ビースティ・ボーイズのマイク・Dが、8月28日にデビュー・アルバム『Thank You』をリリースした。グループのメンバーによる新作フルアルバムとしては、2011年の『Hot Sauce Committee Part 2』以来となる。(フロントロウ編集部)
初のフル・アルバムを出すと伝えられたのは、今年6月のことだった。それから約3カ月、マイク・Dのデビュー・アルバム『Thank You』が8月28日に届いた。1981年にビースティ・ボーイズを結成してから45年、彼が自分の名前だけで1枚を通したのは、これが初めてになる。

先に出た2曲は、こう受け止められた
アルバムに先行して公開されていたのは「Switch Up」と「What We Got」の2曲だ。米ニューヨーク・タイムズ紙は「Switch Up」を、遊び心にあふれ、ビートを軸に組み立てられたコラージュだと評した。音楽メディアのOkayplayerは「What We Got」について、クラシックでありながら大胆でエネルギーに満ちていると書いている。
どちらの評も、ヒップホップという枠のなかだけで論じていないのが共通している。実際、ユニバーサル ミュージックの発表によると、『Thank You』にはポスト・エレクトロニックのグルーヴと催眠的なフックが随所にちりばめられ、ジャンルの枠にとらわれない音世界へリスナーを連れていく作りになっているという。トラックリストを見ても、「Secrets」がPt. IとPt. IIに割られていたり、「Crypto」という曲名が並んでいたりと、素直なラップ・アルバムの並びではない。

音楽以外で名前を見かける15年だった
ビースティ・ボーイズは1986年のデビュー作『ライセンスト・トゥ・イル』でいきなり全米1位を獲得し、その後グラミー賞を3度受賞。2012年にはロックの殿堂入りを果たしている。
一方でこの15年のマイク・Dは、音楽の外側でもよく動いていた。住宅のデザイン、オンラインコンテンツ、ロサンゼルス現代美術館(MOCA)で数週間にわたって開かれたグループ展のキュレーション。2018年にはアダム・ホロヴィッツと共著で『Beastie Boys Book』を出し、ニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストで1位になっている。バンドの物語を、自分たちの言葉で語り直す作業だった。
つまり『Thank You』は、語り直しをひと通り終えた人物が、あらためて自分の音を出した1枚ということになる。本名はマイク・ダイアモンド。ニューヨークで育ち、幼い頃からビートルズやジャクソン5、レゲエ、ロックを浴びてきた男の、初めてのソロ作だ。
今夜、渋谷でも
リリースを記念して、8月28日には各国でイベントが開かれる。日本ではタワーレコード渋谷店6FのTOWER VINYLで、19時からアルバムのリスニング・パーティーが行なわれる。入場は無料で、来場者を対象にトートバッグやステッカーといったイベント限定グッズが当たる抽選会も実施されるという。
新譜を丸ごと聴かせるだけの集まりが、同じ日に世界の何都市かで同時に立つ。曲順どおり、最後の「Thank You」まで通して聴いてほしい——そういう出し方なのだろう。

















