テイラー・スウィフトのアルバム『スピーク・ナウ』再録盤で事件
フランス西部のル・マンの裁判所で43歳の男性に8ヵ月の実刑判決が言い渡された。フランスの製造会社MPO Franceでアルバイトとして働いていた男性は、倉庫で荷下ろしの作業をやっている最中に発見した商品を10点盗み、日本でいうメルカリにあたるフランスのLe Bon Coinに25ユーロ(約3,800円)で2点販売。この日の裁判はその件に関わるもので、裁判では、警察が男性を逮捕しようとした時、男性は自宅のえんとつから逃亡しようとしたことも伝えられた。
約4,000円のズルがここまでの大ごとになった理由は、男性が売ったのは、2023年7月7日に発売を予定されているテイラー・スウィフトの新アルバム『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』だったから。
本作は、原盤権を手にするためにファーストから最新アルバムまでの再収録を行なっているテイラーの3枚目の再録アルバムで、2010年のアルバム『スピーク・ナウ』の全曲に新曲が追加されたもの。フォールアウト・ボーイやヘイリー・ウィリアムスが参加していることでも話題になっている。
男性が務めていたMPO Franceはヨーロッパにおける『スピーク・ナウ(テイラーズ・ヴァージョン)』の製造を任されており、Ouest-France紙によると、男性は荷下ろし中に「箱からレコードが落ちた」と裁判で話したそう。経済的な苦境にあり「昼食を食べる余裕もなかった」という男性は、「生活費を稼ぐため」に犯行に及んだのだという。
一方、MPO Franceはアルバムが出品されていることに気づいていたそうで、同社の人事課の部長が客のふりをして、男性が売ろうとしたアルバムを購入。それによって犯人を特定して捜査に協力したのだが、自分たちが雇った人間がアルバムを発売するユニバーサル・ミュージックの信頼を損ねたことに変わりはなく、MPO Franceの弁護士は「もし明日ユニバーサルが契約を打ち切れば、我々の将来は危うくなります。雇用と数百万ユーロがかかっているのです」と切実な思いを明かしたという。
アルバム2枚の行方は未だに分かっておらず、男性がユニバーサル側に支払う賠償額は今後の裁判で決まっていくという。新作アルバムの発表はテイラー・ファンにとって一大イベントのため、ファンの間でもこの件は話題になっているようだが、SNSでは「テイラー・ファンは持っていてもリークはしない」などと、持ち主にリークしないよう呼びかける声が出ている。