ドナルド・トランプ第45代アメリカ合衆国大統領の就任式の翌日、1月21日にアメリカ各地をはじめ世界中で行われた「女性のマーチ(ウィメンズ・マーチ)」。
世界中で500万人以上もの人々が参加し、多くのセレブも一般人に混ざって「反トランプ政権」の主張を繰り広げた同イベントから数日が経った今、デモ行進の際に人々が掲げていたプラカードの行方に注目が集まっている。
参加者たちの多くは、トランプ大統領への抗議活動の一環として、政府関連の建物やトランプ氏が所有する施設などの外にプラカードを放置。
一部では「ゴミみたいだ」、「ひどいありさま」、「一体誰が片づけるんだ?」などの声も挙がっており、確かに一見すると公共の道路などを汚しているようにも見える状態に…。
しかし、多くのアート関係者はこれらのプラカードがただのゴミであるとは、思っていないよう。
アメリカ各地の美術館がプラカードの収集に乗り出している
女性の権利だけでなく、LGBT+や移民、障害者、有色人種などトランプ大統領に否定的な発言を受けてきたすべての人の権利を訴えるメッセージが込められたプラカードの数々は、アメリカ最大級のデモとなった今回の「女性のマーチ」を記念する、れっきとしたアート作品だとして、現在、全米各地の美術館が放置されたプラカードの収集に乗り出している。
セレブたちが掲げていたプラカードのメッセージをいくつか紹介しよう。
女優のヴァネッサ・ハジェンズ
「私は女性。私が雄たけびをあげるのを聞きなさい」
シンガーのマイリー・サイラス
「HH 4 PP(ハッピーヒッピー・フォー・プランド・ペアレントフッド)」
自身が設立したLGBTやホームレスの若者を支援するチャリティ団体のハッピーヒッピー・ファンデーションは、女性の人工中絶などの権利をサポートするNGO団体プランド・ペアレントフッドを支持するとアピールして。
女優のジェシカ・チャステイン&クロエ・モレッツ
「女性はただ基本的権利が欲しいだけ」
1980年代に世界的にヒットしたシンディ・ローパーの名曲「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」の一節にかけて。
モデルのエミリー・ラタコウスキー
「敵はリップスティックではなく、罪そのもの。私たちが望めばリップスティックだって自由に発言する権利だって許されるべき。女性はセクシーにだってシリアス(真剣)にだって、望めば何にだってなれる」
シンガーのケシャ
「動物のために行進してます」
トランプ氏の子息たちが趣味でトロフィー・ハンティング(娯楽として野生動物の狩猟を楽しむこと)に参加していることを批判して。
女性のマーチに参加したひとりひとりの想いがこもったプラカード。確かに、アートとして保存し、後の世代に伝えていく価値がありそうなものもたくさん。
100万人もの人々が集結し、最も大規模なデモとなったワシントンD.C.にある国立アメリカ歴史博物館は、公式ツイッターで、デモ当日と翌日に職員たちで編成された特別チームがすでにプラカードの収集に着手していたことを明らかにしている。
Text & Photo: フロントロウ編集部(FRONTROW)/Ayumi Nakazawa、 スプラッシュ/アフロ、 ニュースコム、Reddit