『ハリー・ポッターと呪いの子』は、ハリーたちの19年後を描いた「8番目の物語」だ。ただし、これまでの7巻とは違い、本として出ているのは小説ではなく舞台の脚本。日本では単行本、文庫、児童向けの文庫、東京公演に合わせた東京版と、いくつもの種類が出版されている。この記事では、『呪いの子』の本がなぜ脚本なのか、日本語版の種類とそれぞれの違い、どれを選べばいいか、そして物語のあらすじまでを解説する。
『呪いの子』の本は小説なの?
小説ではなく、舞台のための脚本として出版されている
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | Harry Potter and the Cursed Child |
| 本の形式 | 舞台脚本(小説版は出ていない) |
| 原作 | J.K.ローリング、ジョン・ティファニー、ジャック・ソーン |
| 脚本 | ジャック・ソーン |
| 舞台の初演 | 2016年、ロンドンのパレス・シアター |
| 物語の時代 | 『死の秘宝』の19年後 |
| 主人公 | ハリーの次男アルバス・セブルス・ポッター |
『呪いの子』は、もともと舞台作品として作られた物語だ。J.K.ローリングが、演出家のジョン・ティファニー、劇作家のジャック・ソーンとともに原案を作り、脚本はソーンが手がけた。そのため、出版されている本はすべて舞台の脚本で、登場人物のセリフとト書きで物語が進む。地の文で心情が描かれる小説とは読み心地が大きく異なるので、購入するときは注意したい。
日本語版の本は何種類ある?
松岡佑子訳の単行本・文庫・児童向け文庫と、小田島夫妻訳の東京版
日本語版は静山社から出版されている。大きく分けると、シリーズ7巻と同じ松岡佑子さんの翻訳によるものと、東京公演の上演台本をもとにした小田島恒志さん・小田島則子さんの翻訳による「東京版」の2系統がある。
| 種類 | 翻訳 | 特徴 |
|---|---|---|
| 特別リハーサル版(単行本) | 松岡佑子 | 2016年に最初に出版された版。現在は愛蔵版が主流 |
| 舞台脚本 愛蔵版(単行本・文庫) | 松岡佑子 | 上演後の修正を反映した決定版。文庫は第一部・第二部の2冊組 |
| 静山社ペガサス文庫(第一部・第二部) | 松岡佑子 | 小学校高学年から読める児童向け。ふりがな付き(2020年9月発売・各935円) |
| 第一部・第二部 舞台脚本(新装版) | 松岡佑子 | 2023年11月発売。2017年刊行の愛蔵版を1冊にまとめた版(432ページ・2,310円) |
| 舞台脚本 東京版(単行本・文庫) | 小田島恒志・小田島則子 | 東京公演の上演台本にもとづく。単行本は2023年6月発売(288ページ・2,090円)、文庫は2024年11月発売 |
価格やページ数は、書店の情報サイト「絵本ナビ」の掲載情報によると上の表のとおり。最初に出た特別リハーサル版は、ロンドン初演のリハーサル段階の脚本をもとにしたもので、上演後に修正を加えた「愛蔵版」が現在の決定版になっている。
各版の表紙とAmazonの販売ページ(2026年10月21日時点)
表で紹介した版は、2026年10月21日時点でいずれもAmazonで購入できる。表紙は、松岡佑子訳の各版がロンドン初演と同じ金色の鳥の巣のデザイン、東京版が時計と翼のデザインなので、ひと目で見分けがつく。文庫の愛蔵版は第一部・第二部の2冊に分かれているので、続けて読むなら2冊そろえたい。東京版には、ふりがな付きの静山社ペガサス文庫版も出ている。

特別リハーサル版(単行本)(Amazonで見る)

舞台脚本 愛蔵版(単行本)(Amazonで見る)

舞台脚本 愛蔵版 第一部(静山社文庫)(Amazonで見る)

舞台脚本 愛蔵版 第一部(静山社ペガサス文庫)(Amazonで見る)

第一部・第二部 舞台脚本(2023年版)(Amazonで見る)

舞台脚本 東京版(単行本)(Amazonで見る)

舞台脚本 東京版(静山社文庫)(Amazonで見る)

舞台脚本 東京版(静山社ペガサス文庫)(Amazonで見る)
東京版と愛蔵版の違いは?
東京版は、赤坂で上演されている舞台の台本にもとづく
いちばん大きな違いは、どの舞台の脚本をもとにしているかだ。愛蔵版はロンドン初演の第一部・第二部、合わせて約5時間の二部作の脚本を翻訳したもの。一方の東京版は、休憩を含めて約3時間40分の一部構成に再構成された東京公演の上演台本をもとに、舞台の翻訳を手がけた小田島恒志さん・小田島則子さん夫妻が訳している。
| 比較 | 愛蔵版(松岡佑子訳) | 東京版(小田島恒志・小田島則子訳) |
|---|---|---|
| もとにした脚本 | ロンドン初演の二部作(約5時間)の脚本 | 一部構成に再構成された東京公演の上演台本 |
| 訳語 | シリーズ7巻と同じ松岡訳 | 舞台で使われているセリフ |
| おすすめの人 | 原作シリーズの続きとして読みたい人 | 東京公演を観た人、これから観る人 |
シリーズ7巻と同じ訳語で物語の続きを読みたいなら、松岡佑子訳の愛蔵版。赤坂の舞台を観た余韻を味わいたい、あるいは観る前に予習したいなら、舞台のセリフそのままの東京版がおすすめだ。
どの本を選べばいい?
目的別のおすすめはこちら
| こんな人に | おすすめの版 |
|---|---|
| 原作シリーズの続きとして読みたい | 舞台脚本 愛蔵版(単行本または新装版) |
| 持ち運びやすさ重視 | 静山社文庫(第一部・第二部の2冊組) |
| 子どもに読ませたい | 静山社ペガサス文庫(ふりがな付き) |
| 東京公演を観た・観る予定 | 舞台脚本 東京版 |
| 英語で読みたい | 英語版の脚本(Parts One and Two) |
英語版も、特別リハーサル版と、上演後の修正を反映した決定版の脚本が出版されている。セリフ中心の脚本は文章が短く、英語の多読に挑戦したい人にも向いている。
『呪いの子』はどんな物語?
ハリーの息子アルバスとスコーピウスが、逆転時計で過去を変えてしまう
物語の舞台は、『死の秘宝』のエピローグと同じ19年後のキングズ・クロス駅から始まる。主人公は、ハリーの次男アルバス・セブルス・ポッター。「英雄の息子」という重圧に苦しむアルバスは、ホグワーツでスリザリンに組分けされ、ドラコ・マルフォイの息子スコーピウスと親友になる。
父ハリーとの関係がこじれていくなか、アルバスは三大魔法学校対抗試合で命を落としたセドリック・ディゴリーを救おうと、スコーピウスとともに逆転時計で過去へ向かう。しかし、過去へのわずかな介入が現在を大きく書き換え、ついにはヴォルデモートが勝利した世界まで生まれてしまう。親子の確執と和解、そして友情を軸に、シリーズのキャラクターたちのその後が描かれる。
舞台『呪いの子』はどこで観られる?
日本では東京・赤坂のTBS赤坂ACTシアターで上演
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、2016年にロンドンで初演されて以来、ニューヨークのブロードウェイなど世界各地で上演されてきた。日本では2022年からTBS赤坂ACTシアターでロングラン上演されてきた(最新の上演情報は公式サイトで確認してほしい)。ハリー役を複数の俳優が交代で演じていることでも話題になった。本で物語を知ってから舞台を観ると、魔法の演出の驚きをいっそう味わえるはずだ。
まとめ:『ハリー・ポッターと呪いの子』の本の要点
- 『呪いの子』の本は小説ではなく、舞台の脚本として出版されている
- 日本語版は、松岡佑子訳と、東京公演にもとづく小田島恒志・小田島則子訳の東京版の2系統
- 松岡訳には単行本、文庫2冊組、ふりがな付きの児童向け文庫、1冊にまとめた新装版がある
- シリーズの続きとして読むなら愛蔵版、舞台を観た人には東京版がおすすめ
- 物語は、ハリーの息子アルバスが逆転時計で過去を変えてしまう19年後の物語
小説ではないと知って驚く人も多いが、セリフだけで進む脚本は、むしろ舞台の情景を想像しながら読む楽しさがある。ハリポタの「8番目の物語」を、自分に合った1冊で味わってみてほしい。(フロントロウ編集部)
参照ソース:
- https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=226340
- https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=243796
- https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=151314



















