咽頭がんを経て、『トップガン マーヴェリック』でアイスマンを再演した俳優のヴァル・キルマー。サプライズとなった復活劇の背景には、家族や親しい人からのサポートがあった。(フロントロウ編集部)

『トップガン マーヴェリック』でのヴァル・キルマー復帰の背景に家族との絆

 2014年に咽頭に腫瘍があるのが見つかり、以来、2年にわたる咽頭がんの闘病を経験した俳優のヴァル・キルマー。気管切開をしており、以前のようには声が出せないなかで、AIによって自身の声を再現するという形で『トップガン マーヴェリック』に出演し、前作以来、36年ぶりにアイスマンを再演してファンを歓喜させたが、咽頭がんを治療することに決めたのは、家族からの後押しからだったという。

画像: ヴァル・キルマーと娘のメルセデス・キルマー。

ヴァル・キルマーと娘のメルセデス・キルマー。

 ヴァルが2020年にNew York Timesに明かしたところによれば、元々は病気がなくなるよう祈りを捧げるという療法を検討していたものの、家族から説得されて、医学的な治療を受けることを決めたという。「彼らが怖がっているのを見たくないと思ったのです。その気持ちが大きかったですね」とヴァルは明かしている。

 治療にあたってヴァルを支えたのは家族だけでなく、かつて1980年代に交際していたことのある、元交際相手でシンガーのシェールもサポートに駆けつけた。シェールは彼に病院を紹介して入院を調整したばかりか、治療後は自身のゲストハウスを療養の場として彼に提供。情報筋がNew York Postに明かしたところによれば、シェールはかかった費用を彼に請求しなかったという。

 家族やシェールという身近な人たちのサポートもあり、無事病気を克服したヴァル。テクノロジーの助けもあって『トップガン マーヴェリック』に出演した際には、娘で俳優のメルセデス・キルマーも撮影に立ち会ったといい、メルセデスは「私もセットにいて撮影を見ていたのですが、素晴らしいものでした」とNew York Postに語っている。

 「父はあの作品を心から誇りに思っていますし、父にとって大きな意味を持っています。これこそが父の愛することなのですから」と語った現在31歳のメルセデスは、こうも語っている。「私と同じくらいの年齢の頃に共に作品を作った友人たちと一緒にセットにいられたのですから、父にとっては不思議で特別な体験になりました」。

 同作でのカムバックはファンを驚かせることとなったが、メルセデスは、父ヴァルが復帰できることを信じて疑わなかったという。「私は父のことをまったく見くびっていません。父には立ち直る力があり、何があっても私は驚きません。今では自分の声も持てるようになったので、言うまでもなく、さらなるプロジェクトにも挑戦できます。『風邪をひいてしまった。今日は演技しないでおこう』という人たちもいますが、何事も父を止めることなどできないのです。父が休息をとってくれるといいんですけどね!」。(フロントロウ編集部)

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