キアヌ・リーブスは、“あるもの”が怖いと感じているという。それは映画撮影の契約内容にも影響していた。(フロントロウ編集部)
キアヌ・リーブスの契約にある「禁止事項」
映画『スピード』や『マトリックス』、『ジョン・ウィック』など、数多くの映画に出演してきたキアヌ・リーブスはハリウッドきっての大スター。そのため彼が映画に出演する際には、様々な条件が契約書に書かれる。出演料などはもちろんのこと、制作陣が彼にケガをしてほしくないとして“バイク禁止”の内容が盛り込まれたことも。とはいえキアヌは大のバイク好きで知られるため、守ろうとはしたけど守れなかったという過去を明かしている。
そんなキアヌだが、ある時から、自らある文章を契約書に加えるようになったという。それは、“キアヌの演技を許可なく編集で修正してはいけない”というもの。
CGが重要な作品に慣れ親しんできた彼が、そういった条件を設定するのは意外のような気もするが、逆にそういった作品への出演経験が多いからこそ、問題点に気がついているのだろう。米Wiredのインタビューでキアヌが明かしたところによると、90年代か2000年代初頭に出演した作品で、後から勝手に涙を足されたことがあったのだという。

「“は!?”という感じで、僕がここにいる必要がないじゃないかと思った」そうで、それから許可なしで修正されることは避けたいと考えるようになったよう。
キアヌ・リーブスが「怖い」と思っていること
俳優としてそんな経験をしたことは、彼があるものを「怖い」と感じていることにも繋がっている。そのあるものとは、ディープフェイク。
AI技術によって、動画の中にいる人の顔など一部を入れ替える技術のことで、オンライン上には、『マトリックス』のキアヌの顔をウィル・スミスに置き換えたものや、『ハリー・ポッター』のシリウスがキアヌになっている映像など、数多くの動画が公開されている。おそらく自分の動画にキアヌの顔をディープフェイクしているTiTokアカウントは、アカウント名や自己紹介には「リアルではない」「パロディ」とは書いているものの、各動画では何も説明がなく、誤解する人が続出した。その他にも、政治家のフェイク動画制作や性犯罪への利用など、危険性は高い。
キアヌは俳優として、映像制作にディープフェイクが利用されれば、そこから俳優の視点や演技の意図がなくなることが「怖い」という。
そして、キアヌとテクノロジーの話で盛り上がったとなれば、話が『マトリックス』にいかないわけはない。インタビュアーが、あの映画は予言のようになっていると話したら、キアヌはエージェントスミスの声マネをしながら「奴らは君のために決断し始めている。それは僕たちの世界になった」と反応! しかし、最高すぎる一面を見せた後に、彼が若い世代と話して感じたことを真剣に語った。

彼は以前、15歳の子に『マトリックス』のあらすじを説明したそうなのだが、その時その子が返した言葉は「現実かどうかなんて、誰が気にするの?」というものだったという。キアヌはテクノロジーやAIによるアート作品を否定しているわけではなく、興味深いと考えているという。しかし現代社会でそれらがどのような影響力を持ち、どのような変化を作っていくのかには、懸念もあるよう。
「しかし、それらの後ろには企業による支配があり、物事をコントロールしようとしています。文化で、社会で、私たちは現実の価値、もしくは無価値と直面することになる。そして、何が私たちを後押しするのか?なにが私たちに与えられるのか?」
ちなみにキアヌは、2021年に唯一無二のデジタルアイテムを指すNFTについて興味がない様子を見せていたが、2022年に、ニュージーランドを拠点とするクリエイティブテクノロジーのスタジオNon-Fungible LabによるFutureverse FoundationというNFTに関するプログラムで、アドバイザーとして参加することを発表。キアヌの恋人でアーティストのアレクサンドラ・グラントも、ともにアドバイザーに就任した。
(フロントロウ編集部)


















