いを明かした。

 「これこそ、私がこの役を得るために一生懸命闘った理由です。私は先に行けると思った。私のエルフが最もエルフらしく、最も素晴らしくなれるように気をつけていました。なぜなら、これ(トロール)が起こると分かっていたからです」

 先陣を切って進むことに、苦労は多い。しかし彼が本作に出演したからこそ、彼は胸を張ってこう言えるのだ。

 「“でもエルフはそんな外見じゃない”というのは言い訳になりません。そうじゃなかったのかもしれませんが、今はそうなんですから」

 『力の指輪』の公開をきっかけに、プライム・ビデオが導入したと見られるレビューの新システムも注目を集めている。今後は、映画やドラマのレビューは72時間後に反映されるよう。その間に、そのレビューが本物か、ボットによるものか、ただの誹謗中傷かなどが判別され、ボットや誹謗中傷は表示されない。

(フロントロウ編集部)

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