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『ベイビーガール』の彼が監督になっていた。『URCHIN/アーチン』10月公開

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『ベイビーガール』の彼が監督になっていた。『URCHIN/アーチン』10月公開
© 2013 Free Range Films Limited/ The British Film Institute / Curzon Film Rights 2 and Channel Four Television Corporation.

『逆転のトライアングル』『ベイビーガール』で一躍ハリウッドスターの仲間入りを果たした英国俳優ハリス・ディキンソンが、初の長編監督作『URCHIN/アーチン』で日本の劇場にやってくる。10月23日公開決定と同時に、強烈なコピーを掲げたキービジュアルが解禁された。(フロントロウ編集部)

カンヌで、俳優ではなく監督として呼ばれた

スクリーンの前に立つ人だと思っていたら、いつのまにか後ろに回っていた。『ベイビーガール』や『逆転のトライアングル』で新世代の注目株となったハリス・ディキンソンが、自ら監督・脚本を手がけた初の長編作『URCHIN/アーチン』(原題:URCHIN)。その日本公開が、2026年10月23日(金)に決定した。新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開される。

俳優としてキャリアを築きながら、映画監督という夢を抱いていた——そう聞くと控えめな挑戦のようだが、成績は控えめではない。第78回カンヌ国際映画祭<ある視点>部門で、主演のフランク・ディレインが最優秀男優賞を受賞。作品は国際映画批評家連盟賞にも輝き、部門の作品賞にもノミネートされた。さらにハリス自身が、その年の最も優れた新人監督の長編デビュー作に贈られるカメラ・ドール賞にノミネートされている。俳優が撮った一本、という枕詞が要らない評価のされ方だ。

何度やり直しても、ふりだしに戻る男

タイトルの“URCHIN/アーチン”が指すのは、社会に居場所を作れない、はみ出し者のこと。ロンドンの路上で暮らすマイク(フランク・ディレイン)は、ある日、親切にしてくれた男性から衝動的に金品を奪って逮捕されてしまう。出所後は再生を誓うのだが、順調に見えた生活はふとした拍子に脆く崩れていく。転落の真っ只中にいるマイクを待つのは、破滅なのか——。

題材の選び方には、はっきりした背景がある。配給元の発表によると、ハリスは実際に、依存症の当事者や路上生活者を支援する団体をサポートしてきた。その経験からテーマの着想を得たという。「社会の隙間に落ちた人々」と「そこから抜け出せない社会システム」を描きながら、善意や教訓を押しつけず、あくまで“観察”に徹する。だからこの映画のマイクは、同情を誘うために弱くされてはいない。心底変わりたいと願いながら、なぜか全力でクズを全(まっと)うしてしまう。どうしようもないのに目が離せない、というユーモアが残る。

監督としてのハリスは、その距離感を意識的に選んだようだ。「私は本作を単なるドラッグやホームレスの話にしたくはありませんでした。描きたかったのは『人は誰しも、自分の弱い部分へと引き戻されてしまうことがある』という部分です」と語り、「マイクという人間と彼が歩む人生の道のりを、どうか少しでも思いやってほしい。この映画が皆さんの思考や共感を呼び起こすきっかけになれれば嬉しいです」と続けている。

「モテないクズは、ただのクズだ」

あわせて解禁されたキービジュアルは、一見おだやかだ。差し込む光のなかでまどろむマイク。だがそのすぐ隣には、彼に鋭い視線を投げかける女性がいる。そして画面には、モテないクズはただのクズだ、という強烈なコピーが置かれている。眠っている当人だけが、まだ何も気づいていない。落とし穴がいくつも待ち構えていることを、ビジュアルのほうが先に告げている構図だ。

出演はフランク・ディレイン、メーガン・ノーサム、そして監督のハリス・ディキンソン自身も名を連ねる。上映時間は1時間39分、PG12。配給はスターキャットアルバトロス・フィルム。ロンドンの路上から放たれる負のスパイラルが、秋の日本のスクリーンに届く。

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