ジェニファー・ローレンスが、共和党を支持する家族との苦労や、政治に参加しない人との関わり、人権や銃規制などについて思い。望まない妊娠を経験していたことも告白した。(フロントロウ編集部)

ジェニファー・ローレンス、人権を認めない家族と対立

 映画『ハンガー・ゲーム』や『ドント・ルック・アップ』などで知られるジェニファー・ローレンスは、アメリカのケンタッキー州で共和党を支持する家族とともに生まれ育った。そのため、2008年の大統領選挙では共和党の候補者に投票したが、2020年の大統領選ではバイデン候補に投票し、現在は民主党支持者であることを明確にしている。彼女はこれまで、共和党のトランプ前大統領を批判してきているため、2016年の大統領選から民主党を支持してきたと見られる。そして、その選挙が家族との関係が難しくなるきっかけだったそう。

 米Vogueのインタビューで、「この5年間、父や家族を許して、理解するためにかなり努力してきたんです。みんなは違う。みんなが得ている情報は異なる。みんなの人生は違うのだと」と明かしたジェニファー。ということは、家族は現在も共和党を支持しているよう。

 共和党は女性の人権やLGBTQ+の人権といった事柄を認めない傾向が強い。人権を守ろうとする人と、守ろうとしない人の間の溝は深く、家族内でその溝に苦しんでいる人は少なくない。ジェニファーは、「自分の家族を軽蔑したくない。でも多くの人が、それぞれの家族と同じ状況になっていることを知っています」としたうえで、娘という立場から、「生まれた時から娘を育てていて、彼女には同じ権利が値しないと信じられるのはなぜ?どうやって?」という息の詰まる思いを吐露した。

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 そのため、家族との関係をスムーズにしようと努力しているものの、簡単には上手くいっていないよう。「メールでは(政治の話を)話題に出すこともあります。ただ、送信、送信、送信、送信、送信という感じで。でもそれに返信はこない。すると私が申し訳なくなって、赤ちゃんの写真を送るんです」と、関係を円滑にする難しさを語り、続けて、政治が腐敗するなかで政治について無関心な人と「関わるのはもう無理」だと話した。

 「乗り越えようとしましたが、本当に出来ない。出来ないんです。愚痴ってしまってすみません。でももう、政治的でない人と関わるのは無理なんです。みんなはアメリカに住んでいる。なら政治的になる必要がある。切迫しているんです。政治が人を殺している」

望まない妊娠を経験していたことを告白

 アメリカにおいて、2022年6月に女性の中絶の権利が守られなくなったことも共和党の影響が強い。トランプ前大統領が最高裁判所の新しい判事に保守派の3人を選んだことで、判事9人のうち6人が保守派になったから。

 ジェニファーはトランプ前大統領を、“腐っている”という意味を込めて「危険なマヨネーズ(a dangerous jar of mayonnaise)」と呼び、そして、20代前半の頃に望まない妊娠をしていたことを告白した。中絶を受けるつもりだったが、その前に流産したのだという。その後ジェニファーは2019年に結婚し、妊娠したが、映画『ドント・ルック・アップ』の撮影中にふたたび流産を経験。しかしその数カ月後にふたたび妊娠し、2022年2月に出産した。

 一連の経験を通して、ジェニファーは中絶の権利が保障される必要性を強く感じている。「素晴らしい妊娠をしました。非常に恵まれた妊娠をしました。でも、私の人生はその時々で異なっていた。そしてたまに考えるんです。“もしこれを強制されていたら?”と」と話した彼女は、妊娠中に中絶の権利のためのデモに参加していた。

女性でありハリウッドスターであるジェニファーが実感した賃金格差

画像: 女性でありハリウッドスターであるジェニファーが実感した賃金格差

 女性の人権問題では、女性のほうが得られる賃金が低いという問題もある。2014年にソニー・ピクチャーズ・エンターテインメントがハッキングされ、自分のギャラが男性俳優たちよりもかなり低いことを知ったジェニファーは、賃金格差についても声をあげてきた

 さらに彼女は、俳優として様々な場所で撮影をするなかで、お金というものがどれだけ上層部の一部に集中し、労働者には行き渡っていないかを目の当たりにしたという。

 彼女によると、共和党支持者は社会全体で社会的弱者を守ることに対して、「なぜ私の税金で、あなたの良い生活を払わなければいけないのか?」と反対する傾向があるという。しかし、男性俳優と比較すれば低いが、社会的には非常に高額なギャラを受け取っている立場として、ジェニファーは「自分の給料の半分がどこかへ行くのを見たい人はいない。でも私にとって、それは理にかなっています。社会全体のための良いことのためには、それは理にかなっている」と語った。

親となったことで感じる銃の脅威

 そして、アメリカでは銃の問題がある。銃規制については長年議論が続けられているが、共和党の議員が反対することは多い。現在、赤ちゃんを育てているジェニファーは、「私は小さな男の子を育てていて、彼はいつか学校へ通います。銃はアメリカの子ども達にとって最大の死因です。なのに人々は、全米ライフル協会からお金を受け取っている政治家達に投票を続けています。それには驚愕させられます」と話した。

 若い頃は家族や周囲の環境によって、価値観が形成されていく。しかし、ジェニファーのように社会経験を積み、社会問題を理解し、家族とは異なる価値観になる人は少なくない。そのため、ジェニファーが家族との苦労や思いを語ることで、自分は1人じゃないと励まされる人は多いはず。

(フロントロウ編集部)

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