5. A&Rに発掘されたきっかけはSoundCloud
ミイナが本格的に音楽の道を志したのは15歳のとき。「8歳の頃にはクリスマスソングを書いたり、両親のためにバースデーソングを書いたりしていたのですが、本格的に楽曲制作に取り組み始めたのは15歳の頃でした。15歳のときに音楽の道に進みたいと思うようになり、たくさんカバーを歌って、ギターや歌の練習をしていたのですが、次第に自分の歌声や歌いたいテーマの楽曲を探すのが難しくなっていって。それで自然と、自分が歌いたいと思うメロディーや、自分が共感できる歌詞を書き始めるようになりました」とフロントロウ編集部に話す。
15歳のときにSoundCloudに自身の作った音源をアップロードするようになり、それがきっかけで、現在のA&R(アーティスト担当)の目に留まることになったという。
「A&Rに発掘されたのは18歳の頃です。私は15歳の頃から自分の曲をSoundCloudにアップしていたのですが、そこで見つけてくれました」とミイナは振り返る。「加工していない原曲やレコーディングをSoundCloudにアップしていたところを、A&Rが見つけてくれて、契約に繋がりました」。
6. 正直で、オーガニックなサウンドが魅力
2021年にデビューシングル「アイム・ダン」をリリースしたミイナ。プレスリリースではミイナの音楽について「ドリーミーポップ」と紹介されているが、本人も「ドリーミーポップという言葉は私のスタイルにマッチしていると思います」と同意する。
もし自分自身の言葉で自分の音楽を紹介するとしたら? 少し頭を悩ませたあとで、「あらゆるタイプの音楽から影響を受けているので、自分の音楽を言葉で表現するのは難しいですが、正直で、オーガニックなサウンドの音楽だと思いたいですね。楽器のありのままの音が好きなので、表現するとしたらそういう言葉になるでしょうか」とミイナは言葉にしてくれた。「でも、ドリーミーポップという言葉もすごくピッタリだと思います」。
ミイナが幼少期に惹かれたのも、そうやって正直にありのままを表現するアーティストだったという。「私が特に影響を受けたアーティストを一人挙げるとすれば、エイミー・ワインハウスです。彼女が作る音楽は、私が作る音楽とは違いますが、彼女が綴る正直な歌詞や音楽にものすごく影響を受けました」とミイナは話す。
「確かトーク番組だったと思うのですが、テレビ番組で彼女のパフォーマンスを初めて観たとき、そのときはギターでの弾き語りだったのですが、とてもインスパイアされたのを覚えています。彼女と1本のギターだけなのに、ものすごくパワフルで、自分も同じことがしたいと思ったのです」。
7. 「エヴリー・セカンド」の大ヒットを実感したのは日本発の動画
そして、「アイム・ダン」も収録されたデビューアルバム『ベター・デイズ』からのシングル「エヴリー・セカンド」がインスタグラムのリール動画を中心にバイラルとなり、大ヒット! これまでに330万本以上のリール動画が作成され、合計75億回以上という驚異の再生回数を記録。ここ日本でも5.7億回以上再生されるなど、一躍楽曲が広まった。ミイナは同曲の反響について、「『エヴリー・セカンド』がきっかけで起きたすべてのことに驚いています」と明かす。
「実は、この曲を作ったときは別の楽曲を作るためにスタジオに入っていたのですが、何か別のものを作りたい気持ちになって、それでこの曲を作ったんです。なので、当初は別の楽曲をリリースする予定だったのですが、この『エヴリー・セカンド』をA&Rに送ってみたところ、『次はこれでいこう。予定していたリリースは延期していいから、最初にこの曲をリリースしよう』ということになったんです」。
実は別の楽曲のリリースを後ろ倒しにして、先にリリースされたという「エヴリー・セカンド」。ミイナやA&Rの判断は正しかったようで、瞬く間にバイラルに。同曲がインスタグラムのリール動画でバズっていることをミイナが知ったのは、偶然にも、日本のインフルエンサーがこの曲を使って作成した動画が目に留まったのがきっかけだったという。
「『ミイナ、見て! 日本のインフルエンサーがあなたの曲を使っているよ!』って母の友人が送ってくれたんです。『すごい! 嬉しい!』って思いましたね。母もすごく喜んでくれましたよ」とミイナはこの時のことを振り返った。
人気K-POPグループ、ITZYのメンバーであるリュジンも「エヴリー・セカンド」のカバー動画を投稿している。
ミイナは自身のルーツでもある日本でも楽曲が聴かれていることについて、「すごく大きな意味を持っています」と話す。
「こうして音楽の仕事で日本へ来ることは夢でしたから。日本にルーツがあることは私のアイデンティティの一部なので、自分が故郷のように感じている場所で、自分の音楽が聴かれているということが本当に嬉しいです。それに、いとこが聴いているような(日本で人気のある)音楽とはかなり違った音楽だと思うので、そういう意味でも、皆さんがオープンに私の音楽を聴いてくれていることも嬉しく思っています」。
8. ジェームズ・ガンの“お気に入り”にも選ばれた
音楽好きとして知られる、マーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズなどを手がける映画監督のジェームズ・ガンも、ミイナの楽曲のファンの1人。ガン監督は毎年、その年のお気に入り楽曲を集めたプレイリスト「Awesome Mix」を公開しているのだが、その2021年バージョンにミイナのデビューアルバム『ベター・デイズ』から「ウォーク・アウェイ」を収録した。
「あれにはビックリでした!」と、ミイナはガン監督がプレイリストに自身の楽曲を収録していたのを知ったときの衝撃を振り返る。
「俳優をやっている親友がいますし、私の友だちは映画好きが多いんですけど、これには全員が大興奮でしたし、私もとにかく信じられませんでした。しかも、インスタグラムにこのことを投稿して、監督をメンションして『ありがとうございます』って書いたら、監督が返事をくれたんです。それも信じられなかったですね。とにかく、このときは一晩中、興奮しっぱなしでした」。