『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の舞台は海
2022年12月16日より全国の劇場で公開された『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』。世界の歴代興行収入1位に君臨する前作『アバター』から13年を経て公開された待望の続編である本作で描かれるのは、ナヴィたちが生息する惑星パンドラの美しい海を舞台にした、先住民ナヴィと、侵略を目論む人類との激しい戦いとそれをめぐるドラマ。
『タイタニック』などを手掛けた巨匠ジェームズ・キャメロンは撮影技法などに徹底的にこだわり、リアルをとことん追求することで知られる監督だが、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』でも、水中でのシーンをリアルに描くために特別な撮影方法を用いたという。
水中撮影はずっと息を止めて行なわれた
オフィシャルリリースによれば、本作での水中シーンの撮影は、リアルな海を再現した、長さ約36.5メートル/幅約18.3メートル/深さ約9メートルの巨大タンクの中で行なわれたという。水流を作り出すプロペラ・システムも搭載した上で、このタンクをパフォーマンス・キャプチャーのためのスタジオとして機能させた。
「海岸に打ち寄せる波も、その波に揉まれながら海から出てこようとする人々を描くこともできます」とキャメロン監督はコメントしている。「波と生物の相互作用も、海面に出てきて波に打たれて必死で呼吸しながらセリフを言う人々を描くこともできます」。
撮影クルーはリアルな海を再現させることに成功したが、パフォーマンス・キャプチャーの撮影を水中で行なうには、クリアな水であることが絶対条件。そのため、水中での撮影中は、出演者も撮影スタッフも全員が息を止めて臨んだという。「誰かがタンクの底で照明を持っていなければいけないとすれば、その人は息を止めて照明を持っています。カメラを回す人たちも息を止めています。もちろん、演者たちも息を止めて演技をしています」とキャメロン監督はオフィシャルリリースで明かした。
もちろん、俳優たちは演技のプロだが、息を止めて演技を行なうことに長けているわけではない。撮影を行なう前には、世界的に有名な水中のエキスパートであるカーク・クラックのもとで、フリーダイビングの技術を学んだという。
フリーダイビングの技術を学んだとはいえ、地上よりも自由が利かない水中かつ、ずっと息を止めている状態で演技を行なうのは想像するだけでも難しそうだが、ここまでの徹底ぶりはさすがキャメロン監督の作品。12月16日より全国公開中の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を観る時には、その圧倒的な映像美の背景にある、彼らの水中での努力にも目を向けてみてほしい。(フロントロウ編集部)