『ハリー・ポッターと賢者の石』の禁じられた森で、ヴォルデモートの気配からハリーを救った金髪のケンタウルス(ケンタウロス)、フィレンツェ。群れの掟を破って人間に味方し続け、ついにはホグワーツの教授にまでなった異色の存在だ。この記事では、フィレンツェの人物像、群れから追放された理由、占い学の授業、映画版での姿、そしてベインら森のケンタウルスたちまでを解説する。
フィレンツェとは?【プロフィール】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語表記 | Firenze(イタリアの都市フィレンツェと同じつづり) |
| 種族 | ケンタウルス(ケンタウロスとも。上半身は人間、下半身は馬) |
| 外見 | 白に近い金髪と驚くほど青い瞳、パロミノ(淡い金茶色)の馬体 |
| 住まい | 禁じられた森→ホグワーツ城1階の11番教室 |
| 役職 | 占い学教授(『不死鳥の騎士団』から) |
| 登場巻 | 『賢者の石』『不死鳥の騎士団』『謎のプリンス』『死の秘宝』 |
| 映画で演じた俳優 | レイ・フィアロン(『賢者の石』・声の出演) |
ケンタウルスは、星の動きから未来を読む独自の知恵を持つ誇り高い種族だ。ローリングの副読本『幻の動物とその生息地』によると、ケンタウルスは魔法省から人間と同じ「ヒトたる存在」の地位を提示されたものの、鬼婆や吸血鬼と同列に扱われることを嫌ってこれを拒み、自ら「動物」に分類されることを選んだという。魔法省の危険度分類は5段階で上から2番目の「XXXX」だが、これは凶暴だからではなく、敬意をもって接することを要求する種族だからとされる。
フィレンツェはハリーをどう救った?
一角獣の血を飲む「あの人」からハリーを逃がした
『賢者の石』の終盤、禁じられた森での罰則作業中に、ハリーは一角獣(ユニコーン)の血をすする不気味な人影に遭遇する。その正体は、命をつなぐために禁忌を犯していたヴォルデモートの仮の姿だった。駆けつけたフィレンツェはハリーを自分の背に乗せて逃がし、一角獣を殺してその血を飲んだ者は「呪われた命」を生きることになると教える。
ケンタウルスにとって人間を背に乗せることは、ただの騾馬のように扱われるのと同じ屈辱。仲間のベインは、天の定めに逆らうのかとフィレンツェを激しく非難したが、フィレンツェは掟より少年の命を選んだ。
なぜ群れから追放された?
教授就任を「人間への隷属」とみなされ、殺されかけた
その代償は大きかった。『不死鳥の騎士団』で、アンブリッジに解雇されたトレローニー先生の後任として、ダンブルドアから占い学教授への就任を打診されたフィレンツェがこれを受けると、群れは人間に仕える裏切りだと激怒。フィレンツェは仲間に殺されかけ、間に割って入ったハグリッドに救われる形で群れから追放された。以降は禁じられた森に戻れず、ホグワーツ城内の教室で暮らすことになる。
追放されたあともフィレンツェはハグリッドを気にかけ、ハリーを通じて「彼の試みはうまくいっていない。あきらめたほうがいい」と忠告を伝えている。ハグリッドが森に隠していた異父弟グロウプのことだ。
どんな占い学の授業をした?
床に寝そべって星を読む、トレローニー先生と正反対の授業
フィレンツェの教室は、1階の11番教室を禁じられた森そっくりに改装した空間だ。床には苔が生え、木々が茂り、天井には星空が広がる。生徒たちは床に仰向けに寝そべって天空を観察し、セージとマロウスイートの葉を燃やして、その煙と炎に表れる形や兆しを読み取った。
| 比較 | フィレンツェ | トレローニー先生 |
|---|---|---|
| 教室 | 1階の11番教室(森を再現) | 北塔の最上階 |
| 方法 | 星の動き、薬草を燃やした煙と炎 | 水晶玉、茶葉、手相 |
| 読むもの | 種族や世界の大きな流れ(数十年単位) | 個人の運勢 |
| 予言への姿勢 | 確実ではなく、ケンタウルスでも誤ることがある | 不吉な予言を好んで告げる |
フィレンツェは、人間の占いはほとんどが当てにならないと言い切り、星に表れるのは個人の小さな運勢ではなく、世界の大きな変化だと教えた。最初の授業では、魔法界が2つの戦争のあいだの束の間の平穏にすぎないことを星が示していると語っている。アンブリッジ失脚後に復職したトレローニーとは、『謎のプリンス』で占い学を分担して教える変則体制になった。
フィレンツェのその後は?
ホグワーツの戦いで重傷を負い、戦後は群れに迎え入れられた
『死の秘宝』のホグワーツの戦いで、フィレンツェは迷わず城側に立って参戦し、脇腹から血を流すほどの重傷を負いながら生き延びた。最終局面では、静観を続けていたベインたち森の群れも城に駆けつけ、死喰い人と戦っている。
原作者J.K.ローリングがのちのインタビューで明かしたところによると、戦後、フィレンツェは群れに迎え入れられたという。群れは、人間に味方した彼の選択が恥ではなく名誉あるものだったと認めざるを得なかった。種族の誇りと個人の信念の対立が、和解で締めくくられたのだ。
映画のフィレンツェは原作とどう違う?
金髪ではなく黒髪のCGキャラクターとして登場した
映画版でフィレンツェが登場するのは『賢者の石』のみ。俳優レイ・フィアロンが声を担当したCGキャラクターで、原作の白金色の髪ではなく黒髪の姿で描かれた。映画『不死鳥の騎士団』では、フィレンツェが教授になるエピソードもケンタウルスの群れとの対立もカットされ、トレローニーが解雇される場面のみが残っている。
禁じられた森のケンタウルスは?
ベイン、ロナン、マゴリアンらがいる
| 名前 | 特徴 |
|---|---|
| フィレンツェ | 金髪に青い瞳。人間に味方し、占い学教授になった |
| ベイン | 黒髪と黒い馬体の荒々しいケンタウルス。人間への干渉を嫌う |
| ロナン | 赤毛と赤いひげ。穏やかで、ハリーたちにも比較的友好的 |
| マゴリアン | 群れのリーダー格。『不死鳥の騎士団』でアンブリッジと対峙した |
『不死鳥の騎士団』では、森に踏み込んだアンブリッジがケンタウルスを「半獣」と侮辱して呪文を放ち、怒った群れに連れ去られる。ケンタウルスが人間に従属しない誇り高い種族であることを示す名場面で、フィレンツェの選択がいかに異例だったかもよくわかる。
まとめ:フィレンツェの要点
- 『賢者の石』でヴォルデモートの気配からハリーを救ったケンタウルス(ケンタウロス)
- 教授就任で群れに殺されかけ、ハグリッドに救われて追放された
- 授業は星と煙を読む本物の予見術で、トレローニーとは正反対だった
- ホグワーツの戦いで城側に立って戦い、戦後は群れに迎え入れられた
魔法動物たちのなかでも、フィレンツェは「種族の掟」と「個の良心」の間で戦い続けた稀有な存在。ハリポタが描く偏見と共存のテーマを、人間以外の視点から体現したキャラクターだ。(フロントロウ編集部)


















