先週行われたアメリカ大統領選挙で、民主党のヒラリー・クリントン氏を破り次期大統領に選出された共和党のドナルド・トランプ氏。
「ホームバディ(自宅が大好きな人)」として知られる彼が、1月に予定されている大統領正式就任後も、大統領公邸として代々引き継がれてきたワシントンDCのホワイトハウスには完全転居せず、慣れ親しんだ自宅であるNYのトランプタワーと行ったり来たりの生活を希望していると米ニューヨーク・タイムズ紙が報じている。
自宅が好きすぎる
バラク・オバマ大統領をはじめ、歴代大統領たちが住居兼活動の拠点としてきたワシントンDCにあるホワイトハウス。
一般的には、大統領に就任したら、セキュリティー面や任務遂行の円滑さに配慮して家族揃って移り住むのが習わしだが、選挙中にも自分のベッドで寝起きしたいがために米各州の訪問地から自家用ジェットを使ってわざわざ自宅に戻っていたというトランプ氏。
関係者の証言によると「できれば毎週末はトランプタワーで過ごし、ホワイトハウスには週に何泊くらいするのが良いか専門家たちにアドバイスを求めている」という。
ホワイトハウスに住まなかった大統領っているの?
トランプ氏は愛着のある自宅を離れたくないという理由でホワイトハウスへの完全転居を拒んでいるとされているけれど、これまでの歴史の中でホワイトハウスに住まなかった大統領は居るのだろうか?
その答えはイエス。歴代44人のアメリカ大統領たちのなかで、たった1人だけ、ホワイトハウスに住まなかった人物がいる。それは、1ドル紙幣でもお馴染みで「建国の父」と呼ばれている初代大統領のジョージ・ワシントン。
政府がフィラデルフィアからワシントンDCに移り、ホワイトハウスが完成する1800年より以前の1797年に死去してしまったため、住むことができなかった(参照:ホワイトハウス歴史協会)。
次期大統領を警護するセキュリティチームは反対
トランプ氏の意向に対し、大統領の警護を担当するセキュリティーサービスは、「トランプタワーでは大統領の安全性は担保できない」として反対している。
これまでアメリカの政治の中枢はワシントンDCと決まっていたけれど、もし、トランプ氏がホワイトハウスに移り住まず、トランプタワーのあるニューヨークに政権本部を置くことになった場合、これまでの歴史をくつがえし、政治の流れにも大きな変容が生まれることになる。
先週行われたホワイトハウスでのオバマ大統領との会談時には「ホワイトハウス、なかなか気に入ったよ」と語っていたトランプ氏。
果たして、肝を据えてホワイトハウスに転居する道を選ぶのか、それとも、愛しい我が家トランプタワーから離れられないのか、今後が気になる。