『ハウルの動く城』原作者が感じたジブリ版の魅力
スタジオジブリが2004年に公開した宮崎駿監督作品の映画『ハウルの動く城』は、イギリスのファンタジー作家であるダイアナ・ウィン・ジョーンズによる小説が原作。ダイアナは2011年に76歳で死去したが、生前、ジブリによる映画版についても語っていた。
動画インタビューで彼女は映画について、「あれは素晴らしいと思いました。豊かで変で、最も美しいアニメーションが詰まっている」と話す。彼女はソフィーの帽子屋さんの映像と、朝ごはんのシーンがお気に入りだが、さらに他にも、「魔法のシーンですね。炎のデーモンであるカルシファーは素晴らしいと思いました。彼は私が本で描いた感じではなかったですが、素晴らしかった。そして流れ星も魅力的でしたね。城が細かく、細かく、細かく、細かく崩れて、最後には4本のとても細い脚になるシーンも」と次々に語っており、アニメーションの美しさに心打たれたことが伝わってくる。
そして、原作にはなかったシーンでお気に入りの場面といったら、ソフィーと荒地の魔女が階段を必死にのぼるシーンなのだそう。
「一部は本でも描かれるのですが、そして映画のなかで最も良いシーンの1つだと思ったのが、ソフィーと荒地の魔女が、息切れして、お互いを罵りあいながら、大理石の階段をのぼろうとする時です。ソフィーは犬も抱えていて、悪夢のようで、そしてとても面白い。あれは非常に見事だと思いました」
ダイアナは自分が書いた小説と、ジブリによる映画の異なる点を楽しんでいた。映画が公開された後の原作シリーズ1作目『Howl's Moving Castle #1』には、ダイアナのインタビューがついているものがあり、そこでも彼女は、こんなコメントを残している。
「宮崎さんの動く城には驚きました。というのも、私は城に脚があるとは想像したことがなかったんです。私の本では、城はどちらかというとホバークラフトな感じで、地面から1インチほど浮いているんです。でも宮崎さんの城もとても好きです」
原作者や原作好きからは受け入れられない映像作品というのもあるが、『ハウルの動く城』はさすがだ。
(フロントロウ編集部)