WeWorkが米時間11月6日、アメリカで破産申請した。5兆円企業への成長と墜落を経験した同社の創設者であり元CEOのアダム・ニューマン氏が語った、WeWorkでの失敗から学んだこととは?

アダム・ニューマン氏、現在は新ビジネスFlowを展開中

 カリスマCEOと呼ばれたアダム・ニューマン氏が創設したWeWorkは、企業価値470億ドル(当時約5兆円)の大企業に成長したものの、2019年にIPO申請する際に、会計面の問題、黒字化への危うさ、リーダーシップに対する懸念などが指摘され、企業価値は墜落。

 会社の資産を私物化していることが分かったニューマン氏は2019年にCEOを退任。その際、ニューマン氏は持ち株の売却などから、約17億ドルを受け取ったと報じられた。WeWorkのマルセロ・クラウレ会長(当時)は2020年にCNBCとの取材でこの額を否定している。

 そんなニューマン氏が2023年7月、米ビジネス誌Fortuneが開催したイベントに登壇。新ビジネスである住宅用不動産会社Flow(フロー)について語る前に、WeWorkでの「最大の失敗、最大の学びは何か?」と聞かれて、「ここでは話しきれないほどたくさんある」としながらも、「2つ明かすとしたら」と言って、こう続けた。

 1つめは、自分(ニューマン氏)が間違っていると思う時に指摘できる勇気がある人々を雇うこと。

 「起業家には自分ではコントロールできないことが多々ありますが、誰を雇うかはコントロールできる。WeWorkには非常に賢い人たちがいました。しかし今後は、賢いだけでなく、私に意見を言える人を雇いたいと思います。意見を言ったのに相手が同意しないときは、何度も何度もそれを言いに行く勇気とパワーも必要です。だから1つめの学びは、賢い最高の人材であることに加えて、自分に意見をしっかり言い、同意するか一生会わないかとなるまでその意見を唱え続けられる人を雇えということです」

  U-NEXTで配信中のドキュメンタリー『WeCrashed ~スタートアップ狂騒曲~』やApple TV+で配信中のドラマ『WeCrashed ~スタートアップ狂騒曲~』でも描かれているが、ニューマン氏がいた当時のWeWorkは、カオスな労働環境であったという証言が多い。

 カリスマCEOだったニューマン氏の権力の大きさや、彼の衝動的なリーダーシップについて問題視する証言も多いため、この発言に対しては、オンライン上で「間違った決断の責任を自分で取るのではなく、それが間違った決断だと言わなかった従業員を本気で批判している?」「従業員に責任をなすりつけるのは良い戦略」などと批判が多く集まっている。

 ただニューマン氏は、2つめの学びとして、自分自身が難しい意見を聞けるようになることも挙げた。

 「WeWorkから退任したあと、私には投資家になる機会がやってきました。ファミリーオフィスを通して50以上の会社に投資して、投資家として起業家にアドバイスする立場に立った時、アドバイスを聞かない起業家がいることにイラ立ちました。そしてふと思ったのです。もしかしたら、自分も昔はこうだったのかもしれないと。良い起業家は、ただ人の話を聞くだけでなく、聞きたくないような真実にも耳を傾けなくてはいけません」

 WeWorkを離れたニューマン氏は、新ビジネスFlowで著名な投資家アンドリーセン・ホロウィッツ氏から3億5,000万ドルの初期投資を獲得することに成功。経済誌Forbesは2023年の時点で、ニューマン氏の資産価値を22億ドルとしている。

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