ジョーカーの性格を精神科医が分析
アメリカのサンフランシスコを拠点とする精神科医のエリック・ベンダー医師は、映画やドラマを精神科医の視点から分析するYouTube動画を配信している。そんな彼が、米GQによる動画で、バットマン作品に登場する悪役たちについて分析した。
バットマンの世界には犯罪者たちが送られる精神病院のアーカム・アサイラムがある。しかしベンダー氏は、「ジョーカーを見ると、まず初めに、彼はアーカム・アサイラムに属するのかと考えます」と話して、ジョーカーは精神病院に属するべきではないと結論を出した!
彼は、ジョーカーを見てもメンタルヘルスの病気を抱えているとは思えないという。一方で、ジョーカーは反社会性パーソナリティ障害の条件に当てはまり、サイコパスだと考えられるという。そして、反社会性パーソナリティ障害の人は必ずしもサイコパスではないが、ジョーカーは両方に該当すると見られるそう。
サイコパスであり、行なっている犯罪に関係する精神的病気がないことから、アーカム・アサイラムに送られることは適当ではないと話す医師は、加えて、彼の正気さについても言及。
ヒース・レジャーがジョーカーを演じた『ダークナイト』で、ゲイリー・オールドマンが演じるゴードン警部が、ジョーカーの服にはタグがないことを指摘するシーンがある。それは、ジョーカーは自分の正体を知られたくない、逮捕されたくないと考えている可能性を示しており、つまりはジョーカーは自分が行なっていることは間違いであると知っているということだという。また、ジョーカーはアーロン・エッカート演じるハービー・デントに自分が行なっていることや目的の説明をしており、彼が自分の行動を理解しているというのは、多くの観客が同意するところだろう。
つまり、ジョーカーには精神疾患はないと見られ、自分が行なっていることが間違っていることも理解している。そのため、ベンダー氏は、ジョーカーはアーカム・アサイラムではなく、ブラックゲート刑務所に属するべきだと結論を出した。
バットマンの世界はフィクションで、精神病院へ送られる基準やブラックゲート刑務所に送られる基準はあいまいで、現実とは異なる。また、トッド・フィリップス監督がホアキン・フェニックスを主演に起用した映画『ジョーカー』では、後のジョーカーであるアーサー・フレックがメンタルヘルスを悪化させていく過程が描かれており、医師も異なる意見になりそう。ちなみに、多くの精神疾患は原因として、その人が生きている社会環境があげられている。
現実には“精神病院=ヤバイ人がいるところ”とイコールにはならないし、それ以外の街中や社会にヤバイ人はわりといる。DCコミックスはフィクションだが、深く考えてみると興味深いポイントは多い。
(フロントロウ編集部)