クリスティーナ・アギレラが、キャリア最大のメッセージアルバムと言える『リベレーション(=解放)』を完成させて帰ってきた。女性を奮い立たせるパワーソングを歌い続ける歌姫の原動力は、その波乱万丈な半生にあった。
画像: パワーソングの歌姫クリスティーナ・アギレラの音楽に影響を与えた5つの出来事

アギレラの音楽に影響を与えた5つのできごと

1. トラブルだらけの家庭環境
 ニューヨーク州で生まれ、親の転勤のため、アメリカ国内を転々とした幼少期。クリスティーナが覚えている幼い頃の記憶は、軍人だった父親の暴力に怯えて暮らす日々。父親の昼寝の邪魔をしたという理由で流血するほどの暴力を振るわれたこともあり、クリスティーナは、「安全だと感じたことはなかった」「そのはけ口として、歌い始めたの」と振り返る。

画像: 母親に抱っこされたクリスティーナ・アギレラ。©Christina Aguilera/Twitter

母親に抱っこされたクリスティーナ・アギレラ。©Christina Aguilera/Twitter

 一方で、父親との結婚のために大学を中退した母親はことあるごとに「自分の人生でやりたかったことを諦めた」と不満を口にしていたそうで、クリスティーナは、「男性に対して弱い存在になるもんか。おとぎ話なんていらない」と、強く思うようになったという。こういった幼少期の強烈な経験が、メッセージ性の強い音楽の基盤となる。

画像: クリスティーナ・アギレラ、「Where's Maria?」より

クリスティーナ・アギレラ、「Where's Maria?」より


2. 青春をショービズ界に捧げる
 13歳だった1993年に子供向け番組『ミッキーマウス・クラブ』のキャストに起用され、ブリトニー・スピアーズや、ジャスティン・ティンバーレイク、ライアン・ゴズリングがいた「花の93年組」の中でも、一目置かれる歌声を持っていたクリスティーナ。

画像: クリスティーナは右から2番目。

クリスティーナは右から2番目。

 すぐにレコード契約を獲得し、ファーストシングル「ジニー・イン・ア・ボトル」は全米シングルチャート1位の大ヒットソングに。18歳にして、大人気ティーンスターの座を獲得する。生まれながらのパフォーマーを自負するクリスティーナが青春をショービズ界に捧げたことを後悔している可能性は低いが、幼い頃から大人の世界で活躍していた経験は、最新曲「フォール・イン・ライン」はじめ、多くの曲に影響を与えている。

画像: クリスティーナ・アギレラ、2018年のオフィシャルインタビューより

クリスティーナ・アギレラ、2018年のオフィシャルインタビューより


3. 体重に対するプレッシャー
 「ビューティフル(2002年)」、「ユア・ボディ(2012年)」、そして最新曲「フォール・イン・ライン」と、“本当の美”を歌ったパワフルアンセムを多く持つクリスティーナ。その背景には、ルックスへの葛藤があった。

画像: 体重の増減を繰り返してきたクリスティーナ。2012年と2013年のわずか1年でこの違い。

体重の増減を繰り返してきたクリスティーナ。2012年と2013年のわずか1年でこの違い。

 スリムだった時もあれば、カーヴィーだった時もありと、体重の大幅な増減を繰り返してきたクリスティーナ。ただ、スリムな時は「痩せすぎ」と批判され、カーヴィーな時は「太りすぎ」と批判され、どちらに転んでも批判されるというリアクションは変わらなかった。そんな経験を通して、今では、ポジティブなボディイメージを発信するミュージシャンの代表格として知られる。

画像: クリスティーナ・アギレラ、米Cosmopolitanのインタビューより

クリスティーナ・アギレラ、米Cosmopolitanのインタビューより


4. 離婚、出産…愛は「苦しみ」でもある
 「愛は苦しみとともにやって来ると思う」と語るクリスティーナが惹かれるのは、良い時もあれば悪い時もあり、自分を見つめ直す機会を与えてくれるラブソング。そう言うだけに、現在は1女をもうけた元映画スタッフのマシュー・ラトラーと婚約中だが、失恋もしてきている。

画像: マシュー・ラトラーとは出演映画『バーレスク』の現場で出会った。

マシュー・ラトラーとは出演映画『バーレスク』の現場で出会った。

 長男マックス君の父親である音楽会社重役のジョーダン・ブラットマンとは、2億円以上の盛大な結婚式を挙げたものの、約5年で離婚。その前に付き合っていたバックダンサーのジョージ・サントスは、のちに、同性愛者であることをオープンにしている。

画像: ジョーダン・ブラットマン(左)は音楽業界関係者、ジョージ・サントス(右)はバックダンサーだった。

ジョーダン・ブラットマン(左)は音楽業界関係者、ジョージ・サントス(右)はバックダンサーだった。

5. アルバム制作から6年の静寂
 2012年のアルバム『ロータス』を最後に、ぱたりとアルバムリリースをやめたクリスティーナ。1シーズンのギャラが10億円以上と言われる人気オーディション番組『ザ・ヴォイス』の審査員や、映画『絵文字の国のジーン』の声優といった仕事は続けたが、アルバム制作からは距離を取っていた。

画像: 『ザ・ヴォイス』ではアダム・レヴィーン、ファレル・ウィリアムス、ブレイク・シェルトンと共に審査員を務めた。©NBC The Voice/Facebook

『ザ・ヴォイス』ではアダム・レヴィーン、ファレル・ウィリアムス、ブレイク・シェルトンと共に審査員を務めた。©NBC The Voice/Facebook

 その期間に実は感じていたのが、人生の行き詰まり。「やる気が起きないという虚無感に襲われていた。だからじっくり考える時間を取って、なぜ私の中から情熱が消えてしまったのか、どこで道を見失ってしまったのか、振り返って考える必要があったの」と本人は語る。自分が伝えたいこと、したいことは何か。それが新作の出発点となった。

画像: クリスティーナ・アギレラ、オフィシャルインタビューより

クリスティーナ・アギレラ、オフィシャルインタビューより

メッセージアルバム『リベレーション』が完成

 幸せなこともあれば、業界の波にもまれることもあった、約25年のキャリア。その中で、少女時代に持っていた情熱や自由な心から遠ざかってしまったと感じたクリスティーナは、タイムアウトする時間を取って自分を見つめ直し、ついに、アルバム『リベレーション(=リベレーション)』が完成。

画像: アルバム『リベレーション』国内盤6月27日発売 www.sonymusic.co.jp

アルバム『リベレーション』国内盤6月27日発売

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 すべてのしがらみを震い捨てて自分を“解放”するという一貫したメッセージを持ったアルバムは、ほかの女性たちの中にもその炎を灯すような内容になっている。

 アルバムの代表曲「フォール・イン・ライン」では、世間の風潮に同調(=フォール・イン・ライン)するのはやめて女性としての権利や価値を叫ぼうと女性たちを鼓舞。同曲のコラボ相手として子役出身のデミ・ロヴァートが選ばれたことも印象的で、日本語字幕入りで楽しめるミュージックビデオでは、大人に人生をコントロールされた少女2人がその支配から逃れる様子が描かれる。

画像: Christina Aguilera - Fall In Line (Official Video) ft. Demi Lovato www.youtube.com

Christina Aguilera - Fall In Line (Official Video) ft. Demi Lovato

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 ほかにも、他人のために人生を生きてきて身動きできずにいる人のための曲「シック・オブ・シッティング」や、大人の事情のなかで失われてしまった少女の心を歌った「マリア」など、女性だから、妻だから、母だから…、何かしらの理由で本当の幸せを生きられていない人の心を“解放”するような曲が続く。

画像1: メッセージアルバム『リベレーション』が完成

 さらに、苦難や障害だけでなく、アップテンポな「ライト・ムーヴズ feat. ケイダ&シェンシーア」や、少女たちが夢を語る音声で作られた間奏曲「ドリーマーズ」など、ポジティブな部分にフォーカスすることによる“解放” も伝えている。

画像2: メッセージアルバム『リベレーション』が完成

 デミとコラボした曲「フォール・イン・ライン」がツイッターの世界トレンド1位を獲得するなど、早くも話題を呼んでいる『リベレーション』。クリスティーナの“人生のメッセージ”がつまったアルバム『リベレーション』は、日本では6月27日(水)に国内盤リリース。(フロントロウ編集部)

アルバム『リベレーション』
配信中 国内盤6月27日(水)発売
¥2,400+税/SICP-5786
購入先:http://www.sonymusic.co.jp/artist/christinaaguilera/discography/SICP-5786

画像3: メッセージアルバム『リベレーション』が完成

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