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『ロスト・イン・トランスレーション』渋谷の名場面は“無許可”だった

FRONTROW Editorial Dept.
BY FRONTROW Editorial Dept.
『ロスト・イン・トランスレーション』渋谷の名場面は“無許可”だった
写真:Prime Video

 東京を舞台にした2003年の名作『ロスト・イン・トランスレーション』。その撮影の一部が、実は許可を取らない“ゲリラ撮影”だったことを、監督のソフィア・コッポラが明かした。撮影場所のひとつは、あの渋谷のスクランブル交差点だという。(フロントロウ編集部)

スターバックスに入って交差点を撮影

 ソフィアが撮影の裏話を語ったのは、英The Guardianの読者から寄せられた質問に本人が答える企画。「撮影許可が足りず、一部のシーンをゲリラ撮影したと聞きました。逮捕されるリスクが一番高かったのはどのシーンですか? もし国外追放になっていたら?」という質問に、こう答えている。

 「ほとんどの撮影は許可を取っていました。でも、スカーレット(・ヨハンソン)が地下鉄に乗るシーンは、周りに本物の乗客がいる状態で撮るしかなかったんです。渋谷の有名な交差点にいる彼女を上から撮ったショットも同じ。とにかく眺めが素晴らしかったのでスターバックスに入ったんですが、あそこで撮影する許可は絶対に下りなかったでしょうね」

 そして「ゲリラ撮影の精神で、いくつかの場面はこっそり撮影しました。追い出されなくてよかった、本当に」と笑い交じりに振り返った。

 『ロスト・イン・トランスレーション』は、ビル・マーレイ演じるボブと、スカーレット演じるシャーロットが東京で出会い、心を通わせていく物語。人々が行き交う交差点を見下ろすショットは、異国の街にいる彼女の心細さを映し出す場面として知られる。何気なく見ていたあの景色が、監督たちにとっては“見つかったら終わり”という緊張感のなかで撮影されていたことになる。

ラストの“ささやき”は今も秘密

 同作をめぐっては、ファンが20年以上にわたって知りたがっている謎がある。ラストシーンで、ボブがシャーロットの耳元で何をささやいたのかだ。

 この企画でも「答えてくれないとは思うけど、誰かが聞かないと」と質問が寄せられたが、ソフィアは「ビルがいつも言っていることが好きなんです。彼は『それは2人だけの秘密』と言う。だから、そのままにしておきます」と、今回も明かさなかった。

母が撮りためた80時間の映像

 インタビューでは、2006年の監督作『マリー・アントワネット』の思い出も語られた。撮影中は母エレノア・コッポラがメイキング映像を撮り続けており、その量はおよそ80時間にのぼったという。ソフィア自身も最近まで映像の存在を忘れていたそうで、「家族のホームビデオを見返すようで、本当にうれしいご褒美でした」とコメントしている。

 その映像は、エレノアが監督したドキュメンタリー『Making Marie Antoinette(原題)』としてまとめられ、英国では10月23日から劇場公開され、11月6日から動画配信サービスのMUBIで配信される。

 また、ヴェルサイユ宮殿で開かれた同作の記念イベントで、サウンドトラックにも楽曲が使用されたニュー・オーダーが「Ceremony」を演奏した瞬間について、ソフィアは「将来、幸せな思い出を振り返るなら、きっとこの瞬間」と語った。ソフィア・コッポラの作品に漂う、どこか夢のような雰囲気は、こうした“記憶への愛着”から生まれているのかもしれない。

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