チャドウィック・ボーズマンの死を経て、ついに完成・公開となったMCU映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は、全編を通してチャドウィックへの愛を示した作品です。これまでのマーベル・スタジオ作品やチャドウィックについて詳しく知らなくても、愛する人を失くした悲しみや苦しみが理解できる人であれば、号泣必至のヒューマンドラマになっています。ハンカチやティッシュをお忘れなく。
しかし、私が別の意味でむせび泣いたのは、本作が社会を生き抜く女性たちの物語になっていることです。当初はチャドウィックが引き続き主演として考えられていたでしょうから、この展開は意図しないものだとは思いますが、バイアスが入らないように見事にまとめあげたライアン・クーグラー監督の手腕には拍手を送りたい。
映画が誕生して約130年。暗闇からかっこよく登場して圧倒的強さで敵を倒したかったし、女友達とみんなで車などをぶっ飛ばして騒ぎながら空飛びたかったし、炎の中からバイクでかっこよく飛び出してきたかったし、上からかっこよく飛び降りて集まっていた人の息呑ませたかったし、胸やお尻が強調されてないピンクじゃない衣装着たかった女性は多いと思います。本作では、その夢がすべて叶います。
それに、メインストリームで超大作と呼ばれる作品のエンディングクレジットで、主演であるレティーシャ・ライトに続き、女性の名前があんなに連続して流れるのを見るのは初めてといっても過言ではなかった。また、母1人娘1人となり、ワカンダの王となったラモンダ王を演じたアンジェラ・バセットの演技は本当に見事です。
そんな作品を彩るファッションが、アメリカ内におけるブラックコミュニティ、世界各地のブラックコミュニティの美的センスを感じられるものになっているのも素敵でした。
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は、ぜひ劇場で見てほしい作品です。筆者は、劇場で1回見たら十分派なのですが、本作はまた劇場に見に行こうと思っています。
映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は、11月11日に全国ロードショー。
(フロントロウ編集部)