ティモシー・シャラメ、現代社会を生きる苦しさを指摘
映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』や『DUNE/デューン 砂の惑星』などで知られるティモシー・シャラメが、彼の名を一躍世界に知らしめた『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督とふたたびタッグを組んだ作品『Bones and All(原題)』を引っさげて、第79回ヴェネチア国際映画祭に登場。
本作は、レーガン政権下の1980年代アメリカで、暗い過去を抱える少女マレンと少年のリーが、アメリカを横断する1,000マイルの旅をする姿を描く。カニバリズム(食人)をテーマにしているホラーラブストーリーである本作の予告編では、テイラー・ラッセルが演じるマレンと、ティモシーが演じるリーが見つめあうロマンチックなシーンから、叫び声が響き渡る張り詰めたシーンまで見ることができる。
本編を見ないかぎり、特殊なジャンルの本作がどのような物語なのかは分からないが、ティモシーはリーを演じることで「安心」したという。その理由には、彼が感じている現代を生きるうえでの苦しさがあった。
「いつの時代でもかもしれませんが、僕は自分の世代についてしか話せないので…、現代で若いということは、激しく批評されるということです。大量のSNSの中で育つということが、どんな感じか想像がつきません。なので、心の中でジレンマと闘い、RedditやTwitter、InstagramやTikTokを使う手段がないなかで、自分の居場所を探しているキャラクターを演じるのは安心することでした。僕は(SNSの存在を)批判しているわけではなく、もしそこで自分の仲間を見つけることができれば、力になります。でも現代で生きるのは大変なことでしょう。社会的崩壊が漂っている感じがします。だからこそ、この映画が問題になってくれることを願います。社会で何が起こっているのかに光を当てるのが、アーティストの役目なので」
インターネットが普及して情報社会となった現代は、経済の在り方もあいまって、1人1人が日々批判や意見を受けながら生きている。ティモシーといえば、ハリー・スタイルズと“男らしさ”について話しあったり、社会について意見を述べてきたりと、社会の在り方を考えてきたタイプ。そんな彼だからこそ、より一層現代社会の苦しさに気がついてしまうのだろう。
「社会的崩壊が漂っている」とまで話したティモシーだが、その事実に絶望することなく、映画作品を通して問題を提起しているのはさすが。『Bones and All』とは一体どのような作品なのか。アメリカでは11月23日に公開予定。日本での公開は未定。
(フロントロウ編集部)