恐竜研究家がツッコめなかった『オークストリートの異変』2つの理由


大ヒット上映中の『オークストリートの異変』に、恐竜研究家・富田京一からの推薦コメントが到着。いつもは心の中でツッコミながら見るという専門家が、本作ではその余裕がなかったという。(フロントロウ編集部)
「大抵は心の中でツッコミながら」
アン・ハサウェイが衣装に『オズの魔法使い』のドロシーを重ねていたと明かしたのが、今週のはじめ。今度は、作品を専門家の目で見た人物からコメントが届いた。
配給の東和ピクチャーズ・東宝によると、8月14日(金)から公開中の『オークストリートの異変』に、爬虫類・恐竜研究家の富田京一から推薦コメントが寄せられた。富田は博物館や博覧会の監修を手掛けるほか、『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』(2006年)、『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』(2016年)といった映像作品の時代考証も担当してきた人物だ。
その富田が、まず自身の映画の見方から書き出している。「商売柄、恐竜の出る映画は割と観るほうだと思います。大抵は「あ、角とかトサカが本物(化石)とちげーよ」とか、「デカく作り過ぎやろ(笑)」などと心の中でツッコミながら」。
ところが本作については、「そんな余裕は皆無」と断言する。理由はふたつあるという。
理由その1「登場人物が誰ひとり恐竜に詳しくない」
ひとつ目は、単純に怖かったから。「だって怖いんだもん! 連中、問答無用に襲ってくるし、かつ強烈にしつこい」と富田は書いている。
そのうえで彼が指摘しているのが、この映画の登場人物の”無知”だ。「恐竜が出る作品って、登場人物中に古生物学者や天才少年少女みたいな物知りがいたお陰で事態解決するのがお約束と思っていましたが、本作では登場人物が誰ひとり恐竜に詳しくない(古代植物に詳しい女性はちょい出ますが)。予備知識ゼロの人々が運命に翻弄されるゆえに怖さマシマシなのです」。
本作の主人公は、平和な街オークストリートで平凡に暮らすプラット家。ある日を境に住人は街から出られなくなり、絶滅したはずの恐竜が住宅街に現れて人々を襲い始める。恐竜映画に付き物の「解説してくれる博士」が、この家族の中にはいない。ジャンルの常識をひとつ抜いたことが、専門家にとっての恐ろしさになっていたわけだ。
ふたつ目の理由は、その恐竜自体の作り込みだった。「恐竜など古生物の科学考証が造形、動作ともハイレベルで、そもそも茶化す余地がなかったのであります」。しかも、ただ手堅いのではないという。「むしろあまり興味のなかった人には違和感ありまくりかもくらい、最新研究に則ったラディカル復元」。
本作は、あえて異なる時代の恐竜を同じ街に混在させている。狙いは、地球の数百万年におよぶ歴史から様々な生物が同じ住宅街へ引き寄せられてきた、という設定を際立たせ、超自然的なタイムポータルをめぐる謎を深めることにある。時代がバラバラな恐竜が一堂に会するという絵づくりが、復元の精度に支えられているという指摘だ。

一方、キャストは「推し恐竜」を語り合っていた
同じ8月21日(金)には、その恐竜たちに追われていたキャスト陣の素顔を捉えた特別映像も解禁された。
映像が始まると、まず出てくるのは一家の愛犬・スターバック。ステゴサウルスやスピノサウルスを思わせる背びれ付きの恐竜コスチュームを着せられ、キャスト陣をメロメロにしている。
好きな恐竜を聞かれると、父・グレッグ役のユアン・マクレガーは「ディプロドクス」、息子・ブライアン役のクリスチャン・コンヴェリーは「最強のティラノサウルス」、長女・オードリー役のメイジー・ステラは「背中にトゲがあるやつ」と答え、母・デニース役のアン・ハサウェイはブラキオサウルスやブロントサウルスといった竜脚類の名を挙げて「首が長ければ良い」と明かした。
撮影中に最も体力を使ったシーンについて、ユアンが挙げたのは「過去イチ短いパンツでフェンスを8000回は飛び越えたこと」。この短パン姿は公開後、各国のSNSでも話題になっていたもので、本人の口から出たことでキャスト一同が大笑いする一幕になった。

恐竜のいる世界に行くなら何を持っていくか、という質問への答えは三者三様だった。アンは「コーヒーメーカー」、クリスチャンは「郵便ポストと水」、メイジーは「GPS」。愛犬スターバックも賛成のひと吠えをして、映像はアンの「恐竜には要注意!」というひと言で締めくくられる。
『クローバーフィールド/HAKAISHA』のJ・J・エイブラムスが製作を務め、『イット・フォローズ』のデヴィッド・ロバート・ミッチェルが監督した本作は、鑑賞後に隠されたメッセージを探る”考察”の余白がある作りでも知られる。2度3度と劇場に足を運ぶ人も出ているなか、恐竜のプロからも太鼓判が押された格好だ。『オークストリートの異変』は大ヒット上映中。















