『SHE SAID/シー・セッド』のキャリー・マリガンが産後うつについて、多くの人が経験しているのに、それぞれが孤独に闘っていると思いを語った。(フロントロウ編集部)

キャリー・マリガン、MeTooを起こしたジャーナリストに共感

 2017年に性暴力にNOを突きつけるMeToo運動を起こすきっかけとなった、超大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによる何十年にもわたる性的暴行事件の報道。世界を変えた記事のために調査を進めた2人のジャーナリストを描く映画『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』では、キャリー・マリガンとゾーイ・カザンが主演を務める。

 世界に影響を与えたジャーナリストのミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターを描く本作。その脚本を読んだ時、ミーガンを演じるキャリーの心を動かしたのは、ミーガンが調査中に産後うつを経験していたことだったという。

 「脚本で最初に私の心に刺さったのは、ミーガンが産後うつを経験していたということです。7年前に、初めての子を産んだ後に私も非常に似た経験をしています。とても孤独で、とても怖くて、そしてその経験に対して非常に困惑していました」

画像: キャリー・マリガン、MeTooを起こしたジャーナリストに共感

 産後うつはその名前のとおり、出産の後に精神的に不安的になること。日本産婦人科医会によると10%~15%の女性がかかっている。そしてミーガンが産後うつになっていることに気がついたのは、それ以前に子どもを出産していたジョディだったそうで、ここではミーガンとジョディ、そしてキャリーが産後うつの経験者。

 非常に多くの女性が経験していることだが、キャリーは米Peopleのインタビューで、「あれが起こった時、自分は本当に1人きりだと感じていました。でもじつは、とても多くの人が経験しています。ミーガンも経験しています。私の友達の多くも経験しています。そしてみんなが、これを経験しているのは自分だけなのだと恐怖を感じていた」と話し、女性同士ですら共通の問題として認識できていないほど社会のなかで重要な会話としてなされていないという問題を指摘する。

 日本産婦人科医会は、産後うつの原因の可能性としてうつ病の既往の他、「パートナーからのサポート不足など育児環境要因による影響も大きいとされています」としており、母親のために産後の環境が整えられることは非常に重要。キャリーにとっては、2015年の映画『未来を花束にして』の撮影に参加できることが助けになったそうで、その撮影に参加できたのは周囲のサポートがあったからだと話す。

 そのため、ミーガンの経験にも共感と関心を抱いたのだろう。じつは、ハーヴェイの調査中にミーガンが産後うつになっていたことは、ミーガンとジョディがその過程を記したノンフィクションの著作でも言及されていない。しかし今回、映画でその事実にも触れられたことについてキャリーは、「ミーガンが、本では含まなかったそれを映画では含んでくれたことは、ただただ本当に素晴らしいと思いました。私はそれについて話したいし、それがどれだけ酷いものかを、しかし乗り越えられる方法があることを言いたい。それを経験している本当に多くの人がいます。そして映画というのは、(そういったトピックについての)会話をいつもスタートさせてくれる」と話した。

 ミーガンは映画について、「多くの働く母親がスクリーンのなかに自分を見つけ、自分の存在が可視化されていると感じると思います」と語った。

(フロントロウ編集部)

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