共同創刊編集長ジャン・ウェナー、女性や黒人アーティストに差別発言
ローリング・ストーン誌の共同創刊編集長であるジャン・ウェナー氏(77)が、9月26日に発売する著書『The Masters』の宣伝のために応えたThe New York Timesのインタビューでした不適切発言を謝罪した。
本書は、ウェナー氏が過去に行なった大物ミュージシャンとのインタビューをまとめたもの。368ページに及ぶ本に掲載されているアーティストは、ジョン・レノンやボブ・ディランなど、全員が白人男性。
ジャニス・ジョプリンやスティーヴィー・ワンダーといった女性や黒人アーティストが入っていない理由を問われたウェナー氏は、掲載された男性たちは「ロックの哲学者のよう」な人物ばかりで、自身がインタビューした女性ミュージシャンたちは「そのような知的レベルでの表現はできなかった」と発言。
また、黒人アーティストについても、「スティーヴィー・ワンダーは天才ですよね? (本のタイトルに)Masters(巨匠たち)という幅広い言葉を使うと、その言葉を使うのが悪いんでしょうね。マーヴィン・ゲイとかカーティス・メイフィールドとかでしょうか? つまり、彼らはそのレベルでの表現はできなかったのです」と、女性アーティストたちと同じように評した。
本に掲載する人たちは、自身が「興味を持った」人たちを「直観的」に選んだとしたウェナー氏は、「このような批判を避けるために、同じレベルの歴史的水準に達していない黒人と女性アーティストを一人ずつ見つけて、ここに加えるべきだったかもしれないですね」と続けた。
歴史を通じて音楽界に多大な貢献をしてきた黒人や女性のアーティストたちを過小評価し、人種・性差別的な発言へとまとめてしまった今回の件には大きな批判が集まることに。とくに、ウェナー氏のような業界の偉人による本は後世の教育にもなりえる影響力を持つため、白人男性の視点や経験だけが掲載されたことは残念。
発言への批判を受けて、ウェナー氏は出版社を通した声明で、「黒人や女性アーティストの貢献、才能、影響力を矮小化するような発言」をしたことを謝罪し、自身の発言は「自分が尊敬し、生きている限りその音楽と考えを称え宣伝していく、崇敬され世界を変えるアーティストに対する私の感謝と賞賛を反映していません。私は、自分の不適切な言葉の選択が怒りを書き立てるものであったことをしっかり理解しており、それに対して深く謝罪し、その責任を受け入れるつもりです」とコメントした。
同時に、ウェナー氏が共同創設者として立ち上げた“ロックの殿堂”の財団はウェナー氏の解雇を発表。米ローリング・ストーンも声明を出してこう語った。
「The New York Timesにおけるジャン・レナーの最近の発言は、現在のローリング・ストーンの価値観や私たちが行なっていることを表しておりません。ジャン・ウェナーは2019年以降、我々のオペレーションには直接関わっておりません。私たちの目的は、とくに彼が離脱してからは、私たちの世界を作り上げている多様な声や経験を反映した物語を伝えることです。ローリン・ストーンの核にあるのは、音楽は私たちを分断するのではなく団結させてくれるものだという理解です」。