ボルボが新型のワールドプレミアにミラノを選んだ理由
かねてより話題になっていた、ボルボのEV「EX30」を世界初公開するため、イタリア・ミラノでワールドプレミアが開催された。
現在ロシア・ウクライナ情勢悪化の影響により、ヨーロッパへの飛行時間が約20時間と長旅の末、ようやくミラノに到着。会場には世界中より総勢200人ものジャーナリストやエディターが集結し、その注目度の高さがうかがえる。
しかし、なぜミラノ? スウェーデン出身のボルボが注目の新型発表の地に、わざわざこのミラノを選んだのには理由があった。
ミラノはファッションの祭典「ミラノコレクション」をはじめ、ファッションとデザインの街として知られるが、プレミア会場とボルボブランド発信拠点「ボルボ・スタジオ・ミラノ」を構える新興地区ポルタヌオーヴァは、世界で初めて2度のサステナビリティ認証を取得した地区であり、先進的な持続可能な都市計画に優れた地域としても名高い。
先駆的でスタイリッシュなデザインで、最先端の技術を駆使したサステナブルな新型モデル「EX30」を世界的に公開するにあたり、これ以上に適した場所はない。
未来的でスタイリッシュ!こだわりのスカンジナビアンデザインに注目
スウェーデン発のボルボが誇る、ボルボ車に取り入れられた“スカンジナビアンデザイン”とは、北欧特有のシンプルかつナチュラルな、機能性の高いデザインで、際立った美しさは世界中で高い評価を受けているが、「EX30」にもシンプルながらも細部に凝った仕掛けが散りばめられていた。
「EX30」のエクステリアデザインはクリーンな印象がありながら、未来的でスタイリッシュ。
まず目につくのは、ボルボ車のチャームポイントともいえる、北欧神話に登場する最強の雷神トールが持つ鎚がモチーフのT字型「トールハンマー」ライト。ブランドアピールをしながら印象的に光る。
緩やかな曲線でまとまったエクステリアは、クールながらもソフトな印象。
洗練されたスカンジナビアンデザインが、都会のオフィス街からラグジュアリーな場所まで、カジュアルなデニムスタイルからドレスアップスタイルまでマッチするデザインに仕上がっている。
また、展示されたクラウドブルーと呼ばれるボディカラーがハイセンス。
ファッション界でも人気が続くニュートラルカラーで、淡く絶妙な色合いは、日本人の肌色にも自然になじむことでも人気が高い。
カラー&マテリアルを担当したレカ・メーナ氏にボディカラーのコンセプトを聞いたところ、「スウェーデンの広大で美しい自然界からインスピレーションを受けていて、空をイメージしたクラウドブルー、スウェーデン西海岸の岩に生える地衣類であるモスイエローなどのナチュナルカラーを採用しています。ボルボらしいでしょ?」と話してくれた。
そしてボディカラーだけでなく、注目なのが「EX30」の凝ったインテリアデザイン。
ドアパネルを見ると、インクが飛び散ったようなドロッピング柄が目に入った。ファッションアイテムでは人気のプリントだが、クルマのインテリアに採用されるのは珍しくスタイリッシュ。
そしてブルーのシートのカラーリングも珍しい。よく見ると、背もたれ部分は同系色で異素材の切り替えになっていてファッショナブル。ボディカラーとシートカラーが同色だなんて、なんてキュートなんだろう。
細部にわたりプレミアムブランドらしいデザインのこだわりを散りばめながら、実際に座ってみると、そのシートはソフトで手触りも抜群。シンプルで洗練されたデザインと機能性の高さは、これぞスカンジナビアンデザイン。
オシャレなインテリアに隠されたサステナビリティ
オシャレなルックスが魅力的なインテリアだが、実はこれらはボルボが長年の研究で培ったササステナビリティを取り入れたデザインになっているのだから、その完成度の高さには驚くばかり。
先述したドロッピング柄を施したクリエイティブな素材や、ソフトな感触のシート、プラスチックから布地まで、サステナブルな素材を使用して組み立てられている。
たとえば、インテリアパーツではファッション好きには嬉しいデニム素材をセレクトすることができるのだが、その素材はデニムのリサイクル工程で発生する廃棄となるはずの繊維を使用しているという。
デザイナーのレカ氏は、「インテリアにはデニムや亜麻、ウールなどのリサイクル素材や再生可能な素材を使用して、サステナブルな考え方を取り入れながらも、洗練されたモダンデザインを追求しました。環境に配慮した取り組みは、ボルボの社会的責任あるデザインポリシーを現したものなのです」と語った。
そのほかにも、古い窓枠やローラーシャッターなどの廃棄物から作られた再生プラスチックや、ペットボトルなどのリサイクル素材、スウェーデンやフィンランドの森林から採取されたバイオ素材のテキスタイルなどを採用している。
地球の環境を大切に思い、限られた資源を大事にする。
未来の世代もクリーンな地球で生活できることを目指すサステナブルな取り組みを、日々運転するなかで感じられるなんて素敵なことだと思う。
また、自動車界業界のサステナビリティを牽引するボルボは、2030年までに完全な電気自動車メーカーになるという高い目標をかかげている。
女性が快適に使える小型SUV「EX30」の魅力
小型SUVの「EX30」は、日本をはじめとする小型車が好まれ交通量の多い都会などの道路事情にマッチする市場にターゲットをおいていて、主に若い層、そして女性への販売拡大を狙っているという。
そこでUX(ユーザーエクスペリエンス)マネージャーのアンナ・ギャスパー・アラサ氏に、女性ドライバーが「EX30」を運転したらどんなところが気に入ると思うかを尋ねてみた。
すると「女性も快適に運転できるクルマだと思います」と話すギャスパー氏が推したのが「収納力」。
「収納スペースが豊富なのは女性にとっては嬉しいポイントです。たとえば女性だったらリップや化粧品、サングラスなどを手の届きやすい場所に置けるスペースを確保したいと思うものですが、カップホルダーの上部をスライドさせてドリンクやスマホを置いたり、センターコンソールにはバッグを置くこともできるんです」と、女性ならではの視点で説明してくれた。
クルマに乗るとき、個人的には運転席に座ると、まずエンジンをかける前に手持ちのバッグをどこに置くかを考えることから始まる。センターコンソールにバッグを置くほどのスペースを確保するとは、なんとも女性のライフスタイルを捉えた“ちょっとしたことだけど、とても大事なこと”がカタチになっているクルマだと思った。
そして最後にもうひとつ、私が気になった“ちょっとしたこと”。
後部座席に座ると、センターコンソール部分が引き出すタイプの収納ボックスを兼ね備えているのだが、その側面にはヘラジカが森の中にいて、スウェーデンの牧歌的な風景が描かれた、なんともキュートな仕掛けがあった!
この模様がグリップ効果を兼ねているのだと思うが、ボルボのデザイナーはユーモアのセンスも際立っていることにもぜひ注目してほしい。
ワールドプレミアを通して、最新技術と革新的なデザイン、サステナブルへのこだわりが詰まった「EX30」の魅力を、ファッションとサステナの街ミラノで存分に体験することができた。
だがしかし、フロントロウ的に気になる「EX30」のお披露目はこれで終わりではなかった...‼
電撃引退で話題のズラタン・イブラヒモヴィッチ選手が「EX30」をお祝い!
ACミラン所属でスウェーデン代表のサッカー界のスターFWズラタン・イブラヒモヴィッチが現役引退を表明し、世界的にビッグニュースになったばかりだが、その2日後のボルボ「EX30」のワールドプレミアの同日、突如ズラタンのインスタグラムで「EX30」をお祝いするサプライズが!
世界屈指のストライカーとして名を馳せるズラタンは、伝説のビッグマウスと呼ばれることでも有名。その裏にある計り知れない努力の上での数々の“俺様発言”が、多くのファンに愛されていることでも知られている。
そんなズラタンが投稿したボルボ「EX30」の写真のコメント欄には、ボルボが掲げるキャッチコピーである「a small car with big potential(大きな可能性を秘める小さな車)」を、彼らしいユーモアを交え「For small egos(小さなエゴのために)」とズラタン節で、スウェーデン発ボルボの新型を愛国心を持ってお祝い! 同投稿では現時点(2023年6月19日現在)で計56万ものいいねを記録し「EX30」の魅力を発信した。
愛さずにはいられない、ボルボの新型「EX30」。イタリアでは「EX30」発表会の日にオーダーを開始したところ、既に受注はヨーロッパ、北米合わせて1万台を超え、その期待感と注目度はかなりもの。2023年11月より欧州を中心にデリバリーがスタートし、日本市場にも年内には販売が始まる予定となっている。