「音がする方へ進んではいけない」。『バックルームズ』生存5カ条が解禁


9月4日に日本公開を迎えるA24の話題作『バックルームズ』から、公開直前の特別映像が2本届いた。片方は、あの黄色い迷宮に落ちてしまった場合に備える“ガイド動画”だ。(フロントロウ編集部)
守るべきは5つ。ただし安全は保証されない
配給のハピネットファントム・スタジオによると、今回解禁された1本目は、バックルームズの世界で生き延びるための注意点をまとめた映像だ。ただし、その効力については身も蓋もない断り書きが添えられている。あくまで超最低限の心得であり、身の安全を完全に保証するものではない。落ちてしまったら、最終的には自己責任である、と。
示されるのは5つ。
1・音がする方へ進んではいけない。2・誰かに呼ばれても応じてはいけない。3・むやみに扉を開けてはいけない。4・立ち止まってはいけない。5・知りすぎてはいけない――。
どれも「進むな」ではなく「反応するな」に近い。音がして、名前を呼ばれて、扉があって、それでも動かないでいることが最も難しい、という構造になっている。映像には「ここには何かいる」「こっちに来るな!」という切迫した声も差し込まれ、鈍く明滅する蛍光灯とどこまでも続く黄色い壁が映し出される。
『8番出口』の監督が、同じジャンルを見た
同時に解禁されたもう1本は、映画『8番出口』の川村元気監督が本作を鑑賞して寄せたコメント動画だ。日本のリミナルスペース映画を撮った当人が、その本家とも言える作品をどう受け止めたのか、という並びになる。
川村監督は本作を「悪夢のような映画体験」と評している。映像では、どこまでも続く黄色い空間と不穏な音、そして出口の見えない迷宮で何かに追い詰められていく登場人物たちの姿が切り取られていく。
同じ「無限に続く似た空間」を扱いながら、『8番出口』が地下通路の異変を見つける遊びだったのに対し、『バックルームズ』は異変が向こうから来る。ジャンルが近いからこそ、両者の差が浮かび上がる。
16歳のYouTube動画から、48カ国1位まで
監督のケイン・パーソンズは現在21歳。16歳で発表したYouTube短編「The Backrooms (Found Footage)」が伝説となり、17歳で映画化を企画、19歳で撮影に入った。
5月29日に始まった全米公開では、初週末の興行収入が8,100万ドル(約129億円)に達し、前週公開の『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』を上回って全米1位を獲得。初週末の世界興収は1億1,800万ドル(約188億円)で、A24の歴代最高記録を更新した。アメリカを含む世界48カ国で初登場1位を記録した作品を生んだことで、パーソンズは史上最年少監督となった。
物語は、自らが営む家具屋の地下から異次元へ迷い込んだクラークと、その行方を追ってバックルームズへ足を踏み入れたセラピストのメアリーを追う。出演はキウェテル・イジョフォー、レナーテ・レインスヴェ、マーク・デュプラス、フィン・ベネットら。日本語吹替版ではクラークの声を諏訪部順一が担当する。
映画『バックルームズ』は9月4日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。
9月3日は「5時に夢中!」生出演、4日は小島秀夫と初対面
日本公開に合わせて来日するケイン・パーソンズ監督の予定が固まった。まず9月3日(木)、TOKYO MXの情報番組「5時に夢中!」(毎週月〜金曜17:00〜17:59)の放送回に生出演する。番組側からの熱烈なオファーを受けて実現したもので、”大人の秘密基地”と呼ばれる生放送の枠に、21歳の監督が座ることになる。
翌9月4日(金)、公開初日にはTOHOシネマズ 六本木ヒルズで来日舞台挨拶が行なわれる。スペシャルゲストとして登壇するのは、『メタルギア』シリーズで知られるゲームクリエイターの小島秀夫。MCは宇内梨沙が務める。YouTube発の短編から世界を動かした若きクリエイターと、独自の世界観で世界中のファンを掴んできた日本の作り手が、ここで初対面を果たす。本作の話にとどまらず、それぞれの創作についても語られる予定だ。イベントは18時45分から19時20分まで、上映前に実施される。
公開初日から、入場者に「リミナルスペース小講座」の小冊子
9月4日(金)の公開を記念して、劇場入場者プレゼントの配布が決まった。配られるのは「『バックルームズ』をもっと楽しむリミナルスペース小講座」と題した小冊子で、サイズはB5、全4ページ。一部劇場を除く先着数量限定の特典で、なくなり次第配布終了となる。
制作に協力・編集で加わったのは、書籍『リミナルスペース:新しい恐怖の美学』(ALT236著/佐野ゆか訳)を刊行したフィルムアート社。誰もいない廊下や地下通路、使われていない施設といった、日常のなかにありながら現実から切り離されたように感じられる“境界的な空間”に潜む不気味さや郷愁を、体系的に扱ってきた版元だ。
冊子は、なぜ誰もいない場所に怖さを感じるのか、なぜ見覚えのある風景なのに「ここではないどこか」のような違和感を覚えるのか、という素朴な問いから始まる。そこから、日常と非日常の境界、郷愁と不安が同居する感覚、ネットカルチャーから生まれた新たな恐怖の美学へと話が進む構成で、本編を観たあとに読むと、あの黄色い部屋で自分が何に怯えていたのかが言葉になる。
9月4日の公開初日、赤坂に「バックルームズ」そのものが出現
日本公開日となる9月4日、劇中の“バックルームズ”を再現したリアル3D広告が東京・赤坂に出現していることが明らかになった。主人公クラークの家具店に突如として現れる、あの謎の空間を模したものだ。
夜になっても煌々と不気味に光り続ける黄色い空間が街なかに出没したことで、掲出初日には一般ユーザーによる目撃投稿がXに上がり、9月3日正午の時点で8.8万いいねを超える反響を集めている。設置は期間限定で、没入体験ができるライブ配信も実施される。ネット怪談として広まった空間が、今度は現実の街角に置かれたかたちだ。
9月5日、Mr.都市伝説・関暁夫が語る特別映像が解禁
日本公開を祝して、都市伝説テラーのMr.都市伝説・関暁夫が<黄色い部屋>と本作の描く”恐怖”の正体を語る特別映像が、9月5日17時に解禁された。映像の冒頭で関は「異世界っていうのは存在するんだよね」と断言し、登場人物たちが迷い込むどこまでも続く不気味な<黄色い部屋>について、「異世界の入り口になっているのは<間違いない>」と語っている。
さらに関は、本作の恐怖が「自分にあるトラウマ」に由来するもので、「異変を感じる人は、自分の経験と重なるところがある」と、見る人によって恐怖が姿を変えていくことを指摘。<黄色い部屋>には「地球人口80億人のトラウマが重なる」という新解釈を提示したうえで、「自分を試すために見てごらん」「あなたは没入することになる」と挑発してみせた。締めくくりは、おなじみの「信じるか信じないかはあなた次第です」。


















