レズビアンであることを理由に教職を解雇された教師。しかし生徒やその家族から、彼女のもとに寄付が集まっている。(フロントロウ編集部)

先生が同性愛者だろうが関係ない、生徒や家族から支持が集まる

 マギー・バートンは、アメリカのコロラド州デンバーにあるカトリック系の学校でテクノロジー科目の教師、そしてメディアスペシャリストとして過去6年勤務してきた先生。しかし1月に、彼女が別の女性とキスしている写真が確認されたことで解雇された。

 カトリック教会において同性愛は禁止されているが、教皇フランシスコは、同性愛は教義上は「罪」ではあるが法律上は「犯罪」とされるべきではないと発言し、同性愛者を「神の子」として歓迎する姿勢も見せており、教徒の間でも意見が分かれている。そして、マギーが教鞭を取っていた学校の生徒やその家族は、彼女を支持する姿勢を見せている。

 マギーの生徒の親が1月31日に、無職となったマギーのためにクラウドファンディングを開始。2週間で、なんと26,000ドル(約340万円)を超える寄付が集まっている。マギーのために行動を起こした母親は、クラウドファンディングのぺージにこのような思いを綴った。

 「マギー・バートンはAll Souls Catholicのテクノロジー教師(そしてそれ以上の存在)で、この6年で数百人の子どもたちの人生を明るくしてきました。このページは、バートンさんを支持する姿勢を見せたい人達は多くいるということを知っている1人の親が作りました。多くの人が、彼女がこの時期に経済的ストレスを抱えないように、小さな助けをしたいと思っています。私たちは、バートンさんが次のキャリアへのステップを踏むまでの期間に橋をかける手助けができればと思います」

画像: 先生が同性愛者だろうが関係ない、生徒や家族から支持が集まる

 カトリック系の学校に子どもを通わせているということは、その親も教徒であったり、多少なりともその教えに馴染みがある人だったりする場合が多いと思われる。しかし寄付をした人たちからは、このような温かい言葉が寄せられている。

 「子ども達に教えられる最高の授業は、自分らしくいること、本当の自分として生きること。私がいつもしている教会への寄付は、あなたに寄付されるほうが良い」

 「ミラベルとマックスウェルは、いつでもあなたをバートンさんとして知っているし、楽しいテクノロジーの先生だと覚えています(正直に言って、重要なのはそれだけでしょう)。2人はいつでもあなたのことを応援しています!」

 「すべてにありがとうございます。先生はこれまでで私が1番大好きなコーチであり先生です」

 また、人は性的指向を自分で選んでいるわけでもない。ということは、キリスト教の親の元で育った子どもや、キリスト教徒のなかにも、クィアな人たちはいるのだ。マギーの元には、キリスト教内のLGBTQ+当事者からもメッセージが届いている。

 デンバー教区はマギーが解雇されたニュースが知られるようになった後、2月3日に、報道は「正確ではない」とコメント。「学校との契約で彼女が合意した約束を重んじていない」ことが解雇の理由だとしているが、英Pink Newsによると、契約のなかには「カトリック教会の教えに反する公的な立場や行動を取らない」というものが含まれるため、結局のところマギーが同性の人物とキスしていたことが原因ということになる。

日本でも神社へのお賽銭が同性婚反対に使われているかもしれない

 今回はアメリカのカトリック教会における出来事だったが、日本でも伝統的宗教が同性愛者の人権を阻んでいる。

 多くの神社が加盟している神社本庁による「神道政治連盟」は、数百人の国会議員が加盟している政治組織。政治に大きな力を持つ勢力だが、2022年に、自民党議員が多く参加した神道政治連盟国会議員懇談会で、“同性愛は精神障害で依存症”“LGBTの自殺は本人のせい”といった偏見とヘイトスピーチが溢れる冊子が配布されていたことが分かった。

 その後立ち上がった「私のお賽銭のゆくえプロジェクト」は、参拝客数が多い全国32の神社に対して、同性カップルが結婚式を挙げることはできるか、縁結び祈願は異性愛カップルだけが対象か、そして冊子について意見を求めたが、なんと回答はゼロ。

 一方で、こちらももちろん神社関係者のなかには当事者もいる。神道LGBTQ+連絡会が立ち上がり、神道政治連盟によるLGBTQ+差別に明確に反対する姿勢を発信している。

(フロントロウ編集部)

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