アメリカとヨーロッパでは映画に対する状況が違う
アン・ハサウェイとピーター・ディンクレイジが夫婦を演じたことで注目の映画『She Came to Me(原題)』は、『50歳の恋愛白書』や『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』などで知られるレベッカ・ミラーがメガホンを取った作品で、親や子ども達にいろいろなことが起こるドタバタラブコメ。
主人公のスティーヴンは、アメリカのニューヨークに住むオペラ作曲家。5年前にスランプに陥っていたが、セラピストであるパトリシアに助けられ、最終的に彼女と結婚するまでになった。彼女の連れ子である10代の息子ジュリアンは、母のハウスキーパーであるマグダレーナの娘テレザと交際中。そんな日々のなかで、スティーヴが恋愛依存症のカトリーナに出会って誘惑されたり、ジュリアンがテレザの古風な父トレイに目の敵にされたり…!?
ピーターが演じるスティーヴンと、アンが演じるパトリシアもだが、MCUのメイおばさんとしても有名なマリサ・トメイが演じるカトリーナと、『COLD WAR あの歌、2つの心』の演技が高く評価されたヨアンナ・クーリクが演じるマグダレーナも観客の心を掴むキャラクターに仕上がっている。
ヨアンナはポーランド出身で、アメリカ映画への出演はこれが初めて。アメリカ以外出身の俳優がハリウッドの巨大予算作品に出演して、一気に世界的に知られるようになることもあるが、彼女は初のアメリカ映画が本作で良かったと考えているという。その理由について彼女は米Colliderのインタビューで、アメリカ映画と、ヨーロッパ映画で異なる点があると話した。
「ヨーロッパ系俳優の私にとって、アメリカのアート系映画でこのような可能性を持てるのは良い経験です。プロデューサーでもあるアン・ハサウェイと話したのですが、彼女は、『あぁ。アメリカでは、イギリスのように(映画制作において)公的な資金支援といったものはないの』と言っていました。(アメリカにおいて)インディペンデント映画を作るのは簡単なことではない。なので私は初めての(アメリカ)映画がこのようなプロジェクトであったことに感謝していて、とても誇りに思っていますし、嬉しいです。とくにパンデミックの後では、多数の要素を組み合わせたり、このタイプのプロジェクトに資金援助を見つけたりというのは簡単なことではなかったので」
文化芸術に国がどれだけ敬意を払うか、無関心か、介入するかなどは、それぞれの国で状況が異なる。長年ショービズの世界に身を置いてきたアンは、資金の面で異なる環境を実感しており、それを知ったヨアンナは個性派作品である『She Came to Me』に出演できたことに満足しているよう。
(フロントロウ編集部)