パトリシアが半世紀をかけて集めたコレクション約130点を公開
『セックス・アンド・ザ・シティ』のセンセーショナルなスタイリングでその名を世界中に知らしめ、高い人気を誇る映画『プラダを着た悪魔』も手がけ、現在はNetflixドラマシリーズ『エミリー、パリへ行く』で活躍している、パトリシア・フィールド。
ニューヨークに生まれ育ったパトリシア・フィールドは、24歳の時に初めて自身のブティック「パンツ・パブ」をオープン。
このブティックは、のちに自らの名を冠した「パトリシア・フィ ールド」となり、イースト・ビレッジを中心に移転を繰り返す。そして場所を移しながら「ハウス・オブ・フィールド」と呼ばれるコミュニティを形成していった。
「ハウス」は、1970年代以降のニューヨークのアンダーグラウンドシーンで、黒人やラティーノのLGBTQ+コミュニティで、“従来の枠組みに囚われず生活を共にする集団がその結束を示す言葉”として使われてきた。
現在も「ハウス・オブ・フィールド」には、パトリシア・フィールドを中心に彼女のブティックに所属するスタッフやデザイナー、アーティスト、美容専門家、彼女を慕う人々のコミュニティとして健在している。
パトリシア・フィールドは作品を購入することでアーティストたちを支え、アーティストたちも彼女を敬愛しポートレートを贈った。それらの個性豊かなアートが、壁やショーウィンドウ、試着室の扉にいたるまで空間全体を彩るブティックは、2016年春に惜しまれながら閉店し、彼女のアートコレクションの主要作品約190点が、2016年に中村キース・ヘリング美術館に収蔵された。
本展では、パトリシア・フィールドが半世紀をかけて集めたコレクションから、日本初公開作品を含むペインティングや写真、オブジェなど約130点を公開。人間の欲望をポジティブなエネルギーに変換するかのようなパワフルな作品は「自分らしく生きることとは何か」を問いかけ、本展を通してパトリシア・フィールドの歩んできた道のりや想いを発信していく。
また本展の開催を記念して、パトリシア・フィールドが半世紀をかけて蒐集した作品群から約140点を紹介するコレクションカタログを刊行。
ブティックでも異彩を放っていたコレクションの核となるペイン ティングや彫刻作品はもちろん、本展に展示されない作品も図版として掲載するほか、アートコレクションの成り立ちを紐解くパトリ シア・フィールドへのインタビュー、彼女と親交の深い執筆陣によるエッセイが収録される。
(フロントロウ編集部)