ある女優の発言がキッカケで告発が相次ぐ
第75回ゴールデン・グローブ賞で、ハリウッド女優らが立ち上げたセクハラや性差別撲滅を訴える抗議運動「タイムズ・アップ(Times’ Up)」への支持を表明し、黒いタキシードを身に着け、同運動のロゴが入ったピンバッジを着用した俳優のジェームズ・フランコ。
自身が監督・主演を務めた最新作『ザ・ディザスター・アーティスト(原題)』でミュージカル/コメディ部門の男優賞を受賞した彼に対し、過去に彼に性行為を強要された、性的搾取をされたとする複数の女性たちから、一体どのツラを下げてピンバッジを着用したのかと非難の声が上がっている。
ジェームズがゴールデン・グローブ賞授賞式のステージ上で男優賞のトロフィーを手にした直後、過去にジェームズが演出を手がけたブロードウェイ舞台『ザ・ロング・シフト』に出演した女優のアリー・シーディーがツイッターで、「どうしてジェームズ・フランコの出席が許されるの?」、「ジェームズ・フランコが受賞するなんて。どうかみなさん、私が映画/テレビ業界を去った理由を聞かないでちょうだい」などと、ジェームズへの嫌悪感と過去に彼と何らかのトラブルがあったことを匂わせるコメントを連投。
その後アリーはツイートを削除しているものの、これをキッカケに、ジェームズの行為により精神的・肉体的苦痛を味わったとする女性たちがツイッター上で声を上げた。
女優のヴァイオレット・ペイリーは、「『タイムズ・アップ』のピンバッジがキュートね、ジェームズ・フランコ。あなたが車の中で露出した性器に私の頭を押し付けたときのことと、当時17歳だった私の女友だちにホテルの部屋へ来るように言ったときのことを覚えているかしら? そのときは、すでにほかの17歳の女性に同じことをしたのが見つかったばかりだったよね?」と、ジェームズが未成年の女性ファンにインスタグラムのダイレクトメッセージ機能を使って連絡し、ホテルの部屋に呼び出そうとしていたことが判明した2014年の騒動について盛り込みつつ、皮肉たっぷりにツイート。
Cute #TIMESUP pin James Franco. Remember the time you pushed my head down in a car towards your exposed penis & that other time you told my friend to come to your hotel when she was 17? After you had already been caught doing that to a different 17 year old?
— Violet Paley (@VioletPaley) 2018年1月8日
ヴァイオレットは、ジェームズとは「合意の上の関係だった」としながらも、彼に一部の性的行為を強要されたことを、これまで告発するに至らなかった理由は、その点にあると説明。「自分のほかにも、ジェームズに同じようなことや、それ以上のことをされた女性たちを知っている」とコメント。
これを裏付けるかのように、女優兼映画製作スタッフのサラ・タイザー・カプランは、「ヘイ、ジェームズ・フランコ。ゴールデン・グローブ賞でのタイムズ・アップのピンバッジがお似合いね。数週間前、私があなたの映画2作に1日100ドルのギャラで全裸で出演させられたことについて、あなたは『契約にサインしたんだから問題ない』って言ったわよね。そのことを覚えてる? それこそ、タイムズ・アップ(終わりにすべき)だわ! 」とジェームズの行動は性的搾取だと主張した。
Hey James Franco, nice #timesup pin at the #GoldenGlobes , remember a few weeks ago when you told me the full nudity you had me do in two of your movies for $100/day wasn't exploitative because I signed a contract to do it? Times up on that!
— Sarah Tither-Kaplan (@sarahtk) 2018年1月8日
ジェームズ本人がコメント
女性たちの告発を受け、ニューヨーク・タイムズはジェームズを招いて行うはずだった講演イベントの中止を発表。
その後、人気トーク番組『ザ・レイトショー』に出演したジェームズは、「全部は読んでいないものの、ツイッターで言われていることは耳に届いている」としながら、告発が相次ぐキッカケとなった女優のアリーに関しては、「僕が彼女に何をしてしまったのかは、まったく分からない。彼女のことは尊敬しているし、話したいけれど彼女はツイートを取り下げてしまったから話しようがないんだ」と首をかしげた。
ほかの女性たちの告発については、「自分のしてしまったことには誇りを持って責任を取らなくちゃいけないと思う。僕が聞いていることは正確ではないけれど、女性たちがこうして名乗り出ていることに関しては支持するよ。だって彼女たちは、これまで長い間、声を上げることができなかったんだから。女性たちの行動を邪魔するようなことはしたくない」」とコメント。
「どうすることが最善の方法だと思う?」という司会者からの問いには、「何か悪いことをしたなら、改めるのが僕のやり方だ」、「まずは(女性たちの声に)耳を傾けて学ぶことが大切だと思う。彼女たちの言葉を聞き、学び、自分の考え方を変えていきたい」と神妙な面持ちで語った。