ファッションを愛する人たちの“永遠のバイブル”として1800年代から親しまれている一流ファッション誌、VOGUE(ヴォーグ)。なかでもファッションの都フランス・パリで発行されている仏版は、時代の最先端を行く1冊として毎月世界中の女性たちからの熱視線を集め続けている。
そんな同誌が、1年のうちで最も大事な号の1つと言われる3月号の表紙にトランスジェンダーのモデルを起用し、世間から称賛の声が上がっている。
表紙に起用されたトランスジェンダー・モデル
仏版ヴォーグの3月号に登場したのは、ブラジル人モデルのヴァレンティナ・サンパイオ。現在19歳の彼女は、これまでにも数々のブランドのランウェイや広告に起用され、昨年には故郷ブラジル版のエル誌の表紙にも登場したことで話題を集めた。
「トランスジェンダー・ビューティー:彼女たちはどう世界を揺るがすか?」という、同号の特集タイトルにふさわしく、多様化が進む現代のファッション界において欠かせない存在に成長しつつある注目のモデルだ。
これまでにも、メンズ、レディースのコレクションの両方に登場したオーストラリア人モデルのアンドレイ・ペジックや、米アマゾン・プライムのオリジナルドラマシリーズ『トランスペアレント』で女優デビューまで果たしているハリ・ネフなど、目覚ましい活躍を見せているトランスジェンダー・モデルは多いものの、歴史あるヴォーグ誌の表紙に抜擢されたのはヴァレンティナが初めて。
トランスジェンダー・モデルとして最も知名度の高い2人だが、彼女たちはヴォーグ誌の中面には登場したことはあるものの、同誌の表紙を飾ったことはない。
ヴァレンティナが起用された意味とは?
トランスジェンダーであるヴァレンティナの起用について、仏ヴォーグ誌の編集長のエマニュエル・アルトは「彼女ようなトランスジェンダーのモデルたちが、ファッション界に大きな変化をもたらし、偏見を再構築し直していることを誇りに思っています」と語り、同号の表紙には、人権を尊重することの大切さや、“前進”することの大切さを世の中に伝えたいというメッセージが込められていることを明かしている。
世界中で性別や人種などの壁を越え、「多様性を受け入れること」の大切さが叫ばれる昨今、今回の仏ヴォーグ誌のように、今後、よりポジティブなアクションを起こして人々にアピールしていくメディアが増えていくことが期待されている。