26歳のスプリングスティーン、1975年最後の夜。タワー・シアター公演が初の公式CDに


ブルース・スプリングスティーンがEストリート・バンドと1975年の大晦日に行った公演を収めた『ライヴ・アット・タワー・シアター1975』が、12月4日に発売される。この伝説的なステージが公式にCDになるのは、今回が初めて。(フロントロウ編集部)
『明日なき暴走』の年を締めくくった2時間半
舞台は、フィラデルフィア郊外アッパー・ダービーのタワー・シアター。『明日なき暴走(Born To Run)』のヒットでロックの中心に躍り出た1975年、その最後の夜に、26歳のスプリングスティーンはわずか3,000人の観客の前で全18曲、約2時間半を演奏した。
セットリストには、当時の最新作『明日なき暴走』の全8曲のうち7曲が並ぶ。「夜に叫ぶ」「凍てついた十番街」「彼女でなけりゃ」「明日なき暴走」「裏通り」「ジャングルランド」「涙のサンダー・ロード」だ。13分を超える「ロザリータ」や、「デトロイト・メドレー」の途中でカウントダウンをして1976年を迎える瞬間も入っている。アンコールは「クォーター・トゥ・スリー」から「ツイスト・アンド・シャウト」へとなだれ込む。

この時期にしか聴けない演奏
聴きどころは、この頃だけのアレンジ。「凍てついた十番街」は、アルバムの弾むようなバンド・サウンドから一転し、ロイ・ビタンのピアノを軸にしたスロウな演奏に変わっている。終盤の「涙のサンダー・ロード」は、スプリングスティーン、ビタン、ダニー・フェデリーシだけで演奏された。
選曲にも、後から振り返ると意味のある曲が混じる。「82番街にこのバスは停まるかい?」はこの夜を最後に1993年まで18年間演奏されず、「マウンテン・オブ・ラヴ」も2008年まで約33年間セットリストから消えた。アニマルズのカバー「イッツ・マイ・ライフ」には、『明日なき暴走』の若いロマンティシズムから、『闇に吠える街』のより厳しい世界へと視線が移り始めた変化がのぞく。
16トラックのマスターから最新の修復
公演は当時16トラックで録音されていた。今回はそのアナログ・マスターから、近年のスプリングスティーン作品でも使われているプランジェント・プロセスという修復技術で音を起こし直し、リマスターした。
日本盤は2枚組CD。ブックレットにはエリック・フラニガンの英文ライナーノーツの翻訳に加え、五十嵐正による日本版ライナーノーツと曲目解説、三浦久による歌詞・対訳、さらに曲間のトークの日本語訳も載る。また、11月27日のRSD Black Fridayでは、4枚組LPが限定で発売される。
スプリングスティーンのアーカイブからは、昨年も“封印された名盤”の発掘が話題になった。半世紀前の大晦日がどんな夜だったのか、ようやく公式の音で確かめられる。

















