ヘレナ・ボナム=カーターが、年を重ねることに対する病的なほどのネガティブイメージを批判。(フロントロウ編集部)

ヘレナ・ボナム=カーター、年を取った今のほうが幸せ

 映画『ハリー・ポッター』シリーズのベアトリックス役や、『英国王のスピーチ』、『エノーラ・ホームズの事件簿』などへの出演で知られるヘレナ・ボナム=カーターが、英BBC Radio 4の『Woman's Hour』に登場。彼女は、ある1つのことが現代では犯罪のように扱われていると感じており、不満が溜まっている様子。それについて、こう話し始めた。

画像: ヘレナ・ボナム=カーター、年を取った今のほうが幸せ

 「雑誌やインスタグラムなど全てが、年を取るべきではないと謳っている。“加齢”は、汚い言葉だとされています。みんながそれに執着していて、病的です。(年を取ることが)もはや犯罪みたい。しかも恥がついてまわる」

 人間は誰しも死ぬため、その意味では年を取るということは人によっては怖さを伴うものでもあるが、ヘレナが指摘しているのは、主に外見の話。メディアやSNSでは外見が美しいことが良しとされ、スキンケアの目的は若い頃の状態をキープするもので…、となっていることを考えると、ヘレナの指摘はその通り。

 彼女は、「私たちが心配すべきことは、他にたくさんあるでしょう」と話して、社会において年齢が大きなトピックとなっていることに苦言を呈したうえで、さらに、実際には年を取ることは悪いことではないという思いも語った。

 「これを言うのは陳腐ですけど、若い頃よりもかなり幸せですよ。若い頃には戻りたくない。私の外見は以前より美しくないかもしれないけど、内側は、より一層興味深くダイナミックで、そして魅力的だと思います」

 加齢は生き物なら何でも経験するものだが、このようなルッキズム(※)の問題は、とくに女性は年を重ねるごとに強くなる。同じ年代の女性同士で比べられたり、年齢の異なる女性を比べられたりする。また、女性自身が自分の年齢に自虐を言い、それを見た下の世代が、その価値観を受け継いでしまうということもある。
 ※外見で人を評価したり、差別したりすること。

女性たちのパワーで映画やドラマにも変化の兆し

 また、ヘレナが活躍する映像業界では、若い女性キャラクターが描かれることのほうが多いといった問題から、登場人物の実際の年齢設定よりも若い女性俳優が起用されるという問題まで存在している。

画像: 女性たちのパワーで映画やドラマにも変化の兆し

 ヘレナも以前は、“この年齢でこの役を演じられて幸運だ”と思うようなことがあったそうで、同時に「自分の年齢を謝らなければいけないだなんて悲しい」とも思っていたという。しかしストリーミングサービスによって、これまで制作されることが少なかった年代の女性が登場する作品が増えていると感じているそうで、希望があると語った。

 事実、まだまだ状況はベストではないが、最近では多くの女性たちが様々な女性の物語を紡いでおり、その中には、エマ・トンプソン演じる女性が性的快感を追い求めてみる『Good Luck to You, Leo Grande(原題)』や、ヴィオラ・デイヴィス演じる女性が最強戦士を演じる『The Woman King(原題)』、レスリー・マンヴィル演じる女性が夢を追いかけてイギリスからパリへ行く『ミセス・ハリス、パリへ行く』など、50代以上の女性たちが大活躍する作品も含まれている。

(フロントロウ編集部)

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