「今から5時間のあいだ、1リツイートごとに1ドルの寄付をする」と宣言したシンガーのツイートが10万回以上リツイートされ、宣言通り、1,000万円以上が寄付されることとなった。
全米1位「クローサー」のシンガー
宣言をおこなったのは、フィーチャリングアーティストとして参加した曲「クローサー」が2016年最大のヒット曲となった22歳のアメリカ人シンガーソングライター、ホールジー。
彼女がこのような「リツイート企画」をおこなったのは自身のプロモーションではなく、女性として信じているメッセージを拡散するため。
2016年のビルボード・ウーマン・イン・ミュージックでは新人賞に輝いたホールジー、2017年のグラミー賞では2部門にノミネートされている。
医療団体を守るため
ホールジーはドナルド・トランプ大統領の就任翌日にワシントンD.C.で催された大規模デモ「女性のマーチ」に参加しており、参加理由のひとつとして、トランプ政権の批判を受けている医療団体プランド・ペアレントフッドを応援するためであるとツイート内で告白。
プランド・ペアレントフッドは避妊薬の処方や性病検査など多くの医療サービスを提供しているが、人工妊娠中絶もおこなっていることからトランプ陣営やトランプ支持者に糾弾されている。
デモ当日の写真。ミュージシャンのトロイ・シヴァン（左）とその彼（右）、トランスジェンダーのモデル兼女優ハリ・ネフ（中央下）と共に参加した
ホールジーはツイート内で自身が中絶を経験する原因となった子宮内膜症の手術を受けたばかりであることを明かし、プランド・ペアレントフッドの支援なしではさらに危険な状態にいたとコメント。団体の重要性を語った。
自身の経験と共につづられた医療団体への応援ツイートは5時間と経たない内に10万リツイートを超え、ホールジー本人から10万ドル（約1,100万円）を寄付することがツイッターで報告された。
「1RT=1ドル」というあえて話題になりやすそうなアイディアで世間の関心を引いて、重要なメッセージを拡散させようという試み。ホールジーの強い意志がつまったツイートの全文は以下から読める。
ホールジーのツイート全訳
「今日わたしがワシントンに対して行進するのは、団結するためです。愛する女性と。シスジェンダー（※体と心の性が一致している人）の女性と。トランスジェンダーの女性と。有色人種の女性と。シングルマザーと。LGBTの人々と。すべての宗教・階級・家柄の女性と。そしてこういった女性を応援する男性と。
わたしはお腹と骨盤と膣に傷を負った状態でマーチに参加しました。痛みと安心感を同時に感じながら行進したのです。安心している理由は、子宮内膜症という生殖器を破壊する病気の手術を終えたばかりだから。この病気でわたしは地獄を見ました。わずか20歳という年齢で流産を経験したことは肉体的にも精神的にもつらかったです。プランド・ペアレントフッドが何年も前にわたしに提供してくれた医療サービスがなければ、わたしは今でもこの病気の危険にさらされていたでしょう。この清潔で思いやりにあふれた施設は、私を勇者のように扱ってくれました。わたしはプランド・ペアレントフッドを信頼しているからこそ彼らを頼ったのです。安全な場所なのです。今日わたしがワシントンD.C.の道に来たたくさんの理由のひとつがプランド・ペアレントフッドへの応援であることを光栄に思います。
今から5時間のあいだ、1リツイートごとに1ドル・最大で10万ドルをプランド・ペアレントフッドに寄付します。わたしたちは女性の味方です。わたしたちはリプロダクティブ・ヘルス（性と生殖に関する健康）の味方です。わたしたちは全ての宗教・人種・階級・性的趣向の女性が利用できる医療制度の味方です。今日わたしたちと一緒に歴史を作ってくれてありがとう」
ホールジーがツイートしたメッセージ
Text & Photo: フロントロウ編集部（FRONTROW）/ Sonia Kim、スプラッシュ／アフロ、シンクストック／ゲッティイメージズ、Twitter/Halsey、Instagram/Halsey
