人々がテレビに夢中になり、嘘のニュースが氾濫。1987年に公開された、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画『バトルランナー』で描かれる世界が、そんな2017年現在のアメリカを予言するような内容だと話題になっている。
『バトルランナー』とは
1987年の公開時にはまだ30年後の未来だった、2017年のアメリカが舞台のSF映画。経済崩壊後のアメリカを描いており、その世界では、「ランニング・マン」と呼ばれる、囚人たちが生死をかけて戦うリアリティ番組が人気を博していた。
主人公は、とある理由から囚人となってしまった元警察官のベン(アーノルド・シュワルツェネッガー)。そんな彼も、「ランニング・マン」という危険なゲームへの参加を強いられることになる。果たして彼は生き延びることが出来るのか?
2017年を予測しているような物語
そんな、一見現実世界とはかけ離れているかのような物語であるはずの『バトルランナー』が、現代のアメリカとあまりにもそっくりだと話題に。
2つの世界には具体的にいったいどのような共通点があるのか? 映画が予測した未来と現実の比較をしてみよう。
1 嘘のニュースが蔓延
『バトルランナー』の世界
日々流れるニュースは、政府に操作された嘘のニュースばかり。主人公のベンも、上からの命令に背いただけにもかかわらず、頭のおかしい殺人鬼と報道されてしまっている。嘘もニュースで放送されれば真実になってしまう、恐ろしい世界。
2017年の現実世界
ヒラリー氏とトランプ氏の選挙戦中、ネット上ではたくさんの嘘のニュースが報じられ、人々はそれらの情報に躍らされることに。嘘のニュースが簡単にSNSで拡散され、人々がその真偽を見極めるのが難しくなっていることが問題視されている。
2 リアリティ番組の司会者が国を動かす存在に
『バトルランナー』の世界
人々が熱中し、貧しい人々とお金持ちの人々をつなぐ唯一の存在となっているリアリティ番組「ランニング・マン」は、番組のプロデューサーやアメリカ軍が、国民を貧困や市民権の欠如から目をそらさせるための道具として放送している。
そんな番組のプロデューサー兼司会者のキリアンは、アメリカ軍にも命令を出せるほどの権力を持っており、国にとって大きな影響力のある人物といえる。
2017年の現実世界
トランプ氏には、『バトルランナー』のキリアン同様に、『アプレンティス』という、リアリティ番組のプロデューサー兼司会を務めていた過去が。
毎週、「見習い社員(アプレンティス)」に課題を与え、勝ち抜いた人がトランプ氏のもとで働くことが出来るという番組で、同番組内でトランプ氏が脱落者に放つ「君はクビだ」というセリフは、アメリカで流行語になるほど大人気となった。そんな人気リアリティ番組のプロデューサーであったトランプ氏が、今やアメリカという国を動かす大統領に。
また、奇妙な偶然ともいうべきか、現在その『アプレンティス』の司会を務めるのは、『バトルランナー』で主演を務めたアーノルドだというのだから驚き。
そんなアーノルドは映画が公開された当時、「これは映画で、現実なんかじゃないよ。ただの物語だ」と、あくまで架空の話にすぎないと、NBC局のボビー・ワイガンとのインタヴューでコメントしていた。
偶然にも2017年を予言するかのような内容となっている『バトルランナー』はDVDでレンタル可能。気になったという人は、この奇妙な共通点をぜひ自分の目で確かめてみて。
Text & Photo: フロントロウ編集部(FRONTROW)/ Megumi Kuga、スプラッシュ/アフロ、ニュースコム