ディズニー・アニメーションとピクサー・アニメーションのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)を兼任したジョン・ラセター氏が、ジブリ映画『となりのトトロ』に見た、宮崎駿監督のすごさとは?(フロントロウ編集部)

ジョン・ラセター氏が宮崎駿監督の技術を称える

 ターナー・クラシック・ムービー(TCM)が2000年代に放送したスタジオジブリ特集で、宮崎駿監督をよく知る人物として登場した、ジョン・ラセター氏。そこでラセター氏は、1987年に来日した際にスタジオジブリを訪れて『となりのトトロ』のデザインなどを見せてもらった経験を明かした。

 ラセター氏の記憶にとくに強く残ったキャラクターは、宮崎監督が「目をキラキラさせて」見せてきたというネコバス。ラセター氏自身、「あのようなキャラクター、今まで見たことがありません」と感心した。そんなラセター氏によると、宮崎監督が描くキャラクターには、ディズニーの伝説的なアニメーターたちも語ってきた哲学があるという。

 「私がまだ新人アニメーターだったとき、私の師匠でありディズニーが誇る最高のアニメーターのふたりであるフランク・トーマスとオリー・ジョンストンはこう言いました。素晴らしいアニメーションとは、キャラクターたちが自分自身で考えていて、彼らの動作がその意思によって起きているかのように見えることだと。例えば、私とあなた(※司会者)は同じ動作をしたとしても動き方が違いますよね。動きにそれぞれのパーソナリティが現れるのです。

 この作品(※『となりのトトロ』)では、最初の方で、主人公の女の子と妹のメイが家の中を走り回るシーンがあります。彼女たちは同じことをしているのですが、彼女たちの動きからは、彼女たちが非常に違うことが見える。何を言うかではなく、何をしているかで、それぞれのキャラクターの年齢が見えるのです。

 彼(※宮崎駿監督)の素晴らしいところはそこです。映画やストーリーもそうですが、キャラクターたち。彼のキャラクター表現の感覚には卓越したものがある」

 個性的なストーリーやキャラクターで知られる宮崎駿監督だが、そのキャラクターたちの“動作”でもアメリカの伝説的アニメーターを圧倒した宮崎駿監督だった。

 

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