映画『ハリー・ポッター』シリーズのベラトリックス・レストレンジ役でおなじみのヘレナ・ボナム・カーターが、トランスジェンダーをめぐる発言で炎上した原作者のJ.K.ローリング氏を擁護。また、私生活のトラブルが原因でハリウッドから干されている友人のジョニー・デップについても言及した。(フロントロウ編集部)

ヘレナ・ボナム・カーターがJ.K.ローリング氏を擁護

 映画『ハリー・ポッター』シリーズで悪役のベラトリックス・レストレンジを演じた俳優のヘレナ・ボナム・カーターが、同シリーズの生みの親であるJ.K.ローリング氏をめぐる騒動について英The Sunday Timesのインタビューでコメントした。

画像: ヘレナ・ボナム・カーターがJ.K.ローリング氏を擁護

 映画『ハリー・ポッター』シリーズの原作小説の著者で、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズの脚本も手がける作家のローリング氏は、2020年6月にツイッターに投稿したトランスフォビア(※)的と受け取れる発言が大炎上。
※トランスジェンダー/トランセクシュアルに対するネガティブな感情・思想・行動

 ローリング氏は2万字にもおよぶエッセイやSNSを通じて主張を続けているが、トランスジェンダーの人々に対して誤解を招くような持論を後押しするなどして批判を受けており、ダニエル・ラドクリフやエマ・ワトソンをはじめとする『ハリー・ポッター』シリーズの出演者たちも彼女の考えに“賛同できない”というコメントを発表している。

 しかし、ヘレナはダニエルやエマとは反対意見のようで、ローリング氏が置かれた状況について「ひどいし、くだらない」と言うと、「彼女は過剰な批判にさらされていると思います。彼女には自分の意見を言う権利があります。とくに、彼女のような虐待の被害者は。誰もが自分のトラウマを抱え、そこから意見を形成しているのですから、その人の歴史や痛みを尊重しなければなりません。すべてのことに同意する必要はありません。(逆に同意しなければならないとしたら)馬鹿げているし、つまらないでしょう。彼女の意見に攻撃的な意図はありません。彼女は自分の経験から言っているだけです」と、ローリング氏がエッセイのなかで過去の性被害を告白したことに触れて、擁護した。

 続けて、『ハリー・ポッター』で共演した複数の俳優がローリング氏の発言を非難したことについて、彼らのことを“恩知らず”だと思うかと聞かれたヘレナは「そうは言いません」と回答。「個人的には、(ローリング氏に)言いたいことを言わせてあげればいいと思いますが、彼らは自分たちのファン層や世代を守ろうという意識が強いのだと思います」と一定の理解を示しつつも、「難しいですね。有名になったらエチケットも必要です。私はほかの有名人の話をすることには賛成できません」と本心ではあまり快く思っていないような口調で語った。

友人のジョニー・デップについても言及

 ちなみに、ヘレナはこのインタビューで、私生活のトラブルが原因でハリウッドから干されている友人で同じく俳優のジョニー・デップについても言及した。

 家庭内暴力(DV)を主張する元妻のアンバー・ハードと法廷闘争を続けるジョニーは、米Wasington Postに寄稿した論説を通じてDVを告発したアンバーを名誉毀損で訴えた裁判では勝利したが、自身のことを“妻に暴力を振るう者”と呼んだ英The Sunの発行元を名誉毀損で訴えた裁判では敗訴していることから、世論は、ジョニーに暴力を振るわれたというアンバーの主張を否定するジョニー擁護派と、アンバーの主張を支持するアンバー擁護派で真っ二つに分かれている。

画像: 友人のジョニー・デップについても言及

 「誰かを追放することなどできません。キャンセル・カルチャーは大嫌いです。ヒステリックすぎるし、まるで魔女狩りのようで、理解に欠けています」と、近年のキャンセル・カルチャーに苦言を呈すヘレナは、「彼(ジョニー)の汚名は完全にそそがれました」、「彼はもう大丈夫です。まったくもって問題ありません」と、今年6月、アンバー本人を相手取って行なった名誉毀損裁判で勝訴したことで、“ジョニーに対する疑念は晴れた”と語った。

 また、ジョニーがアメリカの裁判に勝利したことは、MeToo運動という振り子の揺り戻しだと思うかという質問には、「彼女(アンバー)はその振り子に乗ってしまったというのが私の考えです。それこそが問題点なのです。トレンドに便乗して、広告塔になろうと飛びつく人たちがいます」と答えた。

 ちなみに、ヘレナと同じくアメリカでの裁判の評決がジョニーの無実を証明していると見る人が多くいる一方で、この評決は、DVサバイバーたちに“告発をしたら否定されたり訴えられたり叩かれたりする”とより強く印象づけ、サバイバーたちが声をあげるのをやめる恐れがあると懸念する声も多く、最近になって、130以上の人権活動家やフェミニスト団体がアンバーに対する誹謗中傷を批判してアンバーを支持する声明を発表している。(フロントロウ編集部)

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