父が遺したのは、ボウリング場と未解決の罪──。映画『サターン・ボウリング』が、2025年秋、ついに日本で公開される。異母兄弟が再会したその場所には、血の記憶と暴力の連鎖が息を潜めていた。

物語の中心には、沈黙する男たちと語られざる過去。父の“遺産”をきっかけに噴き出すのは、男たちの内部に潜む破滅への衝動だ。女性たちを狙う連続殺人の影、家族の崩壊、そして“悪魔”と呼ぶしかない暴力の存在。ネオ・ノワールの語法を借りながら、パトリシア・マズィ監督は現代の闇に刃を入れる。

撮影は『落下の解剖学』などで知られるシモン・ボーフィス。映像は濃密で、息苦しいほど美しい。マズィ監督の手腕は、単なるスタイリッシュなノワールにとどまらず、観客を不快なまでに感情の深淵へと引きずり込む。フィルムノワールのクラシックな構造を踏襲しつつ、そこに現代の“父性の崩壊”というテーマをねじ込んだ構成は見事というほかない。

ロカルノ国際映画祭ノミネート、カイエ・デュ・シネマ年間ベストテン入りという華やかな実績を引っ提げて、いよいよ日本初上陸。そして6月には、監督来日と共に先行上映も予定されている。これはただのアート映画ではない。現代の“父と息子”の黙示録である。

【先行上映イベント概要】
第6回映画批評月間 〜フランス映画の現在をめぐって〜
劇場公開に先がけて、アンスティチュ・フランセ主催の映画批評月間にて先行上映を開催。
イベントに合わせてパトリシア・マズィ監督が来日、トークイベントやマスタークラスを開催します。
日程:6月21日(土)17:30~『サターン・ボウリング』先行上映&上映後トーク
   <ゲスト>パトリシア・マズィ監督
   6月22日(日)18:30~ パトリシア・マズィ監督 マスタークラス
詳細:https://culture.institutfrancais.jp/event/cinema20260606
会場:東京日仏学院エスパス・イマージュ
料金:一律1,100円(トーク付上映のみ1,500円)
チケット:https://ifjtokyo.peatix.com/events (※チケットはPeatixにて販売中です)

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