今年40歳になったラッパーのカニエ・ウェストにとって、ヒップホップ界の帝王ジェイ・Zは、20代の頃からコラボをしてきた先輩。
カニエはソロデビューする前からジェイのレーベルでプロデューサーとして名をはせ、2001年にはプロデューサーの一人として、ジェイの名作『ブループリント』の大ヒットに貢献している。
2人の友情は固く、2007年にはカニエがジェイに捧げた「ビッグ・ブラザー」という曲を制作。2011年にはコラボアルバム『ウォッチ・ザ・スローン』を発表し、一緒に約8ヵ月に及ぶ欧米ツアーをして、ヒップホップ界の大親友として知られていた。
しかし昨年末、カニエが突如、ライブ中にジェイへの不満を爆発。不仲説が噴出した。
「電話で『調子はどうだい?』なんて連絡してこないでくれ。もし本当に俺たちがどんな様子か知りたいなら、家まで訪ねてきてくれたっていいだろう。それがブラザーってものだろう?」ーカニエ、2016年10月のシアトル公演でジェイへの気持ちを語って
ジェイが最新アルバムでカニエに言及
ジェイはカニエの不満コメントに対してこれまで口を閉ざしてきたけれど、6月30日にリリースしたアルバム『4:44』でその関係に触れていると話題になっている。
アルバムのファーストソング「キル・ジェイ・Z」では、カニエと思われる人物への批判がラップされている。
学校からドロップアウト(中退)したんだろ/道義をなくしちまったんだろ/お前を裏切る人がいるのは分かる/俺もかわいそうに思うよ/でもその「みんなファック」っていう態度は普通じゃないよ/でもお前はセイント(聖人)じゃない/これはKumBaye(※1)じゃない/'Ye(※2)にクールにしたから傷ついたんだ/なんの躊躇もなく2000万ドル(※約22億円)を渡した/でも奴がくれたのはステージ上での20分だけ/何考えてたんだ?/「みんなおかしい」とお前は言う/でもみんながクレイジーなら、狂ってるのはお前だよー「キル・ジェイ・Z」の歌詞抜粋
※1ゴスペルKumbayaとカニエと妻のあだ名Kimyeをかけ合わせた造語
※2カニエのあだ名
ジェイは「キル・ジェイ・Z」について、「エゴの曲だよ。エゴを殺して、本音と弱さをさらした状態で会話をしようっていうね」と、ラジオ番組『Jam'n 107.5』で説明している。
『4:44』は他にも多くの暴露ソングが収録されており、「4:44」では妻のビヨンセに不倫を謝罪していると言われている。
カニエとジェイの不仲の原因は「ビヨンセ」?
ジェイの曲「キル・ジェイ・Z」の登場でカニエとの不仲説が再熱するなか、2人の不仲は、ジェイの妻であるシンガーのビヨンセと、カニエの妻であるリアリティスターのキム・カーダシアンの関係に最大の原因があるという証言が。
関係者はNew York Post紙にこう明かした。
カニエが不満をぶちまけた本当の理由は、キムとビヨンセが親友じゃないことにあるんだ。カニエは自分の奥さんがビヨンセともっと良い関係にならないことにイラついてるんだよ。カニエとしては、ジェイにそれを強要したかった。「俺らの関係は良好でビジネスもやってるんだから、俺らの奥さんたちも仲良くなるべきだ」ってさ。
これまで、ジェイとビヨンセはカニエの妻であるキムがからむシーンでの交流には消極的で、カニエとキムの結婚式も欠席。ジェイとビヨンセはプライベートを明かすことを嫌うAリストセレブで、プライベートを切り売りするリアリティスターであるキムとは別世界の人間。交流を敬遠する理由は十分ある。
さらに今回、関係者はこうも語った。
(ビヨンセとキムが親友同士になるのは)自然じゃないよ。現実的にあり得ない。エンターテイナーとしての姿からは意外かもしれないけど、ビヨンセは神を恐れる南部女性なんだ。キムとは共通点がほぼないんだよ。
カニエは昨年末のライブ中にジェイへの不満をぶちまけた時に「俺たちの子供はまだ一緒に遊んだこともないじゃないか!」とも言っており、プライベートでの親交がなさすぎることに怒りを抱えていることは明らか。
妻のキムを女神のようにあがめているカニエ。それだけに、親友カップルが最愛の人を認めてくれないのは許しがたいのか。
普段は自分に対する批判や主張にはすぐにリアクションするカニエだけれど、現時点で、ジェイの曲に対するカニエからの反応はない。ヒップホップ界の盟友の関係は今後どうなるのだろうか?