「この映画が完成したこと自体が奇跡」。
映画『聖なるイチジクの種』の特別映像が公開され、監督モハマド・ラスロフの決死の映画製作の舞台裏が明らかになった。第97回アカデミー賞【国際長編映画賞】にノミネートされ、第77回カンヌ国際映画祭では【審査員特別賞】を受賞。すでに世界中の映画祭で絶賛されている。
本作は、国家と個人、家族と秘密が複雑に絡み合うサスペンススリラー。国家公務員として昇進を果たしたイマンの家族で、政府から支給された一丁の銃が忽然と姿を消す。この消失が、家族内の疑心暗鬼を加速させ、思いもよらぬ真実が次々と明らかになっていく。
特別映像では、母親が娘たちに「ヒジャブを必ず着けること」「SNSには決して写真を投稿しないこと」と厳しく指導するシーンが描かれる。家族の一見平穏な日常の裏には、国家の抑圧が影を落としていることが伝わる瞬間だ。
ラスロフ監督は「勇敢な女性たちがヒジャーブなしでカメラの前に立った」と語る。本作の撮影には、逮捕や迫害の危険が常につきまとっていた。にもかかわらず、俳優やスタッフは「この作品に関われたことを誇りに思う」と口を揃える。
『聖なるイチジクの種』は、映画という枠を超えた“自由を求める叫び”だ。消えた銃が何を意味するのか? その真実を知ったとき、あなたの価値観は揺さぶられることになる。
イラン社会に潜む闇を描いた衝撃の本作は、2025年2月14日よりTOHOシネマズシャンテ他全国順次公開。