現地時間9月27日から29日にかけてエンターテイメントの聖地ラスベガスで開催された豪華フェスティバル「JBL FEST」。2日目に圧巻のライブを披露してくれた、ザ・キッド・ラロイとドージャ・キャットのステージをまとめてレポート。(フロントロウ編集部)

JBL FEST2日目のステージにドージャ・キャットとザ・キッド・ラロイが登場

 現地時間9月28日、米ネバダ州ラスベガスにて3日間にわたって開催されている豪華フェスティバル「JBL FEST」の2日目となったこの日、メインイベントである「JBL LIVE!」のステージで、ドージャ・キャットザ・キッド・ラロイという2人のスーパースターがパフォーマンスを披露した。

画像: JBL FEST2日目のメインイベント「JBL LIVE!」の会場となったヴァージン ホテルズ ラスベガスの屋外ステージ。

JBL FEST2日目のメインイベント「JBL LIVE!」の会場となったヴァージン ホテルズ ラスベガスの屋外ステージ。

 世界最大級のオーディオブランドであるJBL(ジェービーエル)が主催する、今年で4回目の開催を迎えたこのフェスティバルでは、ブランドのアンバサダーを務めるアーティストがパフォーマンスを披露するのが恒例。初日に屋内のイベントスペースでヒット曲満載のパフォーマンスを披露して観客を盛り上げたビービー・レクサのステージから場所を屋外に移して、共に今年に入ってからJBLのアンバサダーに就任したばかりのドージャとラロイの2人がステージに立った。

ザ・キッド・ラロイがエネルギッシュでエモーショナルなステージを披露

 今回、会場として用意されたのは、ホテルの敷地内にある芝生のエリアで、全米や世界中から駆けつけた観客は数百人といったところだろうか。初日に少人数のオーディエンスを相手にパフォーマンスを行なったビービーのステージもそうだったが、ラロイとドージャという、共に今年のグラミー賞で最優秀新人賞にノミネートされてスターへの階段を登った2人をこの規模で観られるのも、JBL FESTならではの贅沢だと言える。

画像1: ザ・キッド・ラロイがエネルギッシュでエモーショナルなステージを披露

 オープニングDJを務めたDJヌードルズが会場を温めた後で、先にステージに立ったのはザ・キッド・ラロイ。白のTシャツにアイコニックなサングラス姿で登場して、2019年にリリースした「Let Her Go」からステージをスタート。彼は「レッツ・ゴー!」と冒頭から観客を煽りながら会場を盛り上げ、ステージにエネルギッシュな空気を充満させていく。

 2曲目に披露した「Diva」で「ジャンプできるかい?」と観客に呼びかけたラロイだが、当の本人はステージに登場した時からずっとリズムに合わせてジャンプし続けていて、19歳だからこそのエネルギッシュな動きが印象的。「今朝LAに到着したんだ。JBL FESTに初めて出ることができて嬉しいよ」と、これがJBL FESTデビューであることを報告したラロイは続けて、「ジュース・ワールドを好きな人は?」と観客に問いかける。「ジュースよ永遠に!」と、観客とのコール&レスポンスで師匠である今は亡きジュースにトリビュートを捧げたラロイは、自身の16歳の時にジュースから送られたヴァースが収録されている「GO」をパフォーマンス。ジュースのパートがスピーカーから流れた時には、観客に耳を傾けるよう促すようなジェスチャーも見せるなど、ジュースへの愛に満ちたパフォーマンスとなった。

 常に飛び跳ねているラロイのパフォーマンスに象徴されるように、ラロイの楽曲は激しいテンポのものが多いが、歌詞はエモーショナルなものであることが多いのも特徴。続けてドラムの上に立って披露した、自身の「悲劇的」な幼少期を振り返るリリックが綴られた「TRAGIC」もそんな楽曲の1つで、後半のパートで披露された胸を打つような力強いアカペラも含めて、この時点で集まったほどんどの観客の心を掌握していたと思う。

画像2: ザ・キッド・ラロイがエネルギッシュでエモーショナルなステージを披露

 「TRAGIC」のパフォーマンスではドラムの上に立っていたラロイが次に立ったのは、観客とステージを隔てるフェンスの上。警備員2人に支えられながらフェンスに立ったラロイは、「JBL! JBL!」のコール&レスポンスでJBLを称えて、「WRONG」をパフォーマンス。ここでも腕を上下に動かすように煽るなど、オーディエンスを先導していったラロイは、続けてマシン・ガン・ケリーとの「F*CK YOU, GOODBYE」を披露するにあたって、「失恋した経験がある人は?」と観客に質問する。アレクシアというファンの女性が「テキサス」という男性に失恋したと告白すると、ラロイは「ファック・ユー、T(テキサスのイニシャル)!」とシャウト。「みんな、中指を立ててくれ。この曲はTに捧げるよ」と促して、会場を1つにした。

ジャスティン・ビーバーとの「STAY」で会場中が一斉にスマホを取り出す

 その後、ギタリストのジェフと共に椅子に座って「Thousand Miles」をアコースティックで披露したラロイ。10月9日にWIRED MUSIC FESTIVALでついに初来日を果たすラロイだが、自身初となるヘッドライン・ツアーを終えたばかりであることをここで報告。「グッズを買ってくれた人もいるよね」と、オーディエンスの中に自身のグッズを身につけたファンを発見したラロイは、「来てくれた人たちや、昔からサポートしてくれた人たちに感謝を伝えたい。今日は来てくれてありがとう」と、自身のファンに感謝した。

画像: ジャスティン・ビーバーとの「STAY」で会場中が一斉にスマホを取り出す

 ヘッドライン・ツアーを終えた経験と自信からか、この日のラロイは完全にリラックしてパフォーマンスができていて、ドラムに移動して「下手なドラムだけど、何の曲か分かるか俺と勝負をしよう」というお茶目なゲームからスタートした「So Done」も、伸び伸びと歌い上げ、笑顔を浮かべながら終始リラックスしていたのが印象的だった。

 「残り2曲だよ」と告げた上で、ラロイが次の曲について「人生を永遠に変えてくれた1曲。親友の1人と一緒にやった曲だよ」と紹介すると、観客から大歓声があがる。全員の予想通り、ここ日本でも大ヒットとなったジャスティン・ビーバーとの「STAY」のイントロが流れると、観客が一斉にスマホを掲げて撮影を開始。不在のジャスティンのパートでは観客の大合唱が起きるなど、6週にわたって全米シングルチャートを制した楽曲ならではの光景が広がった。

 そして、ラロイがこの日最後に披露したのは、自身の出身国であるオーストラリアのシングルチャートで初めて1位を獲得した代表曲「WITHOUT YOU」。「1人になるのが怖いんだ」と孤独を恐れる気持ちを吐き出す、彼のキャラクターを象徴するエモーショナルな1曲でセットを締めて、最後は両手でハートマークを作ってステージを後にした。

40分で15曲をパフォーマンスする超濃密なセットを披露したドージャ・キャット

 ザ・キッド・ラロイが約45分で全10曲をパフォーマンスする濃密なセットを披露した後で、さらに濃縮された濃縮還元100%以上とも言える圧巻のセットを披露したのが、ドラマーにキーボーディスト、ギタリストというバンドをバックに、コウモリをイメージしたようなインパクト抜群の衣装で登場したドージャ・キャットだった。

画像: 40分で15曲をパフォーマンスする超濃密なセットを披露したドージャ・キャット

 ステージに登場したドージャは、彼女にしか着こなせないようなユニークな衣装もそうだし、バズカットの頭頂部に2箇所エクステを結んだヘアスタイルも、先月生配信中に全剃りした眉毛の部分に描いていた細い眉毛も、ひたすらに我が道を突き進む“ドージャ・キャット”に抱いていたイメージそのままの姿だった。この日の会場ではドージャのグッズを着たファンを多く見かけたが、1曲目に披露された、最新作『プラネット・ハー』に収録された「Options」のイントロから、多くの観客がスマホで撮影していた。

 この日のドージャは最初からアクセルが全開で、2曲目の「Up And Down」で早くも、飛び跳ねながら「カモン!」と観客を煽っていく。ドージャのエネルギーに合わせるかのように、ステージの演出も冒頭からフルスロットルで、煙だって惜しみなく上がる。一度観客にお尻を向けた後で、振り向きざまに披露された3曲目の「Get Into It (Yuh)」では、息継ぎなしの高速ラップを披露し、大歓声に迎えられる。驚くべきは、開演から矢継ぎ早に3曲が披露されたが、ここまでがわずか6分間に起きた出来事だということ。文字通り息をつく暇もない連続パフォーマンスで、一気に観客を引き込んでいく。

 『プラネット・ハー』収録曲の3連打を経て、前作『ホット・ピンク』より「Juicy」をお尻を振りながら披露。同曲のパフォーマンスを終えた頃には、自然と「ドージャ!」コールが巻き起こるなど、すっかり観客たちはドージャの虜に。続けて、赤いライトに照らされながらギタリストがステージ前方に歩いていき、誰もが知る「Say So」のイントロをかき鳴らし始める。

 この日は2020年のMTV EMAで披露したような、バンドの演奏を前面に出したロック・バージョンで「Say So」を披露。観客が最も聴きたい1曲を、オリジナルのバージョンではなく、自分の好きなようなアレンジで披露しても観客を満足させてしまえるところがドージャのすごいところだが、何よりも、自身初の全米1位シングルである同曲をこの順番で披露しても問題ないという事実が、ドージャが成し遂げてきた功績の大きさを物語っていた。バンドサウンドが基調となっていたこの日は終始、身体の内側まで響いてくるドラムなどの低音がアクセントとなっていたが、それはステージに使われていたJBLのスピーカーによるところも大きかっただろう。

圧倒的な存在感を放っていたドージャ・キャット

 「Say So」のロック・バージョンを楽しそうにパフォーマンスし、最後にキリッとした表情を浮かべてみせたドージャが、観客を余韻に浸らせる間すら与えずに続けて披露したのは、「Bottom Bitch」。ここでもお尻を振りながら飛び跳ねてパフォーマンスを行なって、コーラスのパートに遊びを入れるなど、ライブならではのアレンジで歌唱していく。

画像1: 圧倒的な存在感を放っていたドージャ・キャット

 「次はお気に入りの曲だよ」というMCを経て「Why Why」を披露した後で、「携帯のライトを掲げて!」と促して文字通りの「Shine」をパフォーマンス。ここでは美しいファルセットを聴かせて、ボーカリストとしての表現の幅広さを示したドージャだったが、観客に向かって何度も笑みを向けるなど、何よりも、嬉しそうにパフォーマンスしていたのが印象的だった。この曲も最後はギターソロで締めくくられるなど、一見しただけでは“ドージャ・キャットのライブ”だと分からないかもしれない光景もあるのだが、その遊び心もドージャだからこそ。どんなアレンジでも間違いなくその中心には“ドージャ・キャット”という個性が存在していて、彼女ならではのパフォーマンスとして成立させてしまうのがすごい。

 続く「Streets」では、観客と交互にラップを披露していくという、英語圏ならではの光景も生まれることになり、曲半ばで転調してメドレー形式で披露されたザ・ウィークエンドとの「You Right 」では、自分自身でザ・ウィークエンドのパートも担当する。アウトロでは後ろを向いて、妖艶なダンスを披露する余裕も見せたドージャが続けてパフォーマンスしたのは、これまたドラムの使い方が象徴的だった「Need To Know」で、「ドリンクで乾杯して 一口飲ませて/どんなプレイがお好き? アレをちょうだい」という大胆な歌詞でシンガロングが巻き起こったこの日の光景からは、自身の性的な側面を隠さないドージャのキャラクターが現地でいかに受け入れられているかが伝わってきた。

 ドージャはここでウェーブを煽り、リコ・ナスティーとの「Tia Tamera」のパフォーマンスへと突入していく。「DJ、ぶち上げて!」というドージャの合図で演奏はさらに迫力を増して、ここではパワフルなドラムソロも披露されたが、その音圧は圧巻。それに一切負けていないのがドージャの存在感なのだが、今年のコーチェラ・フェスティバルでヘッドライナーに推す声も多くあったほどのワールドクラスのヘッドライナー級アーティストを、この規模で観られてしまうところに、JBL FESTのフェスティバルとしての強さを改めて感じる。

画像2: 圧倒的な存在感を放っていたドージャ・キャット

 続けてこちらもファルセットが印象的な「Ain't Shit」で観客の大合唱を生んだ後で、嬉しそうに「へへへへ」と可愛らしく笑ってみせたドージャ。「Like that」を少しだけパフォーマンスした後で、フィナーレに添えたのは、今年のグラミー賞でBTSの「Butter」などをしのいで最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を受賞したシザとの「Kiss Me More」。この曲も披露されたのは一部だけだったが、この日、40分のセットを通して披露されたのは、ギュッと凝縮された15もの楽曲たち。必ずしも特大の大ヒット曲たちをフルでパフォーマンスしなくとも、オーディエンスはその濃密なステージにすっかり満足していた様子だった。

 ドージャのありとあらゆる魅力が所狭しと詰め込まれた40分のステージで、唯一の心残りがあったとすれば、ここラスベガスで披露されるかが注目されていた最新シングル「Vegas」は披露されなかったということ。会場ではドージャがステージを去った後も、「もう1曲!」というコールが続いていた。

 ごく小規模の会場でザ・キッド・ラロイがエネルギッシュなパフォーマンスで観客のボルテージを高めた直後に、畳み掛けるようにドージャ・キャットが圧倒的なパフォーマンスを披露するという、世界でも他にはない豪華すぎるステージが実現したJBL FEST。ドージャもラロイもアンバサダーに就任するにあたって“元々JBLのファンだった”ことを明かしていたが、磐石の音響も含めて、まさにJBLにしかできないフェスティバルを観ることができた。(フロントロウ編集部)

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