華やかに見えるチアの醜い実態
NFLのアメフト選手といえば、子供がなりたい人気の職業。大金を稼ぎだし、有名になれば一流セレブとしての待遇をされることが多く、アメリカで最も注目される花形職業の1つ。
一方で、同じNFLに所属するチアリーダーたちは、一見、華やかな職業に見えるけれど、その待遇は厳しく、彼女たちへの扱いが問題視されている。
その問題が大きく注目されたのが今年3月に報じられた、スーパーボウルで優勝経験のあるニューオーリーンズ・セインツが、同チームのチアリーダーだったベイリー・デイヴィスを解雇したことから。
解雇理由は、ベイリーが個人のインスタグラムに露出度の高い写真を投稿したことが、チアリーダーの規定に違反したためとしている。
これに対して、ソーシャルメディアの使い方から付き合う相手まで、仕事外のことまで縛られることの多いチアリーダーたちの不平等な対応を見直すため、ベイリーは、EEO(※)とともに裁判を起こした。
※雇用機会均等委員会という、雇用差別を防止するための米政府内の独立機関。
チアリーダーたちの待遇の改善が問われるなか、NFLのチームに所属するチアリーダーたちの厳しすぎる規定が明らかになってきた。
厳しすぎるルール
2015年にスーパーボウル進出を果たしたカロライナ・パンサーズのチアリーダーたちのルールには、こまめに摂るべき水分休憩が、パンサーズがオフェンスの時にしか与えられないと記されているという。
また、2013年にスーパーボウルで優勝したボルティモア・レイブンズのチアリーダーたちは、厳しい体重規制を課されていて、見た目重視の「理想的な体重」を常にキープしていなければいけない。
ほかにも、最低賃金に毛が生えた程度しか給料がもらえないことや、NFLの試合だけではなくチケット販売や無償でゴルフのトーナメントに出席しなければいけないこと、公共の場でスウェットパンツを履いてはいけないこと、さらにムダ毛の処理方法に正しいタンポンの使い方などの衛生面までもが、規定として記されているとThe New York Timesが報じた。
世界中から夢のNFLで踊るために応募が殺到し、厳しいオーディションを勝ち抜いてきたにもかかわらず、現状はきちんとした雇用形態がなく、手厚いサポートを受ける選手たちとは正反対に、ないがしろにされがちなNFLのチアリーダーたち。
社会における賃金格差の解消や男女平等が訴えられる今だからこそ、女性がメンバーのほとんどを占めるチアリーダーの職場改善が求められている。