「時には10台や11台のカメラ」。エロルディが語ったリドリーの現場


リドリー・スコット監督の『ラスト・サバイバー』が、8月28日(金)に日本公開を迎えた。その前日に解禁された特別映像には、88歳の巨匠がイタリアの山中でどう撮っていたのかが収められている。(フロントロウ編集部)
カメラは1台ではなかった
『ブレードランナー』(82)や『エイリアン』(79)で映画の風景を書き換えてきたリドリー・スコットが、ピーター・ヘラーのベストセラー小説「ドッグ・スターズ」を映画化した『ラスト・サバイバー』。舞台は、謎のパンデミックで人口の90%が死滅した世界だ。人間性を失った生き残りたちが奪い合いと殺し合いを続けるなか、愛犬と亡き妻の記憶だけを頼りに生きてきたパイロットのヒッグが、無線に届いた謎の声に導かれて未知の空へ飛び立つ。
配給の20世紀スタジオによると、公開直前に解禁された特別映像は、その撮影現場に踏み込んだ内容になっている。なかでも目を引くのは、主演のジェイコブ・エロルディが別のインタビューで明かしていた、リドリーの現場のやり方だ。
「リドリーは、何よりもまず映像で物語を語る人。時には10台や11台ものカメラを使って1つのシーンを撮ることもある」
1カットずつカメラを据え直すのではなく、10台以上を同時に回して一度の芝居を多角的に押さえてしまう。映像のなかでも、複数台に取り囲まれながら演じるエロルディの姿が確認できる。画コンテを見つめる監督の眼差し、監督の掛け声とともに小型機が大空へ上がっていく瞬間まで、現場の段取りがそのまま映り込んでいる。

「まるで宇宙みたい」と言われた撮影地
ロケ地となったのはイタリアの山岳地帯だった。シーマを演じたマーガレット・クアリーは、その景色をこう表現している。
「広大な景色はまるで宇宙みたい。自分が小さく感じる」
滅びた世界の広さを、セットではなく実際の土地の大きさで見せる——それがこの作品のスケール感を生んでいる。映像の終盤には、生き残りたちに猛然と追われたヒッグ、シーマ、そしてシーマの父ジャックが小型機に逃げ込む場面も収められており、その広大さが逃げ場のなさに反転する瞬間も垣間見える。
リドリー自身は、本作を引き受けた理由を「脚本に引き込まれ、その瞬間に監督を引き受けることを決めた」と語る。完成した作品については「人間ドラマも恐怖も全てを盛り込んだ。もちろん最悪の状況も」とも話しており、絶望だけを描くつもりはなかったことがうかがえる。
集まった俳優たちが口を揃えたこと
ヒッグ役のエロルディ、元軍人バングリー役のジョシュ・ブローリン、シーマ役のクアリー、その父ジャック役のガイ・ピアース。この顔ぶれが並んだ理由を、映像のなかで本人たちが説明している。
「リドリーは誰もが憧れる監督。迷う余地なく出演を決めた」(エロルディ)、「ずっと敬愛してきた監督よ」(クアリー)、「本当に素晴らしい監督なんだ。全てがトップレベル」(ブローリン)。ロンドンのプレミアでリドリーがエロルディの起用経緯を明かした際も、俳優側の答えは同じだった。監督の名前が、出演の決め手そのものになっている。

日本語吹替版ではヒッグの声を武内駿輔が担当する。映画『ラスト・サバイバー』は8月28日(金)より全国劇場にて公開。















